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【香港】法人所得税の予定納税の免除ができるHoldover(ホールドオーバー)制度

香港の法人で最も多い決算期は12月ですが、2022年12月決算企業の税務申告も8月までに完了し、税務局から所得税の納税通知書(Notice Of Assessment)が発行されてくる季節になりました。

 

香港は、個人所得税、法人所得税のいずれも、1年に1回の申告、指定の納付期限までに納税を行う仕組みとなっています。日本と違う点は、この毎年支払う税金には、その年の確定納税額と翌年度の納税額を予定納税として一緒に納付しなければならない点です。

 

以前、個人所得税の予定納税分を一部または全額できるホールドーオーバー制度についてご紹介いたしましたが、実は法人所得税についても同じようにこのホールドオーバー制度を申請することができます。今回は法人所得税のホールドオーバー制度についてご紹介いたします。

 

 

 

予定納税額の算出方法

まず毎年納税しなければならない法人所得税は、

 

当年度の確定納税額 - 前年度納付済の予定納税額 + 翌年度の予定納税

 

にて算出された金額を納付することになります。

 

この「翌年度の予定納税額」はどのように算出されているかというと、その年度において申告された所得金額が次年度も同額になるであろうという仮定に基づいて決定されることになっています。

 

つまり今年の場合であれば、2023 /2024 年度 (2023年12月終了決算年度)における予定納税額は、 2022 /2023 年度 (2022年12月終了決算年度)において申告された所得金額と同額になるであろうという仮定に基づいて算出されています。

 

 

 

予定納税分の免除申請(ホールドオーバー制度)

この翌年度所得税分の予定納税ですが、一部あるいは全額の免除の申請を行うことができます。

 

もしも、翌年会社の業績が前期よりも落ち込むことが確実であり、2023/2024 年度 における予想所得が前年度の査定対象所得の90%を下回るこ とが見込まれる場合は、免除の申請を行うことができます。この免除申請をホールドオーバー(Holdover)といいます。

 

予定納税額免除の申請を希望する場合には、 最低8ヶ月以上(2023年12月期の予定納税を免除申請する場合、2023年1月~8月以上)の損益計算書および貸借対照表に、香港法人の取締役が署名したものを用意する必要があります。

 

この書類に加えて、予定納税免除の申請書類および補助書類と共に1回目の納税期限日の28日前までに提出する必要があります。そして、この申請が認められる場合、税務局から金額が修正された請求書が発行されるため、同請求書に基づき納付を行うこととなります。

 

 

 

予定納税免除申請のリスクについて

ただし、ここで注意をしなければならないのは、予定納税免除の申請が認められたものの、急激に売上高が上昇するなどにより、結果として翌年度の課税対象利益が予定納税免除の申請時よりも大幅に上回ってしまった場合、香港税務局は予定納税免除申請に対し質問状を発行し、何故大幅に利益が上回ったのか調査を行い、可能性として本来の予定納税額と実際の納税額との差額の3倍にあたる追徴税を課す場合があるという点になります。

 

そのため、予定納税額がそれほど大きな額でない場合や、予定納税額と来年見込まれる利益額との差がそれほど大きくない場合など、会社のキャッシュフロー上それほど問題にならないと考えられるのであれば、ホールドオーバー申請を行わずそのままの予定納税金額をお支払いされることをお勧めいたします。

 

結果として翌年の確定納税額が支払った予定納税額を下回った場合は、翌年度の申告後、確定納税額とさらに次の年度の予定納税額と調整の上、税務局より小切手が発行され返金されることになるためです。

 

 

 

 

上記のリスクを踏まえていただいた上で、どうしても会社の業績が大幅に落ち込んでおり、次年度決算期の利益が大幅に減少することは間違いないため、キャッシュフローを楽にされるために予定納税の一部または全額免除を希望されたいという方は、当年度の8か月分以上の財務諸表をご用意の上、弊社までご連絡下さい。資料等をもとに、申請の可能性についてアドバイスの上業務ご案内をさせていただきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<<参考リンク先一覧>>

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本記事の目的:

本記事は、主に香港へ進出されている、またはこれから香港進出を検討されている日系企業の皆様を対象に、香港での経営活動や今後の香港ビジネスに重大な影響を及ぼしうるような最新の法律法規と関連政策の主な内容とその影響、日系企業をはじめとする外資系企業の取るべき主な対策などを紹介することを目的として作成されています。

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