全面実施からRCEPが1周年、広東省では輸入税3.5億元が減免【大湾区情報レター Vol.80】
- 公開日 2024.07.1 | 大湾区(グレーターベイエリア)情報
「大湾区情報レター」では、今後、日系企業の皆様に有用と考えられる最新情報をピックアップしお届けしていきます。
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全15加盟国になって1周年を迎えたRCEP
「地域的包括的経済連携協定」(RCEP)は現在の全15加盟国となって発効されたのが2023年6月2日で、一周年を迎えました。中国・広東省の税関による統計では、このRCEPが全面的に実施された1年間において、広東省税関にてRCEPの協定による恩恵を受けた輸入貨物額は150.4億人民元にのぼり、その減免された輸入税額は3.5億人民元となりました。そして、それぞれ前年比14%増、8.5%増といった結果を示しました。
自動車産業でも減税の恩恵を享受、軽減率50%の企業も
広東省にある黃埔税関では、広汽本田、東風本多など、11の主要自動車企業に対して、各企業が自社製品や産業特性に基づいてRCEPの原産地ルールを使用し、国内の自動車生産企業の生産コストの削減を援助するための独自の製品、産業特性に応じて企業支援を行うための調査を実施しました。同税関管轄の広州電装有限公司は、2024年5月までのRCEP利用状況において、自動車モーター等部品の日本からの輸入の際に1,800万人民元近くの税額の減免を享受したとしています。
「以前までは、日本から輸入した場合は一般原産地証明書しか取り扱われておらず、関税優遇を享受できませんでしたが、今はRCEPの原産地証明書により、3%から6%の関税優遇を享受することができています。我々が輸入する自動車VCT電機は、適用税率が12%から6%に引き下げられ、軽減率が50%に達しました。これは我々にとって大きなメリットです」
と東風本田発動機有限公司のマネージャー呉氏は述べました。同社が輸入時に税制優遇適用を受ける品目は32品目にもなっています。
RCEPの通関における利便性も継続して向上
RCEPの通関における利便性の最適化も継続して進められており、広州税関は「スマート税関」の建設を突破口とし、AI審査、セルフプリントなどの便利なサービスを通じて原産地証明書の「即申請、即審査、即受領」を支援しています。
幸民泰公司のマネージャー徐美玲氏は、
「広州税関の天河税関職員がマンツーマンの政策指導を行ってくれており、とても感謝しています。RCEP協定は弊社が東南アジア市場のさらなる開拓において、新たなチャンスをもたらしてくれています。例えば、オンラインで申請すれば、社内において数分で審査を通過でき、我々の証明書はすぐに通関手続きの顧客に送信でき、本当に便利です。」
と述べています。同社は今年の1月から4月にかけて原産地証明書を計28件申請・受領しており、前年同期比で倍増し、貨物の価格は1,000万人民元以上になっています。
企業の海外進出を支援するため、「輸出業者」の育成と認定を強化
広東省にある汕頭税関は、企業が「最適な組み合わせ」となる優遇を享受するために科学により選択されるよう指導しています。また、広東省東部の5都市をカバーする税関エリアにおいて、RCEP証明書を発行したAEO*認証企業の93%にあたる15社の「認定輸出業者」を積極的に育成し、それらの企業が二段重ねの政策優遇を享受できる「高級認証企業」となるよう実現させていきます。
*AEO(Authorised Economic Operator)制度:
国際物流において貨物のセキュリティ管理と法令順守の体制が整備された事業者に対し、税関手続きの簡素化や迅速化を提供する制度。
巨輪知能装備股份有限公司の国際部責任者である洪澤斌氏によると、今年に入ってから、同社の輸出製品の多くは自社で発行した「原産地証明書」により輸出の際に恩恵を受けているとのことです。
「AEO認証を受けた輸出業者となってからは、顧客の認識と信頼は大幅に向上し、製品の国際市場での競争力も著しく強化されています。また税関へ原産地証明書を申請する必要がなくなり、原産地証明書は自社で発行し、自由貿易協定の優遇などの税制優遇政策を随時享受することができるようになりました。我々の貨物生産、出荷、通関、納品の効率は継続して向上しており、より柔軟な手配、そしてコストが削減さており、海外進出への自信がさらに高まりました」
と述べています。
【参考資料】
・RCEP全面実施1周年、広東省税関では3.5億人民元の輸入税を減免
*本記事が記載されている大湾区レターは、以下のリンク先からダウンロードしていただけます。
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本記事の目的:
本記事は、主に中国へ進出されている、またはこれから中国進出を検討されている日系企業の皆様を対象に、中国国内での経営活動や今後の中国ビジネスに重大な影響を及ぼしうるような国家・地方レベルの最新の法律法規と関連政策の主な内容とその影響、日系企業をはじめとする外資系企業の取るべき主な対策などを紹介することを目的として作成されています。
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