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【香港】法人税査定通知書 法人税の還付ってどういうこと?

 

香港企業は決算日を迎えてから監査を受け、香港税務局へ法人税の申告を行います。(BIR51フォームにて申告。)通常申告から2~3か月ほどで、香港税務局より、その申告内容の査定結果が記載された、法人税査定通知書(Notice of Assessment:通称NOA)が発行されます。2024年3月が決算期の企業では、最近受領したというケースが多いのではないでしょうか。

 

通知書を受領後、査定の結果として法人税が発生している場合、企業は通知書に記載されている指定の期限までに納税を行いますが、一方で査定の結果、法人税を「還付」すると通知され、納税が不要な場合もあります。

 

日本では中間納付と最終納付の調整により、還付となることが珍しくないかと思いますが、中間納付が存在しない香港で還付となった場合、昨年は納税したのに今年は払わなくていいってどういうこと?と混乱される方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は香港の法人税における納税・還付についてそれぞれご説明させていただきます。

 

 

法人税査定通知書の構成

納税の場合の法人税査定通知書

まず納税となる場合の法人税査定通知書には、「Assessment Demanding Final Tax for 2023/24 and Notice for Payment of Provisional Tax for 2024/25」という表題で届きます。3ページで構成されており、個人所得税の納税通知書と比較的近いものとなっており、1ページ目が査定結果が記載された大枠の計算概要、2ページ目が税金計算表の明細、3ページ目が支払いバウチャーとなっています。

 

(関連記事:「香港、はじめての納税。これでいいのか、と不安なあなたへ」にて個人所得税について紹介しております)

 

 

 

還付の場合の法人税査定通知書

還付の場合の法人税査定通知書には、上述の納税の通知書の表題と少々異なり、「Notice of Assessment and Refund of Tax for 2023/24 and Notice of Provisional Tax for 2024/25」という表題で届きます。通知書は合計2ページのみですが、納税の場合と同じく1ページ目が概要、2ページが明細となっております。ただし、通知書に還付用の小切手が添付されています。小切手については後述する4にて詳しくお話いたします。

 

 

 

 

納税額・還付額の算出方法の見方

冒頭でお話しした通り、香港に中間納税というシステムはありませんが、代わりに当年度分の確定納税とともに、翌年度も当年度と同額の所得が発生するであろうという見込みによる法人税を納付する必要があります(以下、予定納税)。

 

 

これが一度納税した法人税の還付が発生する答えとなります。

 

 

まず、香港で会社を設立したあと、一番最初に初年度分の法人税を納税する際は、確定納税と予定納税の2年度分納付することになりますが、その次年度以降は、前年度に納付した予定納税額が当年度に納付する確定納税分と予定納税分の総額から控除されるため、利益が前年度と大きく変わらなければ、実質1年度分ほどの納税額になります。

 

しかし、もしも赤字であった場合や、確定利益が前年度より少なかった場合、前年度に納付した予定納税分が、当年度に確定した納税額を超えるため、還付される、ということになるのです。

 

 

この税金計算の内容が1ページ目もしくは2ページ目で確認することができます。

簡単な例を基にした算出方法は以下の通り。

 

例1:納税(Payable)

今回2023/24年分の確定納税額がHK$200,000
前回2023/24年分として納めた予定納税額がHK$100,000
今回2024/25年分の予定納税額がHK$200,000

 

HK$200,000(今確定)-HK$100,000(前予定)+HK$200,000(今予定)
=HK$300,000

 

 

例2:還付(Repayable)

今回2023/24年分の確定納税額がHK$100,000
前回2023/24年分として納めた予定納税額がHK$250,000
今回2024/25年分の予定納税額がHK$100,000

 

HK$100,000(今確定)-HK$250,000(前予定)+HK$100,000(今予定)
=-HK$5,000

 

 

上記の通り、計算後金額がプラスの場合は納税、マイナスとなる場合は還付となります。ただし、その年度毎により、政府の予算案で決済された特別控除などもあるため、予定納税額と確定納税額の調整だけではプラスの場合でも、控除の結果、マイナスとなり還付となる可能性もございます。

 

なお、予定納税システムは法人税だけでなく、個人所得税でも同様です。

 

 

 

還付額の受け取り方法

前述のとおり査定結果が還付となった場合は、小切手が同封されています。それぞれご利用の銀行に小切手を持ち込むことで、還付額を受け取ることが可能となります。

 

残念ながら銀行振込などの企業が受取方法を選択することはできず、小切手の一択となっています。香港社がペーパーカンパニーで、小切手での入金が難しい場合は、弊社にてサポートが可能ですので、お困りの場合はお気軽にお問合せ下さい

 

 

 

おわりに

予定納税というシステムにより、香港での税金の計算は一見複雑な印象を与えますが、一度算出方法を覚えてしまえば確認は比較的容易なものかと思います。ただし最終的に正確な査定額を得るためには、的確な税務申告が必要となります。

 

弊社にて税務申告の代行業務も提供しておりますので、税務申告や査定額に疑問やご懸念がある場合には、お気軽にお問合せ下さい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本記事の目的:

本記事は、主に香港へ進出されている、またはこれから香港進出を検討されている日系企業の皆様を対象に、香港での経営活動や今後の香港ビジネスに重大な影響を及ぼしうるような最新の法律法規と関連政策の主な内容とその影響、日系企業をはじめとする外資系企業の取るべき主な対策などを紹介することを目的として作成されています。

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