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「跨境理財通」パイロットスキーム、範囲拡大し最適化【大湾区情報レター Vol.68】

「大湾区情報レター」では、今後、日系企業の皆様に有用と考えられる最新情報をピックアップしお届けしていきます。

  

  

 中国人民銀行、国家金融監督管理総局、中国証券監督管理委員会(CSRC)、国家外貨管理局(SAFE)、香港金融管理局(HKMA)、香港証券先物事務監督委員会(SFC)、マカオ金融管理局(AMCM)の7機関は、大湾区の建設に関する中国の戦略的展開を実行し、広東省・香港・マカオ間の金融協力を深め、中国本土及び香港・マカオ間の経済統合と発展を促進するため、大湾区における「跨境理財通」(以下、「クロスボーダー・ウェルスマネジメント・コネクト」)のパイロットスキームをさらに最適化することを決定しました。

 

最適化は以下の5つの分野で行われます:

 

  1. より多くの大湾区の住民がパイロットスキームに参加できるよう、投資家の参加要件を最適化
  2. 「南向通」(以下、「サウスバウンド」)および「北向通」(以下、「ノースバウンド」)の個人顧客向けに投資商品および関連サービスを提供する参加主体として、要件を満たす証券会社を新規追加することにより、参加機関の範囲を拡大
  3. 大湾区住民の多様な投資ニーズによりよく対応するため、サウスバウンドおよびノースバウンドの対象となる投資商品の範囲を拡大
  4. 個人投資家の投資限度額を適切に引き上げ
  5. 広報・販売体制をさらに最適化し、大湾区の住民に質の高い金融サービスを提供できるよう金融機関をリード


 次のステップとして、中国本土、香港、マカオの金融管理部門は、各種措置の早期実施を促進するため、関連の実施細則や業務ガイドラインを改訂・改善します。同時に、パイロットスキームの状況に基づいて、クロスボーダー・ウェルス・マネジメント事業の最適化を継続し、大湾区の金融市場の相互接続を着実かつ段階的に推進し、大湾区建設を支援します。

 

 2年前にクロスボーダー・ウェルス・マネジメント事業を開始して以来、投資家数と資金プール規模が大幅に増加しています。2023年9月10日時点において、クロスボーダー・ウェルス・マネジメントに参加している大湾区の個人投資家は6万人で、クロスボーダーで移動した資金総額は67億人民元に達しています。このうち、2023年に入ってからでは、大湾区で新たに1万9千人の個人投資家がクロスボーダー・ウェルス・マネジメントに参加し前年比40.1%増、クロスボーダー資金移動額は44.8億人民元で前年比4.1倍となりました。クロスボーダー・ウェルス・マネジメント・システムに参加する投資家数と資金移動規模はともに大幅に増加していることがみてとれます。

 香港上海銀行(HSBC) 中国副総裁兼大湾区事務所総経理の陳慶耀氏は 「2 年前の開始以来、クロスボーダー・ウェルス・マネジメントは順調に発展しており、 特に今年に入り各国との往来が全面的に再開されて以来、大湾区におけるクロスボーダー・ウェル ス・マネジメントの需要はさらに高まっており、口座開設数と投資規模は明らかに増加しています。これはまた、当地域の金融機関がウェルス・マネジメント・ビジネスを拡大する新たな機会をもたらすでしょう」と語りました。

 

ボーダー往来の完全再開がクロスボーダー投資の成長を促進


 香港政府観光局のデータによると、今年上半期に香港を訪れた観光客は延べ1,288万人で、前年同期比168倍を超える増加となっており、そのうち78%が中国本土からのツーリストでした。最新の市場調査によると、ショッピングや観光のほか、金融サービスも大湾区の住民が今後12ヶ月以内に香港を訪れる主な理由のひとつとなっています。同時に、香港人が消費のために北上(中国本土へ渡航)することもトレンドになっています。香港移民局(Immigration Department)の最新の統計によると、今年7月と8月の2ヶ月間に深圳に入境した香港居民は延べ900万人を超えました。

 

 今年初めHSBCが実施した調査によると、ボーダー往来の全面的再開後、短期間に香港を訪問する予定の本土からの観光客の60%が、香港訪問の目的は個人的な財務処理であると回答しており、レジャー旅行に次いで2番目となっています。これは、中国本土の住民にとって香港が依然重要な財務管理のセンターとみなされていることを示しています。

 

大湾区におけるクロスボーダー投資は引き続き発展

 

 大湾区は、中国で最も経済活動が活発で豊かな都市群のひとつです。「2022年胡潤財富報告」(Hurun Wealth Report 2022)によると、大湾区は1,000万人民元レベルの資産を持つ富裕層が50万世帯以上います。特に、深圳や広州といった中核都市には、国際的な視野を持った富裕層が多く集まっており、グローバルなウェルス・マネジメント・サービスへの需要は非常に大きくなっています。

 

 クロスボーダー・ウェルス・マネジメントは、中国本土の投資家がグローバル資産を配分し、より多様な投資ポートフォリオを構築するためにより多くの選択肢を提供します。香港とマカオの個人投資家にとっては、クロスボーダー・ウェルス・マネジメントは、安定したリターンをもたらす人民元建て金融商品に投資することができ、中国本土の経済発展の利益を分かち合うための新たなチャネルが提供されています。

 

 

 

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*本記事が記載されている大湾区レターは、以下のリンク先からダウンロードしていただけます。

 

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本記事の目的:

本記事は、主に中国へ進出されている、またはこれから中国進出を検討されている日系企業の皆様を対象に、中国国内での経営活動や今後の中国ビジネスに重大な影響を及ぼしうるような国家・地方レベルの最新の法律法規と関連政策の主な内容とその影響、日系企業をはじめとする外資系企業の取るべき主な対策などを紹介することを目的として作成されています。

 

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