2020年版外商投資参入ネガティブリストおよび企業設立サービスの改善に係る通知【ニューズレター Vol.80】
不定期ではございますが、青葉グループではニューズレターを配信しております。青葉ニューズレター【Vol.80】の内容は、
- 「海南自由貿易港全体計画」の解読
- 2020年版の外商投資参入におけるネガティブリストの公布
- 財務部 税関総署 税務総局による海南離島旅行客免税ショッピング政策に関する政策公告
- 海南自由貿易港における企業所得税優遇制政策の通知
- 企業設立サービスの更なる改善に係る通知
となっております。
今回はその中から、”2020年版の外商投資参入におけるネガティブリストの公布”および”企業設立サービスの更なる改善に係る通知”についてご紹介いたします。
(*全記事が記載されているニューズレターはこのリンクからダウンロードしていただけます。)
Contents
1. 2020年版外商投資参入におけるネガティブリストの公布について
2020年6月23日に中国国家発展改革委員会、商務部より、「外商投資参入における特別管理措置(ネガティブリスト)(2020年版)」と「自由貿易試験区外商投資参入における特別管理措置(ネガティブリスト)(2020年版)」がそれぞれ公布され、2020年7月23日より施行開始した。
※ネガティブリストとは:
外商投資参入特別管理措置、通称”ネガティブリスト”とは、外資系企業による投資の制限または禁止項目を規定したリストの表である。「全国版」と「自由貿易試験区版」で構成されており、その2020年度版が公布され、同時に2019年版は廃止となった。
2020年に入ってから、新型コロナウィルスの拡散により、世界の多国籍投資に大きな衝撃を与え、世界経済は深刻な影響を受けた。そのため、2020年版の外商投資参入におけるネガティブリストの公布は、より広範囲、より広い分野、より深いレベルの開放を実施する内容となった。
主要内容
今回の改正は特別管理措置項目を増やさず原則減少、簡素化された。
全国のネガティブリストの特別管理措置項目は40条から33条に削減(17.5%減)、自由貿易試験区ネガティブリストの項目は37条から30条に削減(18.9%減)となった。
主な変化については以下の通り:
① サービス業の重点分野の開放
●金融分野:
証券会社、証券投資ファンド管理会社、先物会社、生命保険会社の外資持ち株率への制限を撤廃。
●インフラ分野:
中国側が支配株主である企業のみが、人口50万人以上の都市の排水管網の建設・運営に携われる。という規定の廃止。
② 製造業、農業の参入緩和
●製造分野:
商用車製造に関する外資持分率の制限を撤廃。
放射性鉱物精製、加工及び核燃料生産への外商投資を禁止する規定の廃止。
●農業分野:
小麦の新品種の育成と種の生産条件が緩和。
「中国側を支配株主とする」という企業の条件を「中国側の持ち株率が34%を下回らない場合」という条件に変更
③ 自由貿易試験区での引き続き先行試験の実施
●医薬分野:
漢方薬の“蒸す”、“炒める”、“炙る”、“焼く”などの加工処理技術の応用及び漢方薬の秘伝処方箋製品の生産への外商投資参入を開放
●教育分野:
学制系職業教育機関の設立へにおいて100%外商投資を許可
2. 企業設立サービス改善の通知について
「放管服」※改革を進めビジネス環境を改善するために、今後の新規企業設立の手続きがより一層簡素化される内容の企業設立サービスの改善、企業設立の全プロセスのオンライン手続きを載せた「通知」が2020年6月24日に発布された。
※「放管服」とは:
政府機構を簡潔にし権利を開放する、サービス改善の略称。
「放」は政府機構、権利の開放、門戸を下げることを意味し、
「管」は新しい監督管理を作り上げ、公平な競争の促進を意味し、
「服」は効率的なサービスによって、利便性のある環境を作り出すことを指す。
主要内容
1)企業設立の全プロセスをオンラインで完結
2020年年末までに、全国で「1度のログイン」で、企業設立の全手続きが完了するサービスのプラットフォームを開通させ、全国各地企業設立の全ステップをオンライン手続きで実現させる。
1回のみの申請者の身分検証を経て、オンラインによる「1度のログイン」は、企業登記、公印の刻印、発票と税コントロール装置、従業員保険加入登記、住宅積立金の企業分の支払い積み立て登記、これら全てを完結させる。
2)企業設立にかかる期間の短縮とコストの削減
2020年年末までに、全国で企業設立にかかる期間を短縮させ、4営業日以内に完了させる。また一定の条件を満たしている地域は、3営業日以内まで短縮が可能とする。(*上記「1度のログイン」により期間短縮を実現させる)
そして関連の申請は、企業に経営許可証のコピーや法定代表人(責任者など)の身分証明に関する資料の提出を必要としない。また一定の条件を満たしている地域は、無料にて新設企業に対して税務Ukey※ を提供する。
※UKeyとは:
インターネットの安全性を確保するため、中国情報安全測定認証センターによって認証されるパスワードを生成するデバイスのこと。Eメールの受発信、オンラインでの会話、インターネット上での資料への署名などの操作において改ざんなどの危険性を防ぐことが出来る。
3)電子営業許可証、電子発票、電子印章の推進
2020年年末までに、オンライン手続きでの企業設立において合法的で、有効な身分証明、電子署名の手段として電子営業許可証を促進させる。
また増値税電子普通発票と増値税専用発票の電子化も引き続き促進させる。
また一定の条件を満たしている地域では、電子営業許可証と電子印章を同時に提供されるよう、電子印章を促進させる。
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本記事の目的:
本記事は、主に中国へ進出されている、またはこれから中国進出を検討されている日系企業の皆様を対象に、中国国内での経営活動や今後の中国ビジネスに重大な影響を及ぼしうるような国家・地方レベルの最新の法律法規と関連政策の主な内容とその影響、日系企業をはじめとする外資系企業の取るべき主な対策などを紹介することを目的として、青葉グループの広東省広州市天河区に拠点を構える弁護士事務所より作成しております。
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