【税制上優遇政策その5】科学技術成果の実用化にかかわる優遇内容
近年、企業の研究開発活動を一層活発化させ、創新能力を強化するために、中国当局は様々な優遇政策を打ち出しています。その中の、成長期にある企業様と関与する可能性が高い税制上優遇政策を紹介させていただきたいと思います。適用条件をチェックしましょう!
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第5回では、科学技術成果の実用化にかかわる優遇内容となります。
(1)技術移転、技術開発、およびそれに関連する技術コンサルティング、技術サービスに対する増値税の免除
【適用対象】
技術移転、技術開発およびそれに関連する技術コンサルティング、技術サービスを提供する納税者
【優遇内容】
納税者は、技術移転、技術開発、およびそれに関連する技術コンサルティング、技術サービスを提供する場合、増値税が免除される。
【適用条件】
- 技術移転、技術開発とは、『サービス、無形資産、不動産の販売にかかわる注釈』における「技術移転」、「研究開発サービス」の範囲内の業務活動を指す。技術コンサルティングとは、特定の技術プロジェクトについて、フィージビリティ・スタディ、技術予測、テーマ別技術調査、分析・評価レポートなどを提供する事業活動を指す。
- 技術移転、技術開発にかかわる技術コンサルティング、技術サービスとは、譲渡人(または受託者)が、技術移転または、開発契約の規定に基づき、譲受人(または委託者)より、移転される(または委託開発される)技術を習得することを支援するために、提供される技術コンサルティング、技術サービス業務であり、かつ当技術コンサルティングまたは、技術サービスの価格は、技術移転または技術開発の価格と同一の発票(インボイス)に記載されるものとする。
【政策根拠】
『財政部 国家税務総局による営業税から増値税への徴収変更試行の全面展開に関連する通知』(財税〔2016〕36 号)添付3『営業税から増値税への徴収変更試行移行政策に関する規定』第1条第(二十六)項
(2)技術移転所得に関する企業所得税の減免
【適用対象】
技術移転を行う居住者企業
【優遇内容】
一課税年度内において、居住者企業の技術移転による所得が500万元を超えない部分について、企業所得税が免除され、500万元を超えた部分については企業所得税が半減される。
【適用条件】
- 優遇内容を受ける技術移転の対象が、企業所得税法で規定されている居住者企業である。
- 技術移転の範囲は、特許(国防特許を含む)、コンピュータソフトウェアの著作権、集積回路のレイアウト設計に関する独占権、植物の新品種に関する権利、生物医学の新品種、及び財政部と国家税務総局が定めるその他技術が含まれている。そのうち、特許とは、法律より、独占権を与えられる発明、実用新型及び単に製品の図案や形状を変更するだけではない外観設計を指す。
- 技術移転とは、居住者企業が所有する上記範囲内における技術の所有権5年以上(5年を含む)の世界的独占ライセンス使用権を移転することを指す。2015年10月1日より、全国の居住者企業が5年以上の非独占的ライセンス使用権を譲渡することによって得た技術移転所得は、企業所得税の優遇内容を享受できる技術移転所得の範囲に入れられるようになった。企業が条件を満たした5年以上の非独占的ライセンス使用権の技術を移転する場合は、当企業が所有権を有する技術に限られる。技術所有権の帰属は、国務院行政管轄部門より確定されるものとする。そのうち、特許の所有権は国家知的財産権局、国防特許の所有権は総装備部、コンピュータソフトウェアの著作権は国家著作権局、集積回路のレイアウト設計の独占権は国家知的財産権局、植物の新品種に関する権利は農業部、生物医薬新品種は国家食品薬品監督管理総局により、帰属が確定される。
- 技術移転を実施するにあたっては、技術移転契約を締結するものとする。そのうち、中国国内における技術移転は省レベル以上の技術部門、中国国外のとのクロスオーバー技術移転は省レベル以上の商務部門、財政経費の援助によって発生した技術の移転は省レベル以上の科学技術部門により審査、承認されるものとする。
【政策根拠】
1.『中華人民共和国企業所得税法』第27条第(四)項
2.『中華人民共和国企業所得税法実施条例』第90条
3.『財政部 国家税務総局による居住者企業の技術移転に関する企業所得税政策問題に関する通知』(財税[2010]第111号)
4.『財政部 国家税務総局 国家自主革新示範区に関連する税制試行的政策の実施を全国へ拡大する通知』(財税〔2015〕第116号 )第2条
5.『国家税務総局 技術移転所得にかかわる企業所得税の減免に関する問題の公告』(2013年第62号)
6.『国家税務総局 ライセンス使用権の技術移転所得にかかわる企業所得税に関する問題の公告』(2015年第82号)