【香港】貴金属及び宝石販売業者登録制度について (Dealing in Precious Metals & Stones, duty to register)
2018年3月1日より施行された会社条例の改正に伴い、マネーロンダリング防止及びテロ資金対策条例(Anti-Money Laundering and Counter-Terrorist Financing Ordinance、略称“AMLO”)の下、銀行、監査法人、会社秘書役員エージェントなどは、クライアントに対するデューデリジェンスが強化されていましたが、この度、2023年4月1日より新たに、「貴金属及び宝石販売業者」においても、登録制度が導入されました。
今回はその概要についてご紹介させていただきます。
Contents
貴金属及び宝石販売業者登録制度の概要
対象:
香港で貴金属や宝石を扱うビジネスにおいて総額HK$120,000以上の取引を行う者(*代金の支払い・受領を問わず)
種別登録必要条件:
A類登録対象業者:
単独取引で、総額HK$120,000以上の非現金取引をする意向がある貴金属及び宝石ビジネス業者(Dealer)【A類登録フォーム先リンク】
B類登録対象業者:
単独取引で、総額HK$120,000以上の現金取引及び総額HK$120,000以上の非現金取引をする意向がある業者(Dealer)【B類登録フォーム先リンク 】
(マネーロンダリング防止及びテロ資金対策における規定に準ずる必要もある)
※総額HK$120,000未満の現金または非現金取引をする場合は登録不要。
登録期限:
2023年4月1日実施後に新しくビジネスを開始する業者(Dealer)の場合
総額HK$120,000以上の取引(現金または非現金)を行う前に香港税関にて登録する必要があります。
2023年4月1日実施以前から当該ビジネスを行っている業者(Dealer)の場合
実施後9か月以内の移行期間中に(2023年4月~12月)に登録を申請する必要があります。
香港外の貴金属及び宝石の販売業者の場合 (Non-Hong Kong Precious Metals and Stones Dealer):
香港外の業者(Dealer)であったとしても、もし香港で取引を行う場合(例:ジュエリーショーに参加など)、総額HK$120,000以上の現金取引を行う場合は、当該取引に対し当局に「Cash Transaction Report」を提出する必要があります。
登録費用
A類登録者
初年度:HKD260
年会費:HKD195
B類登録者
初年度:HKD1,970(+650/適正テスト一人につき)
年会費:HKD1,060(+650/適正テスト一人につき)
罰則金
登録者以外のディーラーが、
・登録者であると主張・実行権限を有すると主張した場合、または
・総額HKD120,000以上の現金または非現金取引を実行した場合、
有罪判決により最高HKD100,000の罰金および6ヶ月の禁固刑が課されることになります。
刑事罰とは別に、アンチマネーロンダリング条例に規定された要件または登録条件を遵守していない登録者は、懲戒処分または登録の停止・取消しの対象となる場合があります。
基本要求事項:
対象 |
タイミング |
要求事項 |
A & B類登録者 |
登録完了後、AまたはB類登録業者としての証明書が発行されます。 |
証明書を登記住所のオフィスに掲示する必要があります。またオフィス・営業拠点・ブランチことに登録、証明書を掲示する必要があります。 |
ジュエリーショーなどの催事への出展や期間限定のポップアップストアなでに出店する際も、事前に住所を登録し、臨時の証明書を取得する必要があります。 |
ブースや臨時拠点などに掲示する必要があります。 |
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新しい株主・取締役などの変更手続きは、最初に税関へ変更登手続きを行い、当局の承認を得てから、次に会社登記所(CR)へ変更手続きを行う必要があります。 |
当局からの承認が必要となります。 |
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B類登録者 |
12万HKDを超える現金取引があった場合 |
顧客の身分を確認するなどのCDD(Customer Due Diligence)を行う必要があります。{例:個人の身分証明書および会社の登記謄本などの確認} |
取引に関する記録が記載された証拠書類を5年間保管する必要があります。 |
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登録申請手続き |
登録申請手続きの際、取締役1名が税関の担当官と面談する必要があります。 |
※注記:
・登録方法はオンライン、または紙のどちらかを選択することが可能ですが、最初に紙による登録をした場合、その後、各拠点の証明書申請や臨時証明書を申請する時にも、必ず全て紙ベースで提出する必要があるため、初期登録からのオンライン申請が推奨されます。
・2023年12月末までの移行期間中に登録手続きが完了した場合、登録完了した時点から当該規定に従う必要があります。(例:12万HKD現金取引記録を取る)ただ、登録手続きにおいてある程度時間が掛かるため、早めに登録手続きを行うことが推奨されます。
・概要についての参照元である税関が発行しております以下の資料をご参照ください。
・また当制度に関する詳細については以下の税関のホームページから確認できます:
税関ホームページ
登録制度ホームページ
登録ガイド(英語)
登録ガイド(中国語)
当制度について、今回ご紹介させていただいた内容は、まだ移行期間中のため内容の修正、変更、追加などが行われる可能性がございますので、最新の情報については、税関の担当官へ事前にお問い合わせいただく必要があることにご留意ください。また弊社へ疑問または登録について委託をご検討されている方は、ぜひ一度お気軽にお問い合わせください。
本記事の目的:
本記事は、主に香港へ進出されている、またはこれから香港進出を検討されている日系企業の皆様を対象に、香港での経営活動や今後の香港ビジネスに重大な影響を及ぼしうるような最新の法律法規と関連政策の主な内容とその影響、日系企業をはじめとする外資系企業の取るべき主な対策などを紹介することを目的として作成されています。
免責事項:
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本資料はあくまでも参考用として作成されたものであり、法律や財務、税務などに関する詳細な説明事項や提案ではありません。
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Aobaグループ及びその傘下の関連会社は、本報告書における法律、法規及び関連政策の変化について追跡報告の義務を有するものではありません。
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