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香港の税務リスクシリーズー第七回: 香港法人の決算日変更の留意点

 

香港では会社条例上、会社設立日から18ヶ月以内に初年度の決算日を設定する必要があります。2年目以降は、初年度に決めた本決算日までの1年間を一会計年度として毎年決算を行うことになります。そして、申告後次年度以降の決算日は、特別な理由が無いかぎり基本的には変更する事ができません。

 

関連記事香港法人設立 ~ 初めての決算、法人税(企業所得税)申告について参照】

 

 

しかしながら、この1度決めてしまった香港法人の決算日を変更したい、という問い合わせを受けることがございます。今回は香港法人の決算日の変更に関する注意点と方法について説明させていただきます。

 

 

決算日は特別な理由がなければ変更できない:

冒頭で説明した通り、一度決めてしまった決算日は、基本的に特別な理由がなければ変更することができません。

 

ただ、企業にとって“特別な理由”という名の下で、決算日の変更が出来るケースがございます。まず、これまでご相談いただいた代表的な決算日変更の理由は、以下となります。

 

  • 本社との連結決算上、決算日を合わせる必要がある。
  • 中国(決算日の変更が法律で認められていない)の子会社に決算日を合わせることで、決算書上においても香港・中国法人を一体化させて管理したい。
  • (本社と香港の決算日が同一であり、本社の経理担当が香港法人の経理も担当している場合)日本の決算処理の繁忙期と重なるため、香港法人の決算日をあえてずらすことで時間に余裕を持たせたい。

 

税務局より決算日の変更のための具体的な理由や条件は提示されておりませんが、弊社の経験上、本社やグループ会社と決算日を一致させるために変更する場合は、往々にその変更が認められているように見受けられます。

 

ただ、上述の3つ目の理由などで変更を申請した場合、合理性がないと判断され、申請が却下されてしまう可能性があります。よって、変更を申請するにあたり、その理由付けにについては十分に検討する必要があると言えます。

 

 

 

決算日の変更方法:

決算日を変更する場合、変更後の決算日についての申告書類を税務局に提出する際に、事前に決算日を変更するに至った理由についての説明内容を書面にて申し出る必要があります。

 

税務局は当文書を受け取り、申し出が認められた際は、特に返信や申請の許可書等を発行せずに、そのまま決算日の変更を認めるかたちとなります。一方で何か質問や確認事項がある場合は、質問状を発行してまいります。

 

例えば、「本社の決算日が変更したために、それに一致させるために変更したい」といった理由などで決算日の変更を申し出た場合、本社の決算日変更に関する証憑や本社の決算書を求めるといった質問状が発行されたケースもあります。その場合、質問状で求められている証憑を添付して書面で回答することで、最終的に認められるという流れとなります。

 

 

 

決算日変更後の留意点 -税務申告と会計期間-:

また、ご留意いただきたいのは、決算日を変更することにより、同一年度内に2回決算日を迎え、それに合わせて税務申告も行う必要がございます。

 

例えば、もともと決算日が3月末であり、決算日を12月末に変更するように申し出る場合、一旦、もともとの決算期間である前年4月から当年3月までの決算を行い、それに伴う税務申告も通常通り行います。その上で、当年4月から12月までの9カ月間の決算を追加で行う必要があり、前年4月から当年12月までの期間を一括にまとめて決算処理を行うことは認められておりません。

 

その背景として、まず会社条例において会社設立後の18ヵ月以内に初回決算日を設けることが許されている場合を除き、その後は一決算期間を12カ月間以上とすることが認められておりません。

 

さらに、香港の税務年度は4月から翌年3月と決められているため、仮に前年4月から翌年12月末までをまとめて決算・申告を行った場合、本来申告すべき税務年度をスキップすることとなり、当年度の申告が行われないこととなってしまいます。

 

そのため、まずはもともとの決算日である3月31日で12カ月間の決算ならび税務申告を行います。その上で、4月から新しい決算日である12月31日までの9カ月間の期間の決算ならび税務申告を行わなければならないことに注意しなければなりません。

 

 

 

 

 

 

上述のように決算日の変更は認められているものの、その理由付けや、決算日を変更した後の決算期間の確認、申告のタイミングなどについては慎重に対応する必要がございます。今後そのような必要性やお考えをお持ちの場合は、まずは弊社へお気軽にお問合せください

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本記事の目的:

本記事は、主に香港へ進出されている、またはこれから香港進出を検討されている日系企業の皆様を対象に、香港での経営活動や今後の香港ビジネスに重大な影響を及ぼしうるような最新の法律法規と関連政策の主な内容とその影響、日系企業をはじめとする外資系企業の取るべき主な対策などを紹介することを目的として作成されています。

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  1. 本資料はあくまでも参考用として作成されたものであり、法律や財務、税務などに関する詳細な説明事項や提案ではありません。
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