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香港、指定ゴミ袋による回収スキームが2024年8月1日実施に延期

 

昨年4月に香港のゴミ、廃棄物処理政策に関し、以下の記事をお届けしました。前回の記事(2023年4月)時点では、一般市民にも大きな影響があるゴミ袋の有料化は2023年年末より実施予定とご紹介していたのですが、ここにきて「迷走?」しているようです。

【関連記事:廃棄物処理、ゴミ捨てに関する有料化や罰金制度の厳格化

 

 

実施日が延期となった問題とは

2023年年末より実施予定であった一般ゴミの有料化はその後2024年4月1日実施に変更され、対外的にも大々的に宣伝が行われていました。また、最近はゴミ廃棄の「滑り込み」ともいうべき現象も起きており、市民が無料で捨てられるうちに断捨離をした家庭の大型ゴミが収集ポイントに大量に持ち込まれています。

 

【参考記事:垃圾徵費實施在即 市民趕年尾清垃圾 多區垃圾站塞爆

 

 

これは、前回記事でお伝えした通り、日本の各地方自治体にて実施されている方式に類似しており、市民が政府指定のゴミ袋(スーパーのレジ袋サイズ(3L)から56cmX99cm(100L)の大型サイズまで全9種類、1LあたりHKD0.11ドル)を購入してゴミを捨てることを義務付けるものとなっており、袋に入りきらないサイズのゴミについては、11香港ドルのシールを購入して貼り付けた上で廃棄するものとなっていました。

 

 

しかし、このゴミの捨て方やゴミ袋を使用してのゴミの捨て方など実務上の具体的な方法についてコンセンサスが得られていないことが次々と露呈されていったのです。

 

例えば、香港では通常のマンションにおける家庭ゴミは、各階の非常階段の踊り場に設置された大型ゴミ箱に24時間いつでも捨てることができるようになっており、そこに捨てられたゴミは、定期的に管理会社が回収し、近くのゴミ収集場所に持ち運ぶことになっています。この場合において、住民が出す際も「指定ゴミ袋」を使用し、さらに、管理会社が集める際にも「指定ゴミ袋」を使用するのか、といったようなことが問題となったのです。

 

 

政府のとある発表によると、ゴミ袋の有料化は市民啓蒙といった目的も含まれているため、家庭から出すゴミにおいては、「指定ゴミ袋」を使用する必要があるのはもちろんだが、管理会社から収集場所へ捨てられるゴミは、マンションで集められたゴミであるため、こちらも「指定ゴミ袋」を使用する必要がある。とのことでした。しかしこれではゴミ袋代の二重取りになってしまうのでは、、、と思わざるを得ません。

 

 

 

実施日は2024年8月1日に延期

このように、様々な問題が続出したことから、まだ本格的スタートは時期尚早と判断され、1月19日に、実施開始日を2024年8月1日へとさらに4ヶ月延期とすることが発表されました。

 

これから実務取扱いの微調整や市民への啓蒙活動、一部地区においての試行などを経て本格実施の運びとなる見込みですが、現状、一般市民である我々が「指定ビニール袋を購入してゴミを捨てなくてはいけなくなる」、ということしかわかっていない状況です。

 

この人種のるつぼで、流動人口が非常に多く、また今までゴミ捨てや分別のルールが全くなかった香港で本当に実現できるかどうか、というところがなかなかの見ものであるといえます。

 

【参考URL:ゴミ処理有償化政府専門サイト「垃圾收費 MSW CHARGING」

 

 

 

指定ゴミ袋を使用する際に、分別する必要は?

このゴミ回収スキームにおいて、指定袋に入れるゴミの種類の分別については特に言及されていません。すべてのゴミを分別せずに指定袋へ入れてしまうと、使用するゴミ袋の数量も自然に多くなってしまうことから、リサイクル推進の活動が別途行われています。

 

例えば「緑在区区(GREEN@COMMUNITY)」というスキームでは、政府が香港内170ヶ所以上の回収ポイントを設け、紙、金属、プラスチック、ガラス瓶、充電池、小型電器製品、蛍光灯/電球、飲料パック、冷蔵庫、洗濯機、パソコン等の「四電一脳」の9種類の廃棄物の回収を行っています。リサイクルにより重量等に応じてポイントが貯まるシステムになっており、市民にリサイクル活動への参画を促しています。

 

【参考URL:緑在区区(GREEN@COMMUNITY)

 

 

現状は、エコロジーに対し意識が高い市民やポイント稼ぎを目的とした意欲の高い方などによく利用されていますが、先ほど述べたように、現時点で各種ゴミを市民自身それぞれが分別しなければならない、という状況には至っていないというところが現実となっています。

 

 

 

4月22日より一部プラスチック製品の販売、使用が禁止に!

また、政府は「アースディ」である2024422以降、以下のプラスチックを含む製品を販売したり、無償配布してはならないことになることを発表しています。

 

 

・テイクアウト用の発泡スチロール製容器

・プラスチック製の使い捨てスプーン、フォーク、ナイフ、ストロー、マドラー、皿など

・プラスチック製のつまようじ

・プラスチック製綿棒

・蛍光棒

・雨傘を入れるビニール袋

 

 

また、代替品がまだ多く流通していない、テイクアウト向けの飲料用プラスチック製カップや蓋、食品用容器については、まだ使用、販売が容認されます。ただしこれらのプラスチック製品はイートインの際に提供することはできません。

 

そして、無償で提供ができなくなるものもいくつかあります。例えば、ホテルで従来無償提供されてきたプラスチック製のアメニティ及び使い捨てプラスチック容器に入った飲用水は、無償提供ができなくなります。

 

香港は、香港内で製造しているものが非常に少なく、生活必需品のほとんどを輸入製品に頼っており、世界各国の商品を各国の規格のまま取り入れられているのが実情ではありますが、特に、小売、飲食業など消費者向けのビジネスをされている方々はこれらのルールを常に注視していただく必要があります。

 

【参考記事:使い捨てプラスチック容器及びその他のプラスチック製品の規制、及び既存責任者責任制度強化が可決(2023年10月18日)

 

 

 

 

御社でビジネスを開始される上で、また日常業務を営まれる上で、香港における様々な制度上の疑問をお持ちの際には、ぜひ一度弊社へお気軽にお問合せください

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本記事の目的:

本記事は、主に香港へ進出されている、またはこれから香港進出を検討されている日系企業の皆様を対象に、香港での経営活動や今後の香港ビジネスに重大な影響を及ぼしうるような最新の法律法規と関連政策の主な内容とその影響、日系企業をはじめとする外資系企業の取るべき主な対策などを紹介することを目的として作成されています。

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