【中国】使用済み固定資産を販売する場合も、増値税は納めなければならないの?”一般納税者の場合”
生産や加工に使う機械など、使うことを目的として購入したものは固定資産として帳簿に計上されるかと思います。この固定資産には、有形固定資産、無形固定資産、そして投資目的で長期間保有したりするような投資その他の資産、の3つに分類されます。
有形固定資産には、企業が1年以上にわたり所有する、先ほどのオフィスに設置する家具やパソコンなどの什器備品や、建物・土地・構築物・車両運搬具・工具・機械装置など実態のあるものが含まれます。
また、無形固定資産には、営業権・のれん・ソフトウェア・使用権など形のない資産が含まれます。
これらの固定資産は、技術の進歩や製品の更新・グレードアップ、業務の転換などにより、企業は固定資産を処理する必要があります。その使用したことがある固定資産の処理方法が、廃棄ではなく売却する場合、利益の発生の有無にかかわらず、増値税は支払わなければなりません。
今回は、この増値税をどのように納めるべきか。について、ご紹介いたします。
Contents
納税方法は3つ
方法 | 税率 | 優遇税率適用 | 発票 |
簡易課税法 | 3% | 1%の減免 | 普通発票しか発行できない |
減免は放棄 | 専用発票が発行できる | ||
一般課税法 | 13%
(農機は9%) |
– | 普通発票と専用発票を発行できる |
簡易課税方法( 1%の免除となる減免を実施する場合。)
最初に3%の税率を用いて、増値税課税所得を計算するが、その後、1%の増値税免除を実施し増値税の徴収は2%とする方法。この場合、増値税の普通発票しか発行できないことに注意が必要となる。
計算方法:
まず、固定資産の売却価格を税込み価格として、3%の適用税率で、税抜きの売却収入(増値税課税所得額)を逆算する:
- 増値税課税所得額 = 税込み売却価格 /(1+3%)
その後、2%の減免後の税率で、納税額を算出する:
- 納税額 = 増値税課税所得額 × 2%
簡易課税方法(1%の免除となる減免は実施しない。)
上述の計算方法と同様に、3%の税率を用いて増値税課税所得を計算するが、1%の免除となる減免は実施しない方法。この方法であれば、増値税の専用発票を発行することが可能。
計算方法:
先ほどと同様に固定資産の売却価格を税込み価格として、3%の適用税率で、税抜きの売却収入(増値税課税所得額)を逆算する:
- 増値税課税所得額 = 税込み売却価格 /(1+3%)
その後、3%の適用税率(1%の減免放棄)で、納税額を計算する:
- 納税額 = 増値税課税所得額 × 3%
一般的な課税方法
適用税率(通常は13%、農機は9%)で計算。増値税専用発票と普通発票を発行することが可能。
計算方法:
同様に、固定資産の売却価格を税込み価格から税抜きの売却収入(増値税課税所得額)を逆算するが、適用される税率が通常は13%、農機は9%となる:
- 増値税課税所得額 = 税込み売却価格 /(1+13% or 9%)
その後、13% (通常)or 9%(農機)の適用税率で、納税額を計算する:
- 納税額 = 増値税課税所得額 × 13% or 9%
簡易課税方法の適用条件について
適用条件としては、
- 購入或いは自作した固定資産を使用したことがあること、そして
- 規定により仕入税額は控除できず、かつ実際に控除しなかった固定資産である。
という二つの条件に加えて、以下5つの状況のいずれかに該当する場合は、固定資産の売却において簡易課税方法が適用可能となります。
パターン1.
元一般納税者が、2008年12月31日までに購入・自作し、自社が使用したことがある固定資産の場合。
または
2008年12月31日以前に増値税控除範囲拡大試行に組み入れられた納税者が、当該地区の増値税控除範囲拡大の試行前に、購入・自作し、自社が使用したことがある固定資産の場合。
パターン2.
元一般納税者が、2009年1月1日以降に購入・自作し、自社が使用した固定資産であれば、その固定資産は規定によりその仕入税額は控除できず、かつ実際に控除しなかった場合。
または
2008年12月31日以前にすでに増値税控除範囲拡大試行に組み入れられた納税者が、当該地区の増値税控除範囲拡大試行以降に、購入・自作し、自社が使用した固定資産であれば、その固定資産は規定により仕入税額は控除できず、かつ実際に控除しなかった場合。
パターン3.
小規模納税者が、購入・自作し、自社が使用した固定資産。で、その固定資産は規定により仕入税額は控除できず、かつ実際に控除しなかった場合。
パターン4.
一般納税者で、業務に関連する固定資産を購入しる際、簡易方法により増値税が徴収されており、規定により仕入税額を控除できず、かつ実際に控除しなかった場合。
パターン5.
一般納税者で、営業税から増値税への切り替え試行に組み入れた日以前に購入・自作し使用した固定資産で、規定により仕入税額を控除できず、かつ実際に控除しなかった場合。
本件に関し、ご懸念点があれば、いつでも弊社へお問い合わせください。
【政策の根拠:】
- 「財政部 税務総局による全国で増値税のモデルチェンジ改革を実施する若干題に関する通知」(財税〔2008〕170号)
- 「財政部税務総局による営業税から増値税への徴収変更試行の全面的な推進に関する通知」(財税〔2016〕36号)
【参考リンク:財務局より】
本記事の目的:
本記事は、主に香港へ進出されている、またはこれから香港進出を検討されている日系企業の皆様を対象に、香港での経営活動や今後の香港ビジネスに重大な影響を及ぼしうるような最新の法律法規と関連政策の主な内容とその影響、日系企業をはじめとする外資系企業の取るべき主な対策などを紹介することを目的として作成されています。
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