海南自由貿易港に関する計画・企業所得税優遇制政策・旅行客免税ショッピング政策について【ニューズレター Vol.80】
不定期ではございますが、青葉グループではニューズレターを配信しております。青葉ニューズレター【Vol.80】の内容は、
- 「海南自由貿易港全体計画」の解読
- 2020年版の外商投資参入におけるネガティブリストの公布
- 海南離島旅行客免税ショッピング政策に関する政策公告
- 海南自由貿易港における企業所得税優遇制政策の通知
- 企業設立サービスの更なる改善に係る通知
となっております。
今回はその中から「海南自由貿易港」の主要計画内容、企業所得税優遇税制、そして海南離島旅行客免税ショッピング政策に関する政策公告についてご紹介いたします。(*全記事が記載されているニューズレターはこのリンクからダウンロードしていただけます。)
Contents
1. 海南自由貿易港の計画について
中国共産党中央国務院は6月1日に「海南自由貿易港全体案」(以下、方案)を公布し、世界レベルにおいても海南島を中国の開放型経済新の先駆地及びハイレベル自由貿易港として設立する方案を発表した。海南島全土を税関監督特殊区域とする。
主要内容
1)各制度について
法制度および税制度を含んだ各制度について、他の中国地域とは違った革新的な制度の採用を予定している。具体的には以下の通り。
① 貿易の自由と利便性
→ 貨物貿易に対して、基本的に「ゼロ関税」とした自由化・利便化政策措置を実施する。
② 投資の自由と利便性
→ 海南自由貿易港市場への参入を大幅に緩和し、財産権保護を強化することで、公平な競争を保障する。
③ クロスボーダー資金の流動の自由と利便性
→ 段階的に資本項目を開放することで、秩序立てて海南自由貿易港における海外資金の自由で利便性のある流動性を推進する。
④ 人員の出入りの自由と利便性
→ より開放的な人材の流入と、居留するための政策を実行し、人材集積の先駆け的な場所を構築。より便利な出入国管理政策を実行する。
⑤ 輸送の自由と利便性
→ 自由で便利な開放的な輸送政策を実施するため、西部における陸・海・空の中枢施設の建設を行い、総合交通運輸システムの構築を加速する。
⑥ データの安全性
→ データの安全性を確保することにより、十分なデータ集積を実現させ、デジタル経済の育成・発展を目指す安全制度の設計を行う。
⑦ 税金制度
→ ゼロ関税、低税率、税制の簡素化、法治強化など、段階的に自由貿易港に適応した税金制度を確立していく。
⑧ 法治制度
→ 地方性法規と紛争解決を中心とした自由貿易港法治システムを構築する。
2)段階的な建設計画について
建設の計画は、大きく分けて2025年までと、2035年までの2段階に分けて推進する。(*詳細はニューズレター記載)
-2025年までは基礎を固める:
海南島全土において税関監督特殊区域と見なすための条件を揃えるための基礎固めを行い、税関運営実施のために準備を整える。
-2035年までに各種政策の実施:
先に実施した制度の基、自由貿易港制度体系と運営モデルを形成させ、各種要素の利便的かつ効率的な流動を実現させる。
2. 海南自由貿易港における企業所得税優遇制政策の通知について
「海南自由貿易港の建設の総体法案」に続き、2020年6月23日、財政部税務総局は「海南自由貿易港における企業所得税優遇政策の通知」を発布、海南自由貿易港(以下、海南)の建設において税収制度方面の整備を率先して整備する姿勢が伺える。当政策は、2020年1月1日より2024年12月31日まで実施。
主要内容
1)海南にて登記及び実質的な運営をしている奨励産業企業に対し、企業所得税は15%まで減税
奨励産業とは:
主要事業が海南の奨励産業リストにて規定されている産業プロジェクトとし、その主要事業の収入が収入全体の60%以上を占める企業を指す。
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実質的な運営とは:
企業の実質的な管理機構が海南にあり、且つ企業の生産経営、人員、財務、財産などに対する実質的、全面的な管理とコントロールが行われていることを指す。実質的な運営企業という条件に合致しなければ、優遇を享受することはできない。
2)旅行業、現代サービス業、ハイテク産業企業が、新たな海外直接投資による所得は、企業所得税を免除
海南設立企業の指定産業の新たな海外直接投資による所得とは、下記の条件に合致するものをいう。
① 新規設立した海外支店(または支店機能を備えた恒久施設)により得た営業利益。もしくは、持ち株比率20%以上の海外子会社の配当と新規海外直接投資に相応する配当金所得。
② 投資先の国・地域の企業所得税の法定税率が5%を下回らない。
※ここでいう指定産業の旅行業、現代サービス、ハイテク産業とは、海南の奨励類産業リストに準拠していることを前提。
3)一括償却資産による節税措置
海南設立企業は以下の条件により、税務上、固定資産もしくは無形資産の一括償却が可能。
① 新規に購入(自設、自身での開発を含む)したもの。
② その価値が500万元以下である (※500万元以上の場合、減価償却期間の短縮などの採用が可能)
※ここで言う固定資産とは家屋、建築物以外の固定資産を指す。
3. 海南離島旅行客免税ショッピング政策に関する政策公告
「海南自由貿易港の建設の総体法案」の中で「離島免税ショッピング年間限度額を1人あたり10万元に引き上げ、免税商品の種類を充実させる」と提起された。それを受け、財務部、税関総署、税務総局は、「海南離島旅行客免税ショッピング政策に関する公告」(以下「公告」)を公布し、2020年7月1日から実施する。
2011年から開始された離島旅行客免税ショッピング政策は、海南省を国際的な観光島への発展を促進してきた。今回の政策調整により、消費者の購買行動をさらに促し、海南島を国際観光消費センターとして促進させ、海南自由貿易港建設に対する信念を強めることを狙いとしている。
主要内容
① 免税となる年間限度額を3万人民元から10万人民元まで引き上げ
② 免税の対象となる商品の種類を45種に増加(電子消費製品7種類などの人気の商品を増やす)
③ 単品で8000人民元までの免税限度額規定を取り消し
④ 1回の購買で数量制限のある商品種類を大幅に減少 (化粧品、携帯電話、そしてアルコール類商品に対してのみ1回の購買で購入できる数量を設定)
⑤ 免税品販売資格を所有する企業は平等に海南離島免税事業に参与可能
⑥ 転売、密輸に関与する個人、企業、離島免税店が負うべき法律責任を明確にする
※免税限度額・数量を超えた部分に対して、規則に従い、輸入商品関税を徴収する
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本記事の目的:
本記事は、主に中国へ進出されている、またはこれから中国進出を検討されている日系企業の皆様を対象に、中国国内での経営活動や今後の中国ビジネスに重大な影響を及ぼしうるような国家・地方レベルの最新の法律法規と関連政策の主な内容とその影響、日系企業をはじめとする外資系企業の取るべき主な対策などを紹介することを目的として、青葉グループの広東省広州市天河区に拠点を構える弁護士事務所より作成しております。
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