横琴「一線開通、二線管理」開始から半年。車は23秒で通行、3,289名のマカオ住民が食品携帯しボーダー超え【大湾区情報レター Vol.83】
- 公開日 2024.10.11 | 大湾区(グレーターベイエリア)情報
「大湾区情報レター」では、今後、日系企業の皆様に有用と考えられる最新情報をピックアップしお届けしていきます。
2024年9月1日に、横琴・広東・マカオ深層協力区(以下「協力区」)が「一線開通、二線管理*」政策実施されてから半年が経過しました。
*一線開通、二線管理:「一線」は「第一ボーダー」、「二線」は「第二ボーダー」を指す。
第一ボーダー:マカオと広東省珠海横琴間の境界線を指す。
第二ボーダー:広東省珠海市横琴と中国本土の他地域との境界線を指す。
この半年間で「第一ボーダー」の車両の出入境台数は延べ115万台を超え、そして「新家園ルート」を通じて迅速出入境手続きをした出入境者数は延べ105万9,000人に達しました。また「第一ボーダー」において、審査を経た3,298名のマカオ住民が「関連動植物製品の協力持ち込み許可」も優遇政策が適用されました。「 第二ボーダー」から協力区外へ通過した車両については、延べ938万6,000台ほどに達しています。協力区の「第一ボーダー」「第二ボーダー」の運営は安定的かつ円滑であり、各政策の効果は着実に発揮されているとのことです。
国境を越える車両の出入境手続きの効率が43%向上
「関連動植物製品の協力持ち込み許可」も優遇政策が適用されたマカオ住民の黄氏は、
「マカオ名物のエッグタルトやポークジャーキーも、マカオから横琴に持っていくことができる」
と、数ヶ月前まではとても新鮮に感じていたことが、今ではこれに慣れてしまった、と話しています。
ボーダー管理開始後、条件に合致するマカオ住民が加熱した食肉製品、乳製品、ゆで卵、野菜、果物、新鮮な切り花などを持って横琴に入ることが許可されました。この措置は中国で初めてのことで、横琴協力区とマカオのためにカスタマイズした利便的措置であり、マカオ住民の協力区での進学、就業、起業、生活に直接的メリットをもたらしています。
それだけでなく、横琴・マカオ入出境手続きに関する利便性向上により、二地域居住という生活スタイルがより多くのマカオ住民に選択されるようになりました。横琴ボーダーの出境検査ホールでは、税関と保安検査部門がX線検査機を共用し、「1機2画面、1回通関」といった仕様を実施しているため、出境者の所持荷物は1回の通過だけでスムーズに通関できます。
入境ホールには「新家園」という便利なファストレーンが設置され、マカオの4カテゴリーの住民は、7つの大分類の300種類以上の動植物製品を携帯し迅速に入境手続きを行うことができます。貨物車の「広東・マカオ連合ワンストップ」ルートでは、広東・マカオの5つの検査機関が共同で作業し、クロスボーダー車両に対し、一回の手続きで完了することを実現させ、税関審査の平均検査時間は40秒から23秒に短縮され、出入境手続きの効率は43%向上しました。
96の企業・事業体が免税事業体資格を取得
絶えず向上している通行効率と各優遇措置は、横琴・マカオ一体化の加速発展を推進しています。
芯潮流(珠海)科技有限公司は、集積回路の設計と検証に必要なハイエンド設備を輸入するにあたり、免税輸入事業体資格審査を通過しました。
「横琴税関は早い段階から当社の相談に乗ってくれ、資格審査通過後、自社用機械の輸入免税政策を受けることができた。これにより当社の調達運営コストを大幅に削減でき、市場競争力を強化することができる」
と、同社の最高財務責任者、葛一益氏は述べました。
横琴協力区のボーダー管理政策が実施された後、「第一ボーダー」である横琴ボーダーを経てマカオから協力区に搬送された貨物の保税免除政策はさらに拡大し、免税輸入を適用できる事業体は企業、社会団体、民営非企業事業体を含む6種類までに拡大し、免税対象外商品リストは大幅に削減されました。
現在、96の企業・事業体が免税事業体資格を取得しており、科学技術研究開発とハイエンド製造業、文化観光、国際会議・展示会、商業・貿易産業など多くの重点産業をカバーしています。3月1日から7月31日まで、協力区内の税関登録企業の輸出入総額は91億9,000万元に達しました。
また、貨物は「第二ボーダー」を経て横琴協力区に搬入される場合、増値税と消費税は還付され、輸出関税だけが徴収されます。
広薬(珠海横琴)医薬輸出入有限公司の朱振宇社長によると、
「同社はすでに輸出税還付政策の実質的な恩恵を十分に享受している。当社は中国本土から原材料(霊芝胞子油)を仕入れ、貨物が第二ボーダーを通過するとみなし輸出還付政策を享受でき、還付金はわずか2営業日以内に入金されました。これは当社にとって、企業の資金繰りを緩和できると同時に、財務コストを削減することもできました」
と述べました。
【参考資料】
横琴分线管理“半年考”:23秒驱车通关,3298名澳门居民带食品过境
*本記事が記載されている大湾区レターは、以下のリンク先からダウンロードしていただけます。
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本記事の目的:
本記事は、主に中国へ進出されている、またはこれから中国進出を検討されている日系企業の皆様を対象に、中国国内での経営活動や今後の中国ビジネスに重大な影響を及ぼしうるような国家・地方レベルの最新の法律法規と関連政策の主な内容とその影響、日系企業をはじめとする外資系企業の取るべき主な対策などを紹介することを目的として作成されています。
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