広東省:グレーターベイエリアの統一IDカードを推進、香港「回鄉證」と中国大陸の身分証明書の整合実施か
- 公開日 2023.12.1 | 大湾区(グレーターベイエリア)情報 香港
広東省人民政府総署は21日、「デジタル・ベイエリア建設3ヵ年行動計画に関する通知」を発表し、広東省、香港、マカオの住民間による統一された本人認証と電子署名の相互承認、企業や住民の高い頻度で発生する事項の「越境処理」の実現を推進することを提案した。 同通知では、これが実現することで、香港・マカオ居民の中国本土への出入国許可証(通称「回鄉證」)の権利と、「本土住民身分証」の権利が同等になると言及されている。
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香港・マカオ居民の「回鄉證」が抱える問題とは
現在、「回鄉證」と「本土住民身分証」は2つの異なるシステムで処理されているため、「回鄉證」の保持者である香港・マカオ居民は、中国本土居民が保有している「本土住民身分証」で利用できるサービスの一部を利用することができない。中国本土のウェブサイトの中には、「本土住民身分証」の番号の入力を要求するものがあり、「本土住民身分証」番号は「回鄉證」の番号よりも桁数が多いため、「回鄉證」番号を入力しても、入力エラーが表示されることがある。
そのため、例えば、WeChatでの情報の照会もできなかったり、香港居民がインターネットにて「回鄉證」を使用して中国本土のチケットを購入することや、中国本土の空港で出入国の際に自動化ゲートを使用することができなかったりする。
「回鄉證」が「本土住民身分証」と同様の機能をもつとどうなるか
香港・マカオ居住者の「回鄉證」および「本土居住許可証」の利用促進を加速させるため、グレーターベイエリアでの旅行、宿泊、就職などのあらゆる場面において、「本土住民身分証」と同様の利便性を享受できるようにする、と通知には記載されている。
これが実現し、香港の「回鄉證」の番号を使用することが出来るようになれば、交通アプリ、医療保険や社会保障機能のオンライン予約やサッカーの試合会場の予約などが可能となるため、中国本土での香港・マカオ居民の生活が容易となり、また、デジタルライフの発展を促進することができる。
広東省・香港・マカオ政府のサービスの統合も推進
同通知はまた、広東省政府のサービスプラットフォームと香港・マカオの政府サービスプラットフォームの接続と相互承認を促進し、グレーターベイエリアにおける電子ウォレット、デジタルマネー、モバイル決済などの国境を越えたアプリケーションを拡大することを提案している。
これは、広東省、香港、マカオの政府サービスの融合と統合を促進し、グレーターベイエリアの住民の生活をリンクさせることも狙いの一つであることを意味し、香港・マカオ住民の高い頻度でおこる電子処理を促進するため、国家の関連部門と調整することで、広東・香港・マカオの社会保障サービスの綿密な統合を模索することなどが含まれている。
さらに、将来的に電子署名が相互承認されるようになれば、香港居民がインターネット上で税関申告をしたり、中国本土での銀行関連の処理が容易となる。
とある議員は、将来的に「1カード通関」が実現することを期待し、香港政府に対し、本土当局と迅速に協議し、協力の仕組みと実施スケジュールを策定するよう促しており、同様に、香港政府のモバイルアプリを中国本土と繋げて、「1つのアプリで全ての処理」は実現できるようになると考えている。
進むグレーターベイエリアの融合
これらの措置により人、モノ、資本の流れをスムーズにし、本土のさまざまな部門やプラットフォームとつながることで、香港居民がグレーターベイエリアで働き、生活し、ビジネスや学校に通いやすくなり、グレーターベイエリアの発展を促進することにつながると考えられている。
さらに、広東省、香港、マカオは、高齢者介護のデジタル化における協力を加速させ、グレーターベイエリアにおけるスマート介護のパイロットプロジェクトを立ち上げ、3つの地域におけるレクリエーション・レジャー資源の統合と活用、および先進的なモードにより優れたサービスを提供することを奨励している。
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本記事の目的:
本記事は、主に香港へ進出されている、またはこれから香港進出を検討されている日系企業の皆様を対象に、香港での経営活動や今後の香港ビジネスに重大な影響を及ぼしうるような最新の法律法規と関連政策の主な内容とその影響、日系企業をはじめとする外資系企業の取るべき主な対策などを紹介することを目的として作成されています。
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