CEPAサービス貿易協定さらに改定 中国本土はこれらの分野で香港に再び門戸を開く【大湾区情報レター Vol.84】
- 公開日 2024.11.27 | 大湾区(グレーターベイエリア)情報
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10月9日、商務部国際貿易交渉副代表である李詠箑氏と香港特別行政区財政司司長である陳茂波氏は、香港で「中国本土と香港経済・貿易関係緊密化の取り決め」(CEPA)サービス貿易協定の改定に関する第二協定(以下「第二協定」)へ共同署名しました。 第二協定は署名日より発効し、2025年3月1日に正式実施となります。香港特別行政区行政長官ジョン・リー氏と中央政府駐香港連絡事務所の副主任、尹宗華氏が立ち会いました。
Contents
香港が中国本土の対外開放における役割を果たすための改善
中国本土と香港は2015年11月、CEPAの枠組みの下、サービス貿易協定に署名し、両地間のサービス貿易自由化を基本的に実現しました。今回の改定は、中国共産党第20回全国代表大会と中国共産党第20期中央委員会第2回、第3回全体会議の精神を実行するための重要な取り組みであり、香港が中国本土の対外開放においてより良い役割を果たすためのメカニズムを改善するものとなっています。この改定はまた、2019年における最初の改定に続く「CEPAサービス貿易協定」に対する再改定であり、両地間の経済貿易交流と協力をさらに深め、香港の経済成長と発展を目指すために強力な支援を提供し、香港の「社会の安定からの繁栄」(中国語で「由治及興」)による発展、国家発展全体の情勢へのより良い統合を支援します。
今回の改定では、香港の経済・社会発展のニーズと業界の要望に応じ、金融、通信、建築、観光などの分野において、香港のサービス提供者の参入障壁ををさらに引き下げ、あるいは撤廃することで、中国本土での雇用や業務を促進します。一部の自由化措置は大湾区において先行実施され、大湾区におけるメカニズムの統合と規制のコンバージェンスをさらに促進します。
大湾区の試験都市に登記された香港企業等を支援する「香港企業への香港法適用」
新しい協定では、香港投資家への円滑化措置として、大湾区のパイロット都市に登記された香港企業等を支援する「香港企業への香港法適用」と「香港企業への香港仲裁適用」が新たに追加されました。サービス貿易に関するルールの透明性、予測可能性、効率性を確保し、国際的な高水準の経済・貿易ルールに統合させるために、「ローカルルール」に関する新たなコミットメントを追加し、企業がマーケットにおいてサービスを提供する際の煩雑なルールを徹廃し、企業の貿易コストを引き下げること等により、サービス貿易を促進します。
ほとんどのサービス分野において、香港のサービス提供業者が香港で3年間の実質的な事業活動を行わないといけないという年数規制を撤廃し、香港の新興企業がより早い段階で優遇措置を享受できるようにし、中国本土マーケットを開拓するために香港を拠点とする世界中の企業や人材をひきつけます。
CEPAの枠組みの下、広東省・香港・マカオ間のヒト、モノ、カネ、データなど効率的で自由な流れを促進
今年はCEPA調印から21周年にあたります。CEPAの実施以来、中国本土と香港は、貨物貿易分野において完全に自由化を実現し、サービス貿易分野において基本的に自由化を実現できたとされています。現在、サービス貿易分野において、中国本土はサービス産業の153分野に対して香港に開放しており、世界貿易組織(WTO)のサービス貿易分野160のうち96%を占めており、香港の専門サービス業の発展を促進するとともに、香港の専門家の中国本土における雇用や開業において協力なサポートとなっています。
CEPAの枠組みの下で、広東省は香港・マカオへのサービス産業の開放を継続的に拡大し、広東省・香港・マカオ間のヒト、モノ、カネ、データなどの資源要素の効率的で自由な流れを促進し、大湾区サービス貿易の一体化レベルとサービス能力を絶えず向上させていきます。
また、深圳税関の統計によると、今年5月末現在、CEPAのもとで累計375億6,000万人民元の貨物が深圳経由で輸入され、32億9,000万人民元の関税が引き下げられました。深圳経由の輸入貨物の年間優遇貨物価値は、2004年の2億6,000万人民元から2023年の28億8,000万人民元まで増加し、11倍の大幅増加となりました。
【参考資料】
*本記事が記載されている大湾区レターは、以下のリンク先からダウンロードしていただけます。
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本記事の目的:
本記事は、主に中国へ進出されている、またはこれから中国進出を検討されている日系企業の皆様を対象に、中国国内での経営活動や今後の中国ビジネスに重大な影響を及ぼしうるような国家・地方レベルの最新の法律法規と関連政策の主な内容とその影響、日系企業をはじめとする外資系企業の取るべき主な対策などを紹介することを目的として作成されています。
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