香港証券取引所と深圳証券取引所が戦略的協力追加合意書を締結 「跨境理財通」は開設約2ヶ月で約5億人民元呼び込む【大湾区情報レター Vol.30】
- 公開日 2022.03.1 | 大湾区(グレーターベイエリア)情報
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香港証券取引所(香港取引所)は1月12日、深圳証券取引所(深圳取引所)と、両地域間の市場接続を強化し、大湾区の建設を共同で推進するための戦略的協力追加合意書に署名したと発表されました。
この追加合意書に基づき、香港取引所と深圳取引所は、香港と中国本土の資本市場の相乗的発展をさらに促進するため、より緊密な全面的パートナーシップを確立していきます。 両取引所は、滬港通・深港通(上海香港コネクト・深圳香港コネクト)の発展、指数・デリバティブ商品の発展、クロスボーダー規制の管理監督に関連するテーマについて、フォーラム、セミナー、その他の市場促進活動を定期的に共同開催します。
同日、香港取引所と深圳取引所は「革新と協力、世界をつなぐ」をテーマにクロスボーダー投資促進会議を共同で開催しました。 会議では、香港取引所グループ最高経営責任者のニコラス・アグジン(Nicolas Aguzin)氏が、香港と深圳はともに世界有数の金融センターであり、域内の金融市場の発展を促進する上で重要な役割を担っているとオンラインで述べました。
ニコラス氏は「大湾区は、経済発展と技術革新の苗床であり、香港取引所は、大湾区に明るい未来を築くために、深圳取引所との戦略的パートナーシップを強化することができて、喜ばしく思っており、 今後も深圳取引所と協力して、深圳コネクトの仕組みを最適化し、さらなる成功を収められることを期待しています」と述べました。
また、協力協定に基づき、香港取引所と深圳取引所は、相互の市場発展や運営の状況に関する理解をさらに深めるため、相互のスタッフ交流や短期研修における協力を行う予定です。
香港取引所と深圳取引所は、長期にわたり様々な分野で良好な関係を築いてきており、その最たるものが2016年に両取引所が共同で立ち上げた「深圳・香港ストック・コネクト」です。 両者は2009年4月に協力協定を締結しており、今回締結された追加合意書はそれを補完するものとなります。
昨年10月には、待望の「跨境理財通」(クロスボーダー・ウェルスマネジメント・コネクト)が正式にスタートし、大湾区の住民がグローバルな資産配分を身近に実現できるだけでなく、大湾区の多機能・多レベルの金融市場の発展にも新たなチャンスをもたらしています。 現在、跨境理財通は順調に稼働しており、中国人民銀行広州支店のデータによると、2021年12月末時点で大湾区で跨境理財通の下で合計5,855件、総額4.86億人民元の取引が行われたことが示されています。このうち、「北向通」(ノースバウンド)取引は3,802件、1億9600万人民元、「南向通」(サウスバウンド)取引は2,053件、2億9000万人民元でした。
跨境理財通は、大湾区の居住者がより多様化された資産配分を実現するために、大いに役立っています。 調査によると、サウスバウンド投資家に最も人気のある商品は各種ファンドで、次いで香港ドル預金、債券、その他外貨預金となっています。 ノースバウンドの投資家は、株式類金融商品、債券類金融商品、公募ファンドを好み、特に急成長中のテクノロジー、エネルギー、バイオケミカル分野など新興企業の金融商品に興味を持っています。
現在、「跨境理財通」は、広州市において現代的金融サービスシステムを構築し、国際消費センター都市の建設を促進し、効果的な投資空間を広げ、より素晴らしい生活を創造するための新しいツールになっています。 「大湾区の住民が、ファミリーの資産をより柔軟に配分し、より良い生活を求める願望を満たすのに資するものです。」と中国人民銀行広州支店の関係者は語りました。広東省、香港、マカオの三地の金融機関の業務拡大や協力関係の深化にも貢献し、大湾区の金融インフラの「ハードコネクト」とルールやメカニズムの「ソフトコネクテト」の促進により、金融市場の相互接続をさらに促進するための基盤が整うことになります。
中国人民銀行広州支店は、広東省、香港、マカオの三地にはそれぞれ特殊性があり、管理監督政策、金融市場の特徴、投資家の取引上の習慣がそれぞれ異なり、馴染むまで時間がかかると言及しました。 次のステップとしては、引き続き政策広報や投資家教育を強化し、投資家が自身のリスク許容度に見合った商品に投資できるよう誘導していきます。 また、大湾区居住者への政策への親しみやすさと満足感を高めるため、跨境理財通サービスのさらなる円滑化を推進します。
【参考資料】
・香港証券取引所と深圳証券取引所が戦略的協力追加合意書を締結
*本記事が記載されている大湾区レターは、以下のリンク先からダウンロードしていただけます。
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本記事の目的:
本記事は、主に中国へ進出されている、またはこれから中国進出を検討されている日系企業の皆様を対象に、中国国内での経営活動や今後の中国ビジネスに重大な影響を及ぼしうるような国家・地方レベルの最新の法律法規と関連政策の主な内容とその影響、日系企業をはじめとする外資系企業の取るべき主な対策などを紹介することを目的として作成されています。
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