内部統制の整備による企業組織の改善と不正の防止
ここ数年、日本を含む世界各国で企業の不正や不祥事が続いており、内部統制への注目は高まるばかりです。また、上場企業を中心に、監査法人からの要求レベルも日に日に増している一方で、新型コロナによる渡航制限などが原因で海外現地法人の内部統制やガバナンスに不安を感じていらっしゃる企業も増加しています。
今回はそもそも内部統制とは何なのか、どのような企業が対策を講じるべきなのか、内部統制を強化するにはどうすれば良いのかという点についてお話いたします。
そもそも内部統制とは?
内部統制とは基本的に、
- 業務の有効性及び効率性、
- 財務報告の信頼性、
- 事業化都合に関わる法令などの遵守、
- 資産の保全
の4つの目的が達成されているとの合理的な保証を得るために、事業に組み込まれ、組織内の全ての者によって遂行されるプロセスと定義されています。
つまりは、企業が健全かつ効率的に事業を行うために必要となる仕組みであり、企業組織内の全ての人間が遵守すべきルールとなります。
内部統制を適切に整備することによるメリットとして、
- ミスや不正が発生するリスクを最小限に抑えることが出来る
- 企業のリソースを有効活用し、業務効率を上げることが出来る
- もし従業員による不正や不祥事が発生した際にも、企業は損害賠償といった民事責任や、処罰の対象となる刑事責任のリスクを軽減することが可能
などが挙げられます。
また、内部統制の整備の一環として、各オペレーション手続きを書面化することで、業務マニュアルのような使用をすることも可能であり、業務引継ぎなどをより効果的に行うことが出来ます。
内部統制は大企業だけでなく、全ての企業に必要
内部統制という単語を聞くと、上場企業のような比較的規模の大きい企業のみが対象となり、中小企業にはあまり関係がないと感じられている方も多くいらっしゃいますが、内部統制は会社の規模に関わらず、全ての企業に対して必要となり、全ての企業がメリットを享受出来るものとなります。
上場企業およびその関連会社は、金融証券取引法の内部統制報告制度 (通称、J-SOX)にて義務付けられている内部統制報告書を事業年度ごとに提出することが義務付けられています。そのため、上場企業グループの方がより内部統制に注力しているという状況ではありますが、上述の不正回避や業務効率の向上などは全ての企業が考慮すべきものであり、J-SOXの対象ではないという企業であっても、適切な内部統制を整備するというのは重要になります。
不正は他人ごとではない
内部統制の重要性を伝えるときに、不正を回避するための有効な手段であると強調をしても、どこかで「自分の会社では不正は起きないであろう」と思われている方も多くいらっしゃいます。
しかし、実際に弊社では不正が発生してしまった企業からのご相談や、不正が起きていそうだという懸念を抱えていらっしゃる企業からのご連絡を多く頂戴しており、コロナ禍で日本人経営者が現地にいない場合や、ご本社の内部監査室による監査が行われていないケースでは、その懸念がより強まる傾向にあります。
当然のことながら、企業としてはまず不正が発生する可能性を出来る限り抑える必要があり、そのための環境整備に内部統制は非常に有効となります。不正は、「機会」、「動機」、「正当化」の3つの要素が揃うと発生すると唱えた「不正のトライアングル理論」がございますが、内部統制はその要素の中でも不正を働く「機会」を減らすための仕組みとして高い効果を発揮します。不正が発生してしまう隙を無くし、不正を起こせないな、不正を起こすと見つかってしまうな、という意識を浸透させることが出来ます。
「不正のトライアングル理論」
一方で、内部統制を整備していても、不正が完全に防げるというわけではなく、企業の経営者は常に不正が発生していないか注意を払う必要があります。そして、不正の兆候が見つかった際には、弊社のような専門事務所と協力をし、速やかに状況の確認、問題の解決を進める必要があります。
不正の兆候の例として、以下にいくつか記載いたします。
- 経費の金額が高すぎるのではないか?
- 過度の勾配が発生しているのではないか?
- 期末に見慣れない会計仕訳が起こされているが、具体的な内容が分からない
- 会計仕訳の原紙証憑が見つからないことが多い
- スタッフの生活水準が収入とマッチしていない気がする
もし、これらの兆候が見受けられる場合は、いつでも弊社までご相談ください。
内部統制を強化するには?
では、具体的にどのようにして内部統制を強化すべきなのか?これは各企業によって異なります。
上場企業グループのように、すでに一定レベル以上の内部統制が整備されている場合、各従業員が定められたルールに従って日々のオペレーションを行っているのかを確認される必要がございます。また、各従業員が内部統制の重要性を認識・理解しているかを確認するために、トレーニングを提供するというのも効果的だと思われます。
一方で、まだこれから内部統制を整備しなければならない、もしくは現状自社の内部統制がどの程度のレベルなのか分からないという企業は、一度専門家による「健康診断」を受けられることを推奨いたします。財務会計面、法務面、労務面など様々な角度から、現在の管理・統制状況を確認することで、内部統制を強化するために、どの様な改善をすべきなのかという道筋が見えてきます。
弊社では、これまで数多くの日系企業に対して、内部統制の支援業務を提供させて頂いた経験と実績がございます。その経験を活かし、各企業ごとの異なるニーズに対して、最適なソリューションをテイラーメイドでご案内いたします。もし、内部統制に関するお悩みや懸念事項がございましたら、いつでもお気軽にご連絡ください。
本記事の目的:
本記事は、主に香港へ進出されている、またはこれから香港進出を検討されている日系企業の皆様を対象に、香港での経営活動や今後の香港ビジネスに重大な影響を及ぼしうるような最新の法律法規と関連政策の主な内容とその影響、日系企業をはじめとする外資系企業の取るべき主な対策などを紹介することを目的として作成されています。
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