中華人民共和国における市場主体 の登録管理に関する条例【ニューズレター Vol.87】
本記事は、主に中国へ進出されている、またはこれから中国進出を検討されている日系企業の皆様を対象に、中国国内での経営活動や今後の中国ビジネスに重大な影響を及ぼしうるような国家・地方レベルの最新の法律法規と関連政策の主な内容とその影響、日系企業をはじめとする外資系企業の取るべき主な対策などを紹介することを目的として、青葉グループの広東省広州市天河区に拠点を構える弁護士事務所より作成しております。
【背景】
近日、国務院は「中華人民共和国における市場主体の登録管理に関する条例」(以下、「条例」と略称する)を公布し、2022年3月1日から施行することとした。「条例」は、各種の市場主体の登録管理を統一し、規範化させるために中国で制定、公布された最初の行政法規であり、各個別法律法規における市場主体の登録管理に関する制度を最適化と統一し、中国における市場主体の登録管理に関する基本的な制度を確立した。
【影響】
「条例」の公布・施行は、各種の市場主体の正当な権利・利益を保護し、市場の予期と信頼を安定させ、起業・イノベーションを促進するための重要な施策であるとともに、中国の商事制度改革の成果をコンソリデーション・拡大し、市場主体の登録管理のためのより成熟し、確立された基本的な制度の整備を促進するための急務でもある。
【主要内容】
(一)登録プロセスを最適化し、登録効率を高め、その場での手続き完了、一回限りの手続き完了、時間制限のある手続き完了などの制度を推進し、集中処理、近くでの処理、オンライン処理、オフサイトでも処理可能を実現する。
(二)登録機関は、政務情報共有プラットフォームを通じ、入手可能な市場主体の登録関連情報を申請者に重複提供することを要求してはならない。
(三)登録機関は、申請資料に対する形式審査を行う必要がある。申請資料に不備がなく、法定形式に準拠している場合、その場で確認・登録を行う。その場で登録できない場合、3営業日以内に登録しなければならない。状況が複雑な場合、承認を得たうえさらに3営業日延長できる。申請資料に不備がある、または法定形式に準拠していない場合、補足・修正が必要な資料を一括で申請者に通知する必要がある。
(四)電子商取引経営者の経営場所登録を利便化させる。電子商取引プラットフォーム内における自然人経営者は、国の関連規定に従い、電子商取引プラットフォームが提供するオンライン経営場所を経営場所として使用できる。
(五)自然災害や事故災難、公衆衛生事件、社会安全事件などにより経営が困難になった市場主体が、一定期間内に休業することを認める休業制度が初めて設けられた。その目的は、経営難に陥っている企業にバッファリング的な制度選択を提供し、市場主体の維持コストを削減することである。
(六)簡易な登記抹消プロセスを推進する。債権債務がない、または債権債務を精算完済し、精算・返済費用、従業員賃金、社会保険料、法定賠償金、未払税金(延滞金、罰金)が発生していない、または完済した市場主体に関し、投資者全員より書面承諾し、且つ国家企業信用情報公示システムを通じ満20日間公示完了後に、簡易なプロセスに基づき、登記抹消を行うことができる。個人事業主が簡易なプロセスに基づき、登記抹消を行う場合、公示必要がない。
(七)偽りの登録を抑制する。重要な事実を隠蔽するために偽りの資料を提出した、またはその他の詐欺手段を講じたことによって市場主体の登録を得たことに関し、偽りの市場主体登録によって影響を受けた自然人、法人およびその他組織は、登録機関に対し市場主体登録の取り消しを申請できる。登録機関は、受理した後、速やかに調査を行い、調査を経た上で偽りの登録状況が存在していると判断された場合、市場主体の登録を取り消すべきである。
【法規リンク】
AOBA法律事務所代表弁護士のご紹介
免責事項:
- 本資料はあくまでも参考用として作成されたものであり、法律や財務、税務などに関する詳細な説明事項や提案ではありません。
- 青葉コンサルティンググループ及びその傘下の関連会社は、本報告書における法律、法規及び関連政策の変化について追跡報告の義務を有するものではありません。
- 法律法規の解釈や特定政策の実務応用及びその影響は、それぞれのケースやその置かれている状況により大きく異なるため、お客様各社の状況に応じたアドバイスは、各種の有償業務にて承っております。
※当サイトの内容、テキスト、画像等の無断転載・無断使用を固く禁じます。