海南島が第二の香港!?2025年末までに海南島全体が香港のような経済特区に。
- 公開日 2023.04.7 | 中国
2023年3月29日(水)、海南省の海南自由貿易港(HFTP)の過去5年間における改革開放の進展状況と効果に関する記者会見が行われました。 この過去5年間で、設備等の建設が進められており、さらに3つの「関税ゼロ」リスト、企業と個人の所得税15%、加工付加価値品の国内販売における関税免除など、180以上の政策文書が施行されたとのことで、当局は2025年末までに海南島全体が香港のような特別経済地区となる予定であると述べました。
またそれもあってか、海南島への企業増加数は36ヶ月連続で中国一を維持しています。
現在、海南島は通関の準備を全面的に開始しており、64のタスク、31の建設プロジェクト(港湾建設、税関検査設備など)、27のストレステスト項目が進行中で、来年には通関の準備を完了し、2025年末までには海南島が経済的に中国から隔離される通関システムが実現する予定です。
これが実現することにより、2025年には海南島が資金の移動や輸出入において色々と制限されている中国大陸とは隔離され、お金や貨物などの流通などにおいて本当の意味での自由港となり、大陸からの物資は海外からの輸入品として海南に入り、海南からの物資は海外輸出として大陸に行くことになります。
Contents
海南自由貿易港が経済特区になるということは?
1. 島全体が自由貿易港となる経済特区となる
海南の自由貿易港の範囲は、海南島全域となります。
2. 一線開通、二線管理
「一線開通」とは、海南自由貿易港と中国国外との間の国境線での貿易が自由化されることを意味し、税関手続きにおいて禁止されている品目や制限品目リストを除き、輸入品の大半が海南島の港への出入りが自由となり、輸入関税も免除されます。
「二線管理」とは、海南自由貿易港と中国国内地域との間に分割線が引かれ新たな管理を設けることを意味します。 原則として、海南自由貿易港から分割線を越えて中国国内に入る貨物は、輸入規定に従って関連手続きを行い、関税や輸入税が課税されることになります。
3. 島全体の税関による隔離
海南自由貿易港の目玉のひとつは、海南島の自然境界線が上記の「第二線」となる「海南島全体の税関による封鎖を伴う税関管理下における特別区域」の建設です。
2025年までに税関設備を設け、島全体を税関による閉鎖を開始する予定です。 準備には、輸入関税品目録や輸入制限品目録などのリストの整備という意味も含まれ、 海南の自由貿易港の自由度は、このリストに記載される商品・物品の数によります。
4. 関税ゼロ税率
海南自由貿易港は、「関税ゼロ」を基本的な特徴とする自由化・円滑化制度となります。 また、「関税ゼロ」対象商品については、税関での手続きが免除されることになるため、海南自由貿易港への輸入関税目録に記載されていない商品や輸入制限がない商品はすべて輸入関税が免除されます。
5. 税制の簡素化
今回の提案では、輸入にかかる付加価値税や消費税が免除されるかどうかについては言及されておらず、「輸入関税が免除される」とだけ述べられています。これは既存の付加価値税、消費税、車両購入税、都市維持建設税、教育割増金などが既に法律に基づいて簡素化されていたためです。
全体案では、海南自由貿易港は、ゼロ関税、低税率、簡素な税制、強い法治、段階的実施という原則に基づき、高いレベルの自由貿易港となるための税制を徐々に確立していくことが示唆されています。
簡素な税制は、中国の税制改革の方向性にも合致しています。 また、全体案では、海南自由貿易港の間接税の割合を減らすことが提案されています。 これは、現在の国際的な高水準の自由貿易区税制の大きな特徴である低い税に対して、海南島の自由貿易区としての競争力を高めるものとなります。
6. 島内での購入は非課税
2025年までに海南自由貿易港で、島民が消費するインバウンド商品のポジティブリストを作成し、島内で免税にて購入できるようにする予定です。
7. 海南島産の商品は、関税ゼロで本土へ輸出できるようにする。
上述の「二線管理」が設置された後、海南自由貿易港から本土へ輸出される商品は、原則として輸入規定に従って、関税や輸入部門税が課税されることになります。
しかし、奨励産業である企業が生産する商品で、輸入材料を含まない、または海南自由貿易港で加工された輸入材料が含まれ、付加価値が30%以上の商品は、輸入関税が免除され、輸入関連の付加価値税と消費税が課せられるという規定となります。 つまり、自由貿易港において奨励された産業の企業が生産した商品の一部は、無税で本土に輸入することができるという、これまでにはなかった政策です。
8. 法人税と個人所得税の税率を15%に引き下げる。
海南島自由貿易港の提案における法人所得税と個人所得税の優遇税率についても特筆すべき点で、香港やシンガポールのそれに匹敵するほど低い税率が提示されたのは中国でも初めてのこととなります。
当提案では、2025年まで海南自由貿易港に登録し実質的に営業している奨励産業の企業において、法人所得税率を15%と定めており、 海南自由貿易港で働く優秀人材や希少な人材については、個人所得税のうち15%を超える実効部分が免除されることになります。
そして2035年までに、海南自由貿易港で登録され実質的に営業している企業(ネガティブリスト産業を除く)には、15%の企業所得税が適応され、 課税年度に183日間海南自由貿易港に居住した個人は、海南自由貿易港内で得た所得に対して、3%、10%、15%の累進税率が適用されます。
ちなみに、現在の香港の法人所得税率は8.75%から16.5%、個人所得税の最高税率は15%、シンガポールの法人所得税率は17%、個人所得税の最高税率は22%となっています。
9. 免税ショッピング枠が年間10万元に引き上げられる
2025年までに海南島での免税ショッピング枠を1人あたり年間10万人民元まで緩和され、免税品の範囲が拡大されます。
10. 段階的な資金の自由化
海南自由貿易港では資金の段階的な自由化が提案されており、そのために上海自由貿易区で生まれた自由貿易口座を利用することになります。これは通常の口座とは分離された資金用に確立されたもので、海南自由貿易港と海外とのクロスボーダーによる自由で便利な資本移動を提供します。
全体計画の最終目標は、2035年までに一定の基準を満たした非金融企業が実際の資金需要に応じて独自に外債を借りられるようにし、最終的には海南自由貿易港の非金融企業の外債での借り入れを完全に達成することです。
11. 公衆衛生リスクの予防と管理
感染症や公衆衛生の緊急事態を監視・対応するための早期警戒プラットフォームや意思決定システムを構築し、早期予防、リスク評価、適時処理などを向上させます。
12. データの流通について
海南自由貿易港の越境データフローに関する方針も、これまでで最も強力なものとなっています。 全体案では、海南自由貿易港に物理的に登録・サービス施設を持つ企業が、自由貿易港全体および国際的なオンラインデータ処理・取引処理を行い、徐々に全国に開放していくことを認めています。
そのために、国際インターネットデータ交流のパイロットサイトを開発し、国際海底ケーブルとポートを建設し、国際通信のゲートウェイを設立します。
まとめ
中央政府は、2025年までに海南自由貿易港の初期政策体系を確立し、今世紀半ばまでに国際的に強い影響力を持つハイレベルな自由貿易港となることを目標に掲げています。
また、国家発展改革委員会(NDRC)は香港、シンガポール、ドバイはいずれも独自の建設モデルと政策体制を持つハイレベルな自由貿易港であり、海南は香港とは異なる位置づけであり、香港の自由貿易港としての地位に影響を与えることはなく、補完的であるべきだとの述べています。
海南の自由貿易港のシステム設計は、貿易、投資、国境を越えた資本、人材の出入りの円滑化に重点を置き、グローバル企業や人材の海南への投資誘致、物品貿易のゼロ関税の実施、市場参入のコミットメント・アクセス制の厳格な実施を目指しています。
弊社青葉ビジネスコンサルティングでは、中国へ進出を検討されている企業のための調査業務なども行っております。気になることや知りたいことがあれば、一度お問い合わせください。
【参照元リンク】
海南或成下一個香港? 當局料2025年底前自貿港全島封關運作
海南自貿港12大亮點:稅率比肩香港新加坡 全島零關稅成購物天堂
本記事の目的:
本記事は、主に香港へ進出されている、またはこれから香港進出を検討されている日系企業の皆様を対象に、香港での経営活動や今後の香港ビジネスに重大な影響を及ぼしうるような最新の法律法規と関連政策の主な内容とその影響、日系企業をはじめとする外資系企業の取るべき主な対策などを紹介することを目的として作成されています。
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