NEWS

ニュース

中国本土居民が香港へ出張する際に申請する商務(S)通行許可の取得方法

 

華南地区に進出している日系企業の中には、香港と華南地区に拠点を構え、製造と販社としての機能を分けて運営されている企業が少なくないかと存じます。

 

中国本土居民である従業員が客先への訪問や会議、展示会の参加などの業務上の理由により、本土と香港の間で頻繁に出張する際、香港へ入境するために、中国出入国管理局へ「往来港澳通行証」及び通行許可(中国語:「签注」)を申請する必要があります。

 

通行許可には、団体観光(L)、個人観光(G)、親族訪問(T)、商務(S)、滞在(D)、その他(Q)という6つの種類があり、申請者の訪問目的に合わせて、申請することが可能です。個人観光の場合は、出入国管理局のキオスク端末で申請すると即座に発行することができますが、その他の種類の通行許可は、窓口で申請を行ってから、5~7営業日程度が必要です。

 

本土と香港間を出張で頻繁に往来する場合は、「商務(S)」という通行許可を取得する必要があります。今回は、その「商務(S)」という通行許可について紹介したいと思います。

 

 

商務(S)通行許可とは? – 許容範囲・渡航目的の定義 –

香港への商務通行許可(中国語:「商务签注」)は、香港へ訪問、商談、展覧会、視察といった商務(ビジネス)活動を行うための通行許可となります。当通行許可によりビジネス活動を行うことは可能ですが、香港で「就労」することはできません。(=香港内の雇用主と雇用・労務関係をもったり報酬を受け取ってはいけない)

 

※もっと詳しい内容は、本文最後の”中国本土の方が商務ビザで香港を訪問する際の注意事項”をご参照ください。

 

 

 

商務(S)通行許可の取得方法

商務通行許可(商务签注)を取得するには、

 

  1. まず、中国本土の法人より、出入国管理局に「備案」(届け出)手続き(企業情報、商務通行許可を申請する従業員リストなどの提出)を行い、
  2. その後従業員が各自出入国管理局に商務通行許可の申請、

 

という流れになります。

 

 

 

基本的条件

基本的に、対象の従業員は、同法人にて少なくとも3ヶ月の社会保険納付歴が必要となります(一部の都市では優遇対象の人員が社会納付履歴が免除可能)。

 

また「備案」を行う中国本土の法人は、外資企業、中国国内企業を問わず、設立日後少なくとも3ヶ月間正常に運営されており、香港でビジネス活動を行う需要がある企業であれば申請可能となります。

 

各企業が商務通行許可を申請できる従業員の人数や商務通行が許可される回数、そして有効期間は、主にその企業の状況、納税額、ビジネス上の必要である理由等により異なります。

 

また、各市(行政エリア)によって申請に必要となる書類や、申請条件、申請できる従業員人数なども異なってきますので、申請するにあたって、所在の市の政府部門へ事前に確認することをお勧めします。

 

ご参考まで、広州市の場合の条件などは以下の表の通りとなります。

申請年度の前年度納税額 商務ビザ申請可能人数上限 申請可能なビザ有効期間及び回数
1万元未満 審査次第 3ヶ月/1回
1~10万元 1~5万元 2人 3ヶ月/マルチ
5~10万元 4人 3ヶ月/マルチ
10万元以上 ビジネス上の必要性に合わせて申請でき、上限枠は設けられていない。 1年/マルチ

※注記(広州市の場合):

*通常1年マルチビザの申請は、2回目以降取得可能となるが、1回目から1年マルチが取得できることもある。

**毎回の渡航は最大7日間まで。年間の渡航累計日数や渡航回数に関する制限は特になし。

 

 

 

 

中国本土籍の従業員が商務通行許可で香港を訪問する際の注意事項

 

【ビジネス目的の香港訪問】

商務通行許可で香港を訪問する中国本土籍の従業員は、通常の入境規定(例:十分な渡航資金がある、訪問目的が疑わしいものでない、等)を満たせば、ビジターの身分で香港への入境が許可される。

 

一般的には、ビジターとして香港に滞在している間に行うことが可能なビジネス活動は以下の通りとなる。

 

  • 契約の締結や入札への参加
  • 商品の検査、または設備設置の監督
  • 展示会、見本市への参加

(ただし、一般大衆に直接商品を販売したりサービスを提供したりすることはできない)

  • 賠償請求問題の解決、又は民事訴訟関連の活動
  • 招待に応じてビジネス、科学技術の視察への参加
  • 短期間の研究会またはその他の会議への参加

 

香港の入境条例によると、ビジターとして香港入境を許可された者は、香港で報酬の有無を問わず就労することは禁じられており、違反の上、有罪となった場合、最高刑として50,000香港ドルの罰則金及び2年間の禁固刑が科されるため留意する必要がある。

 

 

 

【香港で就労する必要がある場合】

香港企業の業務に参加するために、香港にて就労又は長期滞在する必要がある中国本土籍の従業員は、まず香港移民局に申請を行わねばならない。「中国本土人材受入スキーム」(ASMTP)により、申請が承認されれば、香港で就労し、業務を行うことができる。

 

香港に会社を設立し、事業の運営を支援するために中国本土の管理職や専門職を香港に呼び寄せる必要がある中国企業も、ASMTPを申請することができる。企業の事業計画が香港経済の発展と現地従業員の雇用機会創出に貢献できること、及び香港へ派遣される中国本土人材自身がASMTPの資格基準を満たしていることを証明できれば、短期就労ビザの交付を受けることができる。企業の事業計画の実行の事実が認められれば、香港で引き続き就労できるよう延長が認められる。

 

 

 

 

 

 

日本人駐在員のみならず、中国現地従業員のビザや許可証についてご不明な点があれば、いつでもお気軽にお問い合わせいただきますようください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

参照元URL

內地人士持商务签注来港需知

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本記事の目的:

本記事は、主に香港へ進出されている、またはこれから香港進出を検討されている日系企業の皆様を対象に、香港での経営活動や今後の香港ビジネスに重大な影響を及ぼしうるような最新の法律法規と関連政策の主な内容とその影響、日系企業をはじめとする外資系企業の取るべき主な対策などを紹介することを目的として作成されています。

免責事項:

  1. 本資料はあくまでも参考用として作成されたものであり、法律や財務、税務などに関する詳細な説明事項や提案ではありません。
  2. 青葉コンサルティンググループ及びその傘下の関連会社は、本報告書における法律、法規及び関連政策の変化について追跡報告の義務を有するものではありません。
  3. 法律法規の解釈や特定政策の実務応用及びその影響は、それぞれのケースやその置かれている状況により大きく異なるため、お客様各社の状況に応じたアドバイスは、各種の有償業務にて承っております。

※当サイトの内容、テキスト、画像等の無断転載・無断使用を固く禁じます。

Contact Us お問い合わせはこちら