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広州地下鉄22号線、最初の区間開通 大湾区最速路線がもたらした変化【大湾区情報レター Vol.33】

「大湾区情報レター」では、今後、日系企業の皆様に有用と考えられる最新情報をピックアップしお届けしていきます。


 

  

 3月31日午前6時、大湾区最速路線である広州地下鉄18号線の姉妹線、22号線第1区間の始発列車が発車しました。 全長18.2km、陳頭崗駅から広州南駅、市広路駅、番禺広場駅を通過、広州南駅(2号線、7号線、仏山地下鉄2号線乗換)、番禺広場駅(3号線、18号線乗換)が乗換駅となっています。22号線の最初の開通区間は、当初最高時速160キロで走行し、片道所要時間は約14分、運行間隔は約7分30秒となる予定です。

 

 22号線開通により、広州地下鉄の総走行距離は中国国内第3位の607.6kmに達し、駅数も294駅にまで増加しました。 多くの人が待ち望んでいたこの22号線の第1区間が、なぜこれほどまでに注目されているでしょうか。 また、広州の経済発展にどのような影響を与えるのでしょうか。

 

スマートアップグレード 広州初の完全自動運転の高速地下鉄

 

 プラットホームに入ると、ビビッドオレンジに彩られた22号線の電車がトンネルを高速で走行するのを目にすることができます。 先に開通の18号線「ベイエリア・ブルー」と同様に、22号線も時速160キロのシティエクスプレスD型車両を採用しており、同じく8両編成ですが、当ルートの地域的位置づけや今後の展開に呼応した特徴あるデザインとなっています。

 

 18号線と比較し、22号線はスマート化研究の上でさらにレベルアップを目指しており、最高運転速度時速160キロの列車に、初めて完全自動運転システム機能が実装されました。22号線は、運転士の操作なしでの、発車、運転、ドア開閉操作、定位置停止、ホームドアと車両ドアの自動位置合わせ及び分離、および車両車庫での自動洗車、自動線路切替などの機能を備えています。

 

 また22号線は「最強の頭脳」も搭載されており、インダストリアル・インターネットとIoTを活用した鉄道交通オペレーティングシステム「穂騰OS」が採用されています。広帯域光伝送ネットワークにより、車両積載情報を元に車両内の混雑度を分析し、次の駅のホームドアのディスプレイに車両ごとの混雑度を表示づることにより乗客を比較的混雑していない車両に誘導することができます。

 

 

20万人が恩恵 「中国No.1大規模マンション」都心への通勤時間が半減

 

 「祝22号線開通!」祈福新邨(Clifford Estates:広州市番禺区)の入口にバナーがかけられています。 今回の地下鉄開通がなぜこれほどまでに注目されるがについては 祈福新邨の歴史から述べなければなりません。

 

  1991年の建設以来、祈福新邨は31年の歴史を刻んできました。 現在では20万人以上の人が居住しており「中国No.1大規模マンション」と呼ばれ、まるで一つの県(日本の「郡」程度)サイズの相当規模をもっているといえます。

 

 31年もの間、20万人以上の住民は、自家用車、シャトルバス、公共バスを主に頼って移動してきました。 住民の移動に関する問題を解決するために、祈福新邨はかつて広州で最大級のシャトルバス体系を整備し、広州の各区行きのシャトルバスが毎日1,000便以上行き来していました。22号線の開通まで、祈福地区の住民は珠江新城、公園前、琶洲などのエリアに行くには、必ず公共バスに乗り、地下鉄3号線に乗り換えねばなりませんでした。


22号線の第一区間の開通で祈福住民は「玄関口」で地下鉄に乗車、アクセスが目まぐるしく改善される

 

 広州地下鉄が試算したところ、祈福新邨から珠江新城エリアまで、バスの待ち時間を除いても約50分かかりますが、将来的には周辺地域住民が直接22号線から18号線への乗換で、約33分に短縮されます。

 公園前駅まで行く場合には、これまでは公共バス経由で地下鉄に乗り、乗換が2回必要で、全行程で約70分要していましたが、今後は22号線で直接2号線に乗り換えることにより約35分と半分の時間で済むようになります。 市広路から広州南駅までの所要時間はわずか5分で、現行のバス移動に比べ約35分の短縮となります。

 

大湾区をつなぐ「広深地下鉄」 北は空港、南は深圳へ連結予定

 22号線の開通により、広州南駅は2号線、7号線、仏山地下鉄2号線、22号線の4路線に接続し、広州で最も乗換路線が多い地下鉄駅となりました。

 

 22号線は広州南駅快速線として位置づけられており、 現在も22号線の残り区間、南浦西駅、南漖駅、西朗駅、芳村駅の各駅の工事がまだ続いています。 22号線が全線開通したあかつきには、南沙、番禺、茘湾と広州南駅を結ぶ快速軌道交通機関となり、広州南と白鵝潭の2つのハブを結ぶ重要な役割を果たすことになります。

 

 計画によると、22号線は芳村-白雲空港シティリンクプロジェクトとの接続運営される見込みで、広州駅、広州白雲駅、広州南駅などの鉄道ハブと白雲国際空港の3つのターミナルを結び、ハブ間の相互接続を実現し、空港経済区、白雲シティセンター、白雲湖デジタルテクノシティ、白雲ハブエリアと広州主要都市圏の高速接続を実現し、広州市中心から白雲空港まで30分、南沙から白雲空港まで45分を実現させます。

 

 なお、特筆すべきこととして、22号線はすでに「広州-深圳」間の連結が計画されています。 今年2月、広州市南沙の広東・香港・マカオ包括協力イノベーションモデルゾーン建設の効果を発表する記者会見において、第14次5カ年計画期間中、南沙は大湾区東岸都市との高速・直結性を強化し、南沙と深圳市の線路間の空白を埋めるために地下鉄22号線の東延長線(深圳光明城まで)を建設することが発表されました。

 

 各方面から発表された計画情報によると、22号線は南沙を中間接続点として、広州と深圳が「手をつなぐ」ことを実現する模様です。 22号線の一方は広州の中心区を結び、もう一方は東莞を結び、深圳まで延伸する予定です。 広州、東莞、深圳を結ぶ22号線により、南沙は大湾区の幾何学的中心という立地の価値を実現することができます。

 

 

 

【参考資料】

・広州地下鉄22号線、最初の区間開通 大湾区最速路線がもたらした変化

 

 

 

*本記事が記載されている大湾区レターは、以下のリンク先からダウンロードしていただけます。

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本記事の目的:

本記事は、主に中国へ進出されている、またはこれから中国進出を検討されている日系企業の皆様を対象に、中国国内での経営活動や今後の中国ビジネスに重大な影響を及ぼしうるような国家・地方レベルの最新の法律法規と関連政策の主な内容とその影響、日系企業をはじめとする外資系企業の取るべき主な対策などを紹介することを目的として作成されています。

 

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