中国各地で新エネルギー自動車産業の2025年目標を策定 肇慶は如何に他との差別化を図るか【大湾区情報レター Vol.34】
- 公開日 2022.04.26 | 大湾区(グレーターベイエリア)情報
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3月23日、小鵬汽車(XPENG Motors)の電気自動車、小鵬P7の10万台目が肇慶工場にて完成しました。寧徳時代(CATL)の肇慶基地は今年6月に生産を開始する予定で、2022年には、この2大主要大手企業が引き続き肇慶新エネルギー自動車産業をリードし、同産業の発展をけん引していくことになるでしょう。
カーボンピークとカーボンニュートラルの観点から、新エネルギー自動車はかつてない発展のチャンスを迎えており、中国全国各地で開発計画が発表され、産業支援の充実、生産と保有量などの目標設定、2025年までに産業発展の新たなブレイクスルーを達成することを目指しています。
業界関係者によると、新エネルギー自動車産業の発展において既に先手を打った肇慶は、広東省が与えた目標を達成するために、激しい新エネルギー自動車業界における競争で他と差をつけるために、新しいインフラのエコロジー、科学技術の研究開発で欠点を補い、 都市開発の最初のチャンスを勝ち取る必要があるとされています。
現在、肇慶は小鵬汽車と寧徳時代をトップに、理士電源(LEOCH)、鴻図科技(Guangdong Hongtu Technology)、合普動力(HEPU POWER)、嘉利車灯などのニッチ分野のリード企業を重点支援企業として産業クラスタを形成し、新エネルギー自動車産業は急速な発展を遂げています。
新エネルギースマート自動車産業の継続的な発展を踏まえ、2021年、科学技術部は大旺インテリジェント・コネクテッド新エネルギー自動車産業を革新的産業クラスタに、工業情報化部は肇慶ハイテク区を工業インターネット統合応用イノベーション園区に、広東省は肇慶ハイテク区を特別産業園に認定しました。
2021年時点で肇慶市の新エネルギー自動車と自動車部品産業の企業は72社と、2020年末より7社増加し、工業総生産額は443.1億人民元を達成し、2020年と比較し48.12%増加しました。また、市の一定規模以上企業の工業総生産額の10.5%を占め、2020年末より1.2%上昇しました。前年比48.12%増の成長率は一定規模以上企業の工業総生産額の成長率を18.6ポイント上回り、市の総産業生産額を4,200億人民元以上に押し上げる原動力となりました。
レースで優勝を目指す 各地で2025年産業目標設定
中国全体でカーボンニュートラル・カーボンピークが積極的に推進されており肇慶だけでなく、北京、上海、長春、江蘇省、浙江省など中国全国各地で新エネルギー自動車の発展競争が繰り広げられています。
広東省は国内最大の「自動車省」であり、新エネルギー自動車産業の発展も当然ながら遅れをとっていません。「広東省製造業高品質発展第14次5カ年計画」では、自動車と新エネルギーが戦略的支柱産業トップ10及び戦略的新興産業トップ10に含まれており、広州、深圳、珠海、仏山、肇慶、東莞、恵州、湛江、茂名、汕尾、雲浮などの都市を新エネルギー自動車開発の拠点としています。
2021年、中国における新エネルギー自動車関連企業は47万9,000社、そのうち広東省企業が63,000社で全体の13.34%を占めており、トップとなっています。 都市別に見ると、深圳が24,000社で全国1位、広州が18,000社で全国2位となっています。
トップを争う 肇慶は将来の産業発展のため戦略的優位をつかむ
肇慶は、広東省はもちろん、中国全体においても新エネルギー自動車製造と蓄電池プロジェクトの両方を有する数少ない都市の一つであり、相乗効果によるハイペースな発展を実現することができます。
2021年、南都スマート自動車産業生態研究課題チームは「広東省スマート自動車産業吸引力報告書(2021年)」(以下「報告書」)を公布、そして「広東省スマート自動車産業都市ヒートマップ」を発表し、肇慶が最大のダークホースとなり、広東省のスマート自動車産業の発展を最も強力に推進する都市となりました。
報告書では、肇慶は広州、深圳と並んで第一線に位置づけられていますが、広州、深圳と比較すると自動車における絶対生産額ではまだ差があることが明確に示されています。
「広東省製造業高品質発展第14次5カ年計画」によると、肇慶は今後、バッテリー、電子制御、モーター、タイヤ、シャーシ、センサー、照明システムなどの自動車部品産業の発展を加速し、同時に大旺産業園や大湾区生態科学技術産業園などの媒介施設により新エネルギー自動車製造分野の発展を加速させます。
また、肇慶市は広東省内のパイロット・トライアル都市の一つとして、インテリジェント・コネクテッド・カー(Intelligent Connected Vehicle,ICV)の路上テストを推し進めるため、閉鎖型テストエリアと多数の半開放型および完全開放型テストエリアの建設を計画予定です。
第14次5カ年計画に向け、「新エネルギー自動車と自動車部品産業の発展を促進する肇慶行動計画(2021-2025)」において、新エネルギー自動車の完成、自動車コア部品チェーン強化、カーエレクトロニクスの拡張チェーン、自動車軽量化、充電設備のエンパワーメント、自動車のアフターマーケット品質、産業の核の強化、産業レイアウト最適化実施等八大プロセスを実行し、2025年までに、肇慶の新エネルギー自動車部品企業は同完成車製造企業と並行してた開発能力を備え、主要新エネルギー自動車コア部品の現地調達率を40%超とすることを明確にしています。
計画によると、肇慶小鵬インテリジェント・コネクテッド科学技術産業園では、年間20万台の新エネルギー自動車を生産し、将来的には年間生産額300億人民元以上を達成できる予定です。寧徳時代肇慶プロジェクトでは、計画生産能力が25Gwhで、到達時には年間生産額約200億人民元を達成する見込みです。 この2つの有力企業だけでも、将来的に500億人民元を超える生産額に貢献することが可能です。
2025年までに、肇慶は自動車完成車製造、自動車コア部品、カーエレクトロニクス、充電設備などの分野で国内外のトップ100企業の8-10社を継続して誘致し、生産額100億人民元の企業2社以上、10億人民元の企業20社、1億人民元の企業50社を誘致・育成し、当分野での10社の業種別トップ企業、「小巨人」企業、「ユニコーン」企業、「ガゼル」企業が育成できるよう力を注ぎます。 また、省レベル以上の製造業のイノベーションセンター、エンジニアリング技術研究センター、重点実験室を計15ヶ所、そしてハイテク企業100社を新たに追加することを目標しています。
肇慶市の関係者によると、インテリジェント・コネクテッド・カーは将来の産業発展の戦略的重要ポイントであり、今後、肇慶市はインテリジェント・コネクテッド・新エネルギー自動車産業チェーンの拡張を加速し、自動車電子産業の新たなハブとインテリジェント・コネクテッド人材集積地を構築するために全力をあげ、完成車、インテリジェント・コネクテッド部品、システムソフトウェアの分野で、市場関係者が密に協力する産業エコロジーを構築していく、と述べています。
【参考資料】
・中国各地で新エネルギー自動車産業の2025年目標を策定 肇慶は如何に他との差別化を図るか
*本記事が記載されている大湾区レターは、以下のリンク先からダウンロードしていただけます。
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本記事の目的:
本記事は、主に中国へ進出されている、またはこれから中国進出を検討されている日系企業の皆様を対象に、中国国内での経営活動や今後の中国ビジネスに重大な影響を及ぼしうるような国家・地方レベルの最新の法律法規と関連政策の主な内容とその影響、日系企業をはじめとする外資系企業の取るべき主な対策などを紹介することを目的として作成されています。
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