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広東省、税務面で広東省とマカオのさらなる協力関係をサポート【大湾区情報レター Vol.29】

「大湾区情報レター」では、今後、日系企業の皆様に有用と考えられる最新情報をピックアップしお届けしていきます。

 

 

 

 

 「横琴広東マカオ緊密協力区建設全体計画」(以下、「横琴計画」)が発表されてからの3ヶ月間、横琴協力区における関連事業が活性化されており、新規の税種認定手続き、インボイスの受領/使用、納税申告などの税務関連事項の処理を行っている企業や個人事業主が月平均で約600社もあります。

 

科学研究とイノベーションに拍車をかけるための減税政策の実施

 

 大湾区(珠海)データ応用センターで、珠海欧比特宇航科技股份有限公司 (以下「Orbita Aerospace」)の顔志宇総経理が「珠海1号」衛星群のビックデータを活用した「緑水青山ワンマップサービス・プラットフォーム」を示しながら、「生態環境、農業・農村、緊急管理、交通建設 などの要素を迅速かつ正確に監視・分析し、政府の意思決定をサポートすることができます。 将来的には、横琴協力区の建設のチャンスを捉え、ポルトガル語圏の国々や「一帯一路」沿線の主要地域にもサービスを拡大していきたいと考えています。」と語りました。

 

 「珠海1号」は、当社が独自に開発・運用しているリモートセンシング用マイクロ・ナノ衛星で、これまでに3グループ12機の打ち上げを完了しています。その中には多軌道ネットワーク運用を行い、高度な解析を可能とするハイパースペクトル衛星が8機含まれており、中国のハイパースペクトル技術の発展が見受けられます。

 

 「研究開発費の追加控除という政策の継続的なバージョンアップが、我々が大胆なイノベーションを起こす勇気を与えてくれました」。 Orbita Aerospace社の最高財務責任者である陽岭峰氏によると、2018年から2020年にかけて、同社は合計5,192万人民元の研究開発費の控除を享受しており、これは「珠海1号」衛星群などの技術製品のリリースに直接貢献し、企業の市場競争力をさらに向上させ、業界をリードするレベルに登りつめるに至りました。

 

 企業が政策のメリットを直接かつ迅速に享受できるように、広東省税務当局は、従来の「大ざっぱ」な政策宣伝方式を、より専門的かつ、洗練されたサービスコンセプトの「精確」な政策相談ガイダンス方式へ改善し、異なる税種や様々な税務文書に散在する税務優遇政策の分類、まとめを行い、包括的に解釈しました。 同時に、専精特新「小さな巨人」企業を対象に、ワンストップの税務サービスを開始し、P2Pのサービスを提供します。

 

 「2021年初めに研究開発費の控除割合が75%から100%に引き上げられたことを知り、イノベーションへの投資意欲が高まり、第1~3四半期に享受した研究開発費の控除額は2,619万人民元に達しました」。 珠海拾比佰彩図板股份有限公司(SPEEDBIRD)は、初めて北京証券取引所に上場した珠海の地場企業です。 同社の総経理である杜国棟氏は、「税務署をはじめとする政府部門の効率的かつユーザー目線のサービスと、様々な税制優遇政策の実施により、ハイテク企業の質の高い発展を後押ししている」と述べています。

 

 「横琴協力区が実体経済の発展と技術革新の強化に積極的に取り組んでいることが、私たちの自信を高めてくれました」。広東中星電子有限公司は、中国の国家戦略プロジェクトである「星光中国芯物聯網工程」プロジェクトのリーダーを務めています。 「国家クラスのハイテク企業である当社は、毎年約2,000万人民元を研究開発に費やしています」と、当社の財務責任者である趙丹氏は語りました。 また「2020年以降、15%の法人所得税と研究開発費控除政策を享受しており、3,000万人民元以上の税金が控除されているため、より多くの資金を研究開発に投資することができ、企業のコア・コンピタンスをさらに高めることができました。それ以外に、2021年、横琴税務局は法人所得税の過払い金額の「自動還付」を実施しました。これは申請が不要なだけでなく、最短5営業日で銀行口座に還付されるため、時間とコストの節約にもなります」と述べています。

 

 2021年の第1~3四半期、横琴では総額9億人民元の税金や手数料が減額されており、11月時点で横琴の税務部門は企業に対して14.7億人民元の税還付を行っており、横琴協力区中の企業は研究開発費の追加控除政策を前倒しで享受しており、追加控除額は12.68億人民元に達しています。 また、横琴の小型零細企業も様々な減税政策を享受しており、減税総額は3億1500万人民元に達しています。

 

サービスイノベーションの強化  基幹産業の発展支援

 

 広東-マカオ協力中医薬科技産業園(以下「産業園」)には、現在216社の登録企業があり、そのうち52社がマカオの企業で、中医薬産業のクラスタ効果が徐々に形成されています。 産業園の支援を受けて、「澳邦製薬」(Macau-Union Pharmaceutical) や「張権破痛油」(CHEONG KUN PAIN RELIEVER OIL)などマカオを代表する地場製薬ブランドも海外に進出し、モザンビークでの販売に成功しています。

 

 「産業園の開発は、国や広東省、マカオの政府から強い支持と政策支援を得ています。 税収面だけでも、累計2億5千万人民元以上の減税を享受しています」 。産業園の最高財務責任者である張海鴻氏は、横琴計画が提案する中医薬をはじめとするマカオのブランド産業の発展が、産業園の発展にも大きなチャンスをもたらしたと考えています。

 

 近年、多くのバイオ医薬品企業が産業園に進出し大きな躍進を遂げており、珠海市のバイオ医薬品技術更新の発信地となっています。 また、産業園内の企業は、税制面でのメリットを十分に享受し、研究開発、運営、さらなる発展に関するをサポートを受けています。

 

 産業園の研究開発・試験棟にある珠海天祥粤澳質量技術服務有限公司(Intertek GM Testing Service)は、産業園に導入された重点企業です。 世界有数の第三者試験プラットフォームとして、2020年には企業所得税15%という優遇を享受し、123万人民元の税額を減免することができました。

 

 産業園内のインキュベーション基地に位置する珠海麗凡達生物技術有限公司(Zhuhai Lifanda Biotechnology)は、主に感染症ワクチン、腫瘍、希少疾患、その他のタンパク質欠損疾患のためのmRNA医薬品の研究開発を行っています。 企業所得税の予定納税申告の新政策により、研究開発費1,087万人民元が先に控除され、継続的な研究開発のための資金の支援となりました。

 

 横琴の税務当局は、様々な税務政策を実施する一方で、産業園などの重点産業園区や起業園区を中心に、個別の税務サービスやサポートを提供しています。 産業園には初のスマート税務WeChat(微信)営業所が設置され、園区内の200社以上の企業と周辺企業に、統一社会信用コードの情報収集から、請求書の申請、受領、請求書発行代行、税務申告、支払などの日常業務に至るまで、便利で機能的な税務サービスチャネルを提供し、「5分間税務サービス圏」を実現しています。

 

 

広東省とマカオの民生融合に向けた政策イノベーションの推進

 

 協力区の建設が加速するにつれ、マカオ企業の従業員が横琴に派遣され働くことが徐々に普通のこととなってきており、マカオの納税者は税務政策をよりよく適用し、個人向けにカスタマイズされたユーザーフレンドリーなサービスを享受することができるようにすることは、広東省・マカオ間の人材の流れを加速することにつながります。

 

 例えば、横琴に派遣された、マカオ居民連合総会(UGAMM)広東事務所横琴総合サービスセンターのマカオ人従業員の個人所得税の問題に対して、横琴の税務部門は事前介入し、マカオと横琴両地の雇用形態に対する課税を新しい課題として研究し、税務処理に関連する在留資格の種類、域内の雇用主、域内での勤務日数、域内での滞在日数、域内での居住日数などの要素を総合的に分析し、個人所得税をどのように、どれだけ支払うべきかという問題を解決しました。

 

 また、広東・マカオ融合の過程において、人々の暮らしも大きな関心事の一つです。 社会保険の徴収機関として、横琴の税務部門は人事資源及び社会保障部、医療保険、銀行など各機関と連携し、政策や業務の進行上における革新的なブレークスルーを実現し、大湾区の「社会保障パス」プロジェクトの実施を横琴で推進しています。このプロジェクトは、一方では横琴に住むマカオ人に社会保障を提供し、中国本土でも医療保険を利用できるようにすることを支援するものです。 現在、約4万人のマカオ人が珠海での住民医療保険に加入しており、のべ10万人以上のマカオ人が横琴で治療を受けました。一方、マカオで働く中国本土の労働者は、横琴で非正規雇用形態である企業従業員向けの基礎年金保険に加入することができ、現在861人が加入しています。

 

 2021年4月、横琴税務当局は、時間差ゼロ、リスクゼロ、取扱手数料ゼロという独自のメリットを持つ、初のクロスボーダー完全電子決済による社会保険料(人民元)の支払いを実現しました。

 

 中国の社会保険料の徴収・管理のための情報システムの機能が最適化され、「e-税務局 + UnionPay(銀聯)アプリ/UnionPay(銀聯)オンライン支払」チャネルが開設され、香港・マカオの居住者は、マカオ以外の場所でも数分で銀聯カードを使って社会保険料を支払うことができるようになりました。 現在、マカオ居住者やマカオでの労働者は、マカオで銀聯カードを申請することで、パソコンで直接社会保険料を支払うことができるようになりました。

 

 現在、横琴の「非接触スタイル」での納税率は99.5%に近く、広東省内で第1位となっています。これは、横琴協力区が香港・マカオとの接続を加速させ、最高・最善の国際基準をベンチマークし、一流の税務ビジネス環境を構築していることを示す重要な例でもあります。

 

 

【参考資料】

・広東省、税務面で広東省とマカオのさらなる協力関係をサポート

 

*本記事が記載されている大湾区レターは、以下のリンク先からダウンロードしていただけます。

 

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本記事の目的:

本記事は、主に中国へ進出されている、またはこれから中国進出を検討されている日系企業の皆様を対象に、中国国内での経営活動や今後の中国ビジネスに重大な影響を及ぼしうるような国家・地方レベルの最新の法律法規と関連政策の主な内容とその影響、日系企業をはじめとする外資系企業の取るべき主な対策などを紹介することを目的として作成されています。

 

免責事項:

  1. 本資料はあくまでも参考用として作成されたものであり、法律や財務、税務などに関する詳細な説明事項や提案ではありません。
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