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広東省、香港、マカオにおける法律サービス規則の「軟連通」を促進【大湾区情報レター Vol.36】

「大湾区情報レター」では、今後、日系企業の皆様に有用と考えられる最新情報をピックアップしお届けしていきます。


 

   

 4月10日、広東省弁護士協会主催の「2021年大湾区司法試験有資格者集中研修」が無事終了し、400人以上の香港法律実務家とマカオ実務弁護士がオンライン研修を通じて30以上の講座を受講、「3ヶ月間の集中研修は非常に有意義だった」「研修は非常によく構成されており有益だった」との率直な声が次々と聞かれました。

 

  広東省司法庁は、中国本土での法律実務を行うための必須事項として研修を重視し、香港の法律実務家及びマカオの法律実務弁護士が中国本土の法律制度及び実務規範を十分に理解し、中国本土での実務のための基礎を事前に築くことができるよう、講習の内容及び形式を絶えず最適化しています。

 

 近年、大湾区の建設を支援し、「一国二制度三司法権管轄」による大湾区のボトルネックを解消し、大湾区の規則とメカニズムとのコンバージェンスを効果的に推進するため、広東省司法庁は、香港特別行政区律政司及びマカオ行政法務司と共同で、大湾区法律部門の合同会議システムを構築し、広東省、香港、マカオの法律業務規則の「軟連通」(ソフト接続)を積極的に推進、大湾区の法律業務の統合発展を促進し、大湾区の質の高い発展を支援することとしています。

 

合同会議システムを立ち上げ 三地区の法の支配の構築について議論

 

 2021年12月10日、広東省、香港、マカオの大湾区の法律部門による第3回合同会議が、テレビ会議形式で開催されました。 広東省司法庁の陳旭東庁長、香港特別行政区政府のテレサ・チェン(鄭若驊)司法長官、マカオ特別行政区政府の張永春行政・法務司司長が、ビデオ回線を通じて、三地区での法の支配の構築推進における協力について話し合いました。

 

商事紛争の調停に協力 仲裁規則の連携強化

 

 「今年の三地区法律部門合同会議で、早期かつ試験的な措置として三地区でのクロスボーダー家事調停を推進し、大湾区の調停の総合的発展に新たな突破口を開き、香港と中国大陸の家庭がクロスボーダー家事紛争の調停による解決を促進できることを期待しています。」 2月16日に香港律政司が主催した「クロスボーダー家事調停」セミナーで、テレサ・チェン司法長官は、大湾区調停プラットフォームを通じて、三地区の家事調停委員の研修や交流の促進を積極的に検討することを明らかにしました。

 

 現在、合同会議の推進により、広東・香港・マカオの法律サービスの統合は実り多い成果を上げており、合同会議では2020年に「大湾区調停プラットフォーム建設作業計画」を採択、2021年8月26日には「大湾区調停作業委員会」が発足、2021年12月に開かれた第3回合同会議では「二つの基準」を検討・採択し、調停規則の融合、調停人の資格の相互承認、三地区の基準の整合化を強く推進することになりました。

 

 近年、広東省司法庁は、大湾区向けの調停プラットフォームアプリを開発し、「調停予約、遠隔調停、共同調停、招待調停」と「(強制執行効力のある)公証、仲裁裁決、司法確認」などの機能を組み合わせ、当事者、調停人、調停組織、公証機関、仲裁機関、裁判所を含め、多数の当事者をつなぐ「ワンストップ」調停サービスプラットフォームを作り、 珠江デルタ9つの市司法局には、各地域の調停組織と調停人が大湾区の調停作業への参加を指導、支援、規制するよう指導しました。また、2021年には珠海・香港・マカオ知的財産権調停センター及び横琴(珠海・マカオ)金融紛争調停室が設立され、広東省高級人民法院と共同で「広東省自由貿易区におけるクロスボーダー商事紛争の調停に関する規則」が発行され、広東省、香港、マカオでの商事紛争の調停を促進するための規範を提供します。

 

 また、三地区が関わるビジネス上の紛争を効果的に解決するため、広東省は深圳市藍海法律識別及び商業調停センター(Benchmark Chambers International  &  Benchmark International Mediation Center)、前海国際商業調停センター、広東自由貿易区南沙地区貿易促進商業調停センター、横琴新区国仲民商業調停センター、「一帯一路」国際商業調停センターなど13の外国関連商業調停組織を設立し、広東、香港、マカオの高級弁護士、大学教授、専門家と学者206名が外国関連調停員として採用しました。

 

 調停と並んで挙げられているのが、商事仲裁です。 国際的に認められた紛争解決手段として、仲裁は大湾区における法的交流や協力、紛争解決、市場化・法治主義・国際的ビジネス環境の構築における橋渡しやリンクとして重要な役割を担っています。

 

 広東省司法庁の推進により、広州仲裁委員会が検討・実施した「インターネット仲裁推薦基準」では、香港の4つの機関とマカオの5つの機関が認可されました。深圳国際仲裁院は、大湾区国際仲裁センターを設立、香港・マカオ法律サービス機関の第一陣である計7社の入居が完了し、広東省・香港・マカオ三地区の共同調停人名簿が初めて発表されました。珠海国際仲裁院は、珠海とマカオの仲裁規則及びメカニズムの融合に積極的に取り組んでおり、マカオの世界貿易センター仲裁センター、弁護士公会仲裁センター及び仲裁協会と共にクロスボーダー仲裁協力プラットフォームを共同構築しています。

 

 大湾区の建設が進むにつれ、リーガルサービスに対する市場のニーズは日に日に高まっています。2014年以降、広東省は全国に先駆けて、中国本土の法律事務所と香港及びマカオの法律事務所による合弁事業を試験的に開始し、全国での複製に成功しています。

 2021年7月31日には、第1回大湾区弁護士実務試験が行われ、2021年12月15日、広東省司法庁は「大湾区内の9都市で開業する香港法律実務家及びマカオ実務弁護士管理に関する試案」を公布しました。 これまで、広東省では15のパートナー法律事務所が認められ、香港・マカオ出身の弁護士計108名がパートナー法律事務所に配属され、香港・マカオ出身者204名が中国本土で弁護士として活動することが認められました。

 

 

 

 

【参考資料】

 

・広東省、香港、マカオにおける法律サービス規則の「軟連通」を促進

 

 

 

*本記事が記載されている大湾区レターは、以下のリンク先からダウンロードしていただけます。

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本記事の目的:

本記事は、主に中国へ進出されている、またはこれから中国進出を検討されている日系企業の皆様を対象に、中国国内での経営活動や今後の中国ビジネスに重大な影響を及ぼしうるような国家・地方レベルの最新の法律法規と関連政策の主な内容とその影響、日系企業をはじめとする外資系企業の取るべき主な対策などを紹介することを目的として作成されています。

 

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