大湾区金融相互接続「新登場」! 将来の横琴-マカオ間資金流動自由化を期待【大湾区情報レター Vol.78】
- 公開日 2024.05.2 | 大湾区(グレーターベイエリア)情報
「大湾区情報レター」では、今後、日系企業の皆様に有用と考えられる最新情報をピックアップしお届けしていきます。
大湾区金融相互接続に関する新たな運用がまもなくスタートすることとなりました。4月3日、中国人民銀行広東省支店は「横琴広東・マカオ深化協力区多機能自由貿易口座業務管理弁法」(以下「管理弁法」)を正式に発表しました。「管理弁法」は5月6日から正式に実施される予定で、市場がかねてより期待していた多機能自由貿易口座のオンライン運用がいよいよカウントダウンとなります。将来的には、マカオと横琴広東・マカオ深化協力区間で「第一ボーダー」*を越える資金が合法的に自由に移動できるようになる見込みです。
*第一ボーダー:マカオと広東省珠海横琴間の境界線を指す。
「管理」と「自由化」の双方を実現 大湾区クロスボーダー金融管理のイノベーションがさらに一歩前進
「多機能自由貿易口座は一般的に「『第一ボーダー』は自由化し、『第二ボーダー』**はクロスボーダー管理に基づき、同名口座の第二ボーダー間取引の場合においては、限定的に浸透させる」という原則に基づいて管理される。広東省・香港・マカオ経済研究会会長、広東省社会科学院研究員の任志宏氏は、「管理弁法」における当原則は管理と自由化の双方を反映していると述べました。
** 第二ボーダー:広東省珠海市横琴と中国本土の他地域との境界線を指す。
具体的には、「第一ボーダー」、つまりマカオ-横琴広東マカオ深化協力区間においては、資金は合法的に自由に移動させることができます。多機能自由貿易口座と中国本土外の銀行で開設する口座、中国本土銀行で開設するオフショア口座、オフショア機関の国内外国為替口座間、および各多機能自由貿易口座間の「第一ボーダー」間の資金移動は、出入金指示に基づいて、合法的に自由に行うことができるようになります。
注目に値するのは、「第一ボーダー」を超える資金移動において、協力区内の企業は送金指示に基づき、経常収支のために多機能自由貿易口座と海外機関口座の利用が可能なことです。証券投資を除く資本項目の下の業務を遂行する際には、外債の投注差、全口径クロスボーダー融資***、海外貸付関連限度額と審査許可の制限を受けず、外貨為替管理部門に対し、事前の登記、届出、特別口座の開設の必要がないことです。
***全口径クロスボーダー融資:中国国内機構が非居民から自国通貨、外貨の資金を調達する行為を指す。
業界関係者は、協力区内でクロスボーダー資金の自由かつ便利な流動性を模索し、ルールとメカニズムのコンバージェンスを深めることは、大湾区クロスボーダー金融管理の革新的な動きであると指摘しています。
「第二ボーダー」を超える、とは横琴広東・マカオ深化協力区と中国国内の他の地域の間の取引の場合、資金移動はクロスボーダー取引として管理され、人民元のみが使用可能であることを指しています。「管理弁法」によると、多機能自由貿易口座と中国本土居民の非同名決済口座間の送金は、税関が輸出入に準じて管理する貨物貿易資金決済に限定されます。域内機構の多機能自由貿易口座と中国国内同名決済口座との間の送金は限度額内での限定的な適用となり、資金の利用については、ネガティブリストを参照することにより管理されます。
横琴地区重点産業企業対象に対しては口座開設条件の適度な緩和が可能
多機能自由貿易口座は、その設計と運用において、実体経済に貢献し、横琴とマカオの統合と発展促進を非常に重視していることは注目に値します。業界関係者は、より開放的なクロスボーダー資金流動管理政策を通じて、多機能自由貿易口座を通じて、ハイレベルの貿易・投資自由化と利便化の実現を模索し、マカオ経済が適切かつ多角的に発展するよう支援すると述べました。
例えば、多機能自由貿易口座は、口座開設企業が協力区での実質的な経営を重視し、実際の管理機構が協力区に設立され、企業の生産経営、人事、財務、財産などに対して実質的かつ包括的な管理と統制を実施することが要求されます。
もう一つの例は、科学技術の研究開発とハイエンド製造業、漢方薬などのマカオブランド産業、文化、観光、展示、貿易産業、現代金融産業などの横琴広東・マカオ深化協力区の産業発展の方向性と一致する協力区内の組織に対して、口座開設条件を適度に緩和することが可能です。
また、多機能自由貿易口座のサービス対象には個人も含まれ、大湾区における生活と金融の相互接続が促進されます。
条件に合致する中国本土外の個人が、多機能自由貿易口座と海外口座、協力区内の口座間において、給与の送金、医療、旅行など仕事や生活面及び前工程担当部署が合意した資金決済や支払指示を直接行うことにより、マカオ居民の生活と就業の利便性が高まることが期待されます。将来的には、リスクマネジメントの前提を元に、当業務の対象範囲が徐々に拡大されていく見込みとなります。
中国人民銀行広東省支店の担当者は「次のステップは、多機能自由貿易口座のよりよい実施とスタートを促進し、パイロット銀行がクロスボーダー金融サービスをさらに最適化するよう指導し、パイロット事業の円滑かつ秩序ある発展を確保し、より多くの事業体が改革の恩恵を共有できるようにする」と述べました。
【参考資料】
・大湾区金融相互接続「新登場」!将来の横琴-マカオ間資金流動自由化を期待
*本記事が記載されている大湾区レターは、以下のリンク先からダウンロードしていただけます。
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本記事の目的:
本記事は、主に中国へ進出されている、またはこれから中国進出を検討されている日系企業の皆様を対象に、中国国内での経営活動や今後の中国ビジネスに重大な影響を及ぼしうるような国家・地方レベルの最新の法律法規と関連政策の主な内容とその影響、日系企業をはじめとする外資系企業の取るべき主な対策などを紹介することを目的として作成されています。
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