金やコモディティ市場は香港の成長を牽引できると財務長官は語る
- 公開日 2024.10.25 | 香港
昨年コロナの規制を撤廃した香港は、徐々に経済が回復へと向かっています。
現在、香港において金やコモディティ取引が活発になってきており、それらの取引より香港の成長を促すことが可能であると、香港のポール・チャン財務長官が述べています。また、特に金の取引について注目しているようです。
金と商品取引の発展が経済に「新たな成長の勢い」
先日、香港の財務長官は、香港の金とコモディティ取引の発展が経済に「新たな成長の勢い」をもたらすと期待を示し、地域間の競争が激化する中、香港の保管能力の拡大に注力することを明言しました。
また、財務長官は、地政学的緊張が高まる中、世界的な金への需要が「高水準で推移する」と予測されることから、金の取引には大きな成長の可能性があると言及しています。また彼は、金は一般的に経済や市場が不安定な時期には 「セーフヘイブン 」投資、いわゆる不安定な市場から避難するための投資先とみなされることを指摘した上で、
「国際的な金の取引市場の発展することであれ、コモディティ取引のエコシステム(取引の効率化)の確立であれ、金は複数の幅広い産業に新たな刺激を与え、新たな経済的機会を生み出すことが可能である。私たちが正しく発展する為の目標を選択し、優れた戦略を計画し、目標に向かって着実に前進する限り、必ずや新たな成長や機会を生み出し、香港経済の更なるアップグレードを加速させ、新たな発展に貢献をすることが可能である。」
と述べています。
香港は世界最大級の金の市場
香港は金の取引において100年以上の歴史があり、金の輸出入量では世界最大級の市場として位置付けられています。香港特別行政長官のジョン・リー氏は、
「地政学的な観点から、香港は魅力的な金の保管場所であり、より多くの取引、決済、受け渡しが行われることになる。」
と言及しており、また、財政長官は、
「香港は既に金の輸出入量において世界レベルで高い位置づけにある。その理由は、香港は中国本土とインドといった金の大きな消費市場であり、その両国の間に位置していることで「戦略的な立地」であるためである。」
と述べています。香港における0.99純度の金地金の取引は、過去10年間で年平均成長率が18%伸びており、2024年の第1四半期には前年比成長率が20%に達しました。
また、財務長官は、
「現在の1日の金の平均取引量は、約1億米ドルであり、将来的には倍増する可能性がある」
と推測しております。
金市場への政府の取り組み
さらに、ジョン・リー行政長官は、3回目となる年次政策演説を行い、その中で、香港の金の取引市場を国際的なレベルに引き上げ、世界的な金融ハブとしての香港の地位を強化する計画が盛り込まれました。
その中で、香港空港にはすでに約150トンの金保管庫があること、そして、シンガポールは8月に空港の近くに500トンの新しい保管庫の建設を発表したことを指摘しました。
その他の提案として、年末までに金融・財務局の下にワーキンググループを設置し、香港の金の取引の仕組みや規制の枠組みを強化し、保管施設の開発をさらに促進することなども発表されています。
また、財政長官は、
「香港が金の倉庫と取引のためのインフラが統合するにつれ、香港は中国本土や国際市場へアクセスするための支援を必要としており、またさらにそのリスクを管理するツールを開発する必要がある。」
と述べました。
そしてさらに、
「抵当権、借入、ヘッジオプション、その他の関連デリバティブ取引を拡大し、それに伴い徐々に、完全なエコシステムを構築し、取引を効率化していくであろう。金のみならず、非鉄金属(銅、アルミニウム、鉛を含む)のようなコモディティ取引へのような他の分野においても拡大を検討すべきだ。」
と付け加えました。
まとめ
香港証券取引所の子会社であるロンドン金属取引所は6月、世界的なネットワークを補完し、中国本土と世界の間で高まる金の取引への需要に対応するため、香港に倉庫を増設することを検討していることを明らかにしました。
金やコモディティの取引は、国際金融センターとしての香港の役割を促進し、香港、マカオ、広東省全体の海運と貿易の発展を促進させることが期待されます。
そして、香港に認定倉庫を設置することで、中国本土、さらにはアジア地域のユーザーにとって、最も便利で、費用対効果が高く、安全な積み替えルートを提供することができるようになるでしょう。
【参照先リンク】
Gold and other commodities markets can drive Hong Kong’s growth, finance chief says
本記事の目的:
本記事は、主に香港へ進出されている、またはこれから香港進出を検討されている日系企業の皆様を対象に、香港での経営活動や今後の香港ビジネスに重大な影響を及ぼしうるような最新の法律法規と関連政策の主な内容とその影響、日系企業をはじめとする外資系企業の取るべき主な対策などを紹介することを目的として作成されています。
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