広東省の銀行業界、第14次5カ年計画期間中に大湾区への金融支援を強化【大湾区情報レター Vol.11】
- 公開日 2021.05.11 最終更新日 2022.01.6 | 大湾区(グレーターベイエリア)情報
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4月27日、広東省の銀行業界2021年第1四半期定例記者会見が広州市で行われました。会見上の情報によると、2021年第1四半期、域内の銀行業界の運営は安定した良い状況を保っており、総資産は、前年同期比10.82%増の19兆7,800億人民元、各種貸出残高の合計は前年同期比17.33%増の13兆1,200億人民元となっています。
金融イノベーション政策の段階的な実施に伴い、銀行は大湾区がもたらす良好な発展の機会について楽観視していると報告されています。中国工商銀行広東支店(ICBC広東)、広発銀行、広州銀行、上海浦東発展銀行広州支店など多くの銀行が、会見において大湾区建設への金融支援を強化すると述べました。
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国際金融ハブの地位が具体化
会見での情報によると、今年の第1四半期、広東省の銀行運営は順調で、主要なリスク指標は妥当な範囲内に収まっています。 管轄区域内の不良債権残高は1,311億700万人民元で、前年同期比0.63%の減少となりました。不良債権比率は0.18%減少し、全国平均を大幅に下回りました。リスク負担能力は引き続き強化されており、域内の銀行業貸倒引当金カバー率は209.07%で、年初と比較し0.85%上昇しました。
第1四半期、広東省の銀行業界は、先進的金融を以って大湾区建設を支援することに注力しており、国際金融ハブとしての大湾区の地位が具体化してきています。 現在、香港・マカオ系銀行機関は中国本土においても有数の規模を誇っており、香港・マカオ系の銀行14行が深圳を除く大湾区において80以上の商業銀行および3つの駐在員事務所を開設しています。
また、様々なタイプの金融イノベーションが徐々に促進されています。 報道によると、広東省銀行保険監督管理局(以下「広東銀保監局」)は、大湾区における「クロスボーダー・ウェルスマネジメント・コネクト(跨境理財通)」のパイロットスキームを積極的に推進しており、中国銀行保険監督管理委員会および中国人民銀行と協力の上実施細則制定を策定し、可能な限り早期に実施することを目指しているとのことです。
省都としての地方監督責任を強化するため、広東銀保監局は「広州地区銀行業保険業監督管理委員会の設立に関する通知」を発表し、広州地区銀行業保険業監督管理委員会を設立して「広州監督モデル地区」の立ち上げを主導することになりました。「広州地区銀行業保険業監督管理委員会」は、広東銀保監局の主な責任者が主任を務めます。
「広州監督モデル地区」は「モデル」に重点を置き、より創造的で主導的な活動を行い、広州地区の銀行・保険機関のリスク監督を強化し、各機関が実体経済への貢献と改革・革新への努力を高めるよう指導し、広州地区のビジネス発展のための統括指導を強化することにより、 より多くの「広州初」を生み出し、中国国内で模範的かつ主導的な役割を果たす注目のブランドをより多く創出していきます。
郊外の施設建設支援がキーワード
第14次5カ年計画期間において、グリーン開発と農村の活性化に対する金融支援は、各銀行にとって重要事項となっています。
ICBC広東の蘇国慶副頭取は、同行発展計画は第14次5ヵ年計画および経済社会発展の課題に完全に合致しており、大湾区の戦略的展開および「一核一帶一区」の地域発展計画と密接に連携し、新しい発展スタイルに融合していくと述べました。また、今後3年間でICBC広東は3兆8,000億人民元の融資を割り当てる予定であり、当行の製造業向け融資の年間増加率は17%を下回らず、銀行全行における製造業向け融資に占める先進的製造業向け融資は増加し、45%を超える見込みです。
金融包摂(すべての人が金融サービスを利用できるようにすること)の増加率は同行の融資の増加率を下回らない見込みで、また農業関連分野の融資残高は1,000億人民元を超え、グリーンファイナンスの融資残高は1,300億人民元に達する見込みで、「炭素排出ピークアウト」「カーボンニュートラル」の実現に向けて、金融の力で美しい山河を守っていきます。
広発銀行、上海浦東発展銀行広州支店も、インフラ、テクノロジー、イノベーション、環境保護などの方面で大湾区での建設を支援していく予定と会見で述べました。
【参考資料】
・広東省の銀行業界、第14次5カ年計画期間における大湾区での金融支援を強化
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本記事の目的:
本記事は、主に中国へ進出されている、またはこれから中国進出を検討されている日系企業の皆様を対象に、中国国内での経営活動や今後の中国ビジネスに重大な影響を及ぼしうるような国家・地方レベルの最新の法律法規と関連政策の主な内容とその影響、日系企業をはじめとする外資系企業の取るべき主な対策などを紹介することを目的として作成されています。
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