個人事業主の発展促進条例【ニューズレター Vol.92】
本記事は、主に中国へ進出されている、またはこれから中国進出を検討されている日系企業の皆様を対象に、中国国内での経営活動や今後の中国ビジネスに重大な影響を及ぼしうるような国家・地方レベルの最新の法律法規と関連政策の主な内容とその影響、日系企業をはじめとする外資系企業の取るべき主な対策などを紹介することを目的として、青葉グループの広東省広州市天河区に拠点を構える弁護士事務所より作成しております。
【背景】
2022年10月25日、李克強国務院総理は国務院令に署名し、「個人事業主の発展促進条例」(以下「条例」と略称する)を公布し、2022年11月1日から施行される。「条例」には詳細内容39条が記載され、個人事業主が社会主義市場経済における地位を明確にし、個人事業主発展の事業メカニズムを完備・促進すると同時に、各分野には具体的な措置を支援し、個人事業主の合法的権益を効果的に守ると掲げられている。
【影響】
個人事業主は人民生活に最も直接的にサービスを提供する存在である。今年9月末現在、全国に登録されている個人事業主は1億1100万社で、中国市場主体総量の3分2を占め、約3億人の雇用を促進し、経済成長の安定、雇用の促進、人民生活の便利の面において重要な役割を果たしている。「条例」には、個人事業主が法律に従って事業を行い、誠実で信用を守り、労働者雇用、生産安全、食品安全などの面における法的義務を自覚的に履行することを規定し、政府部門が公共安全と人民生命健康などに関連する重点分野において監督管理を強化し、良好な市場秩序を維持することを明確にした。
【主要内容】
一、社会主義市場経済における個人事業主の地位と役割、及び個人事業主の発展を促進する基本原則を明確にする。
国は個人事業主に対して市場平等な参入、公平な待遇の原則を適用している。個人事業主の財産権、経営自主権などの合法的権益は法律によって保護され、いかなる会社や個人も侵害又は不法妨害してはならない。
二、個人事業主発展の事業メカニズムを完備・促進する。
国務院は個人事業主の発展を促進する部際聯席会議制度[1]を確立する。国務院市場監督管理部門は関係部門と連携しで、個人事業主の発展促進業務に対するマクロ指導、総合協調、監督検査を強化する。国務院の関係部門は各自の職責範囲内で関連政策措置を検討、策定する。県レベル以上の地方人民政府は所在行政区域の個人事業主の発展状況に合わせて具体的な措置を策定し、その実施を組織する。
三、政府及びその関係部門が個人事業主の発展促進における職責要求を明確にする。
国は個人事業主の公共サービスプラットフォームシステムの構築を強化する。政府とその関係部門は、市場主体の登録、年度報告サービス、経営場所の供給、資金、財税、金融、社会保障、創業就業、コミュニティ市民サービス、デジタル化発展、知的財産権保護、救済支援などの面において個人事業主を支援する。
四、政府とその関係部門の職責履行の制約を強化し、個人事業主の合法的権益の保護を強化する。
政府及びその関係部門は関連政策措置を制定する際に、個人事業主及び関連業界組織の意見を十分に聴取し、規定に違反した資質許可、プロジェクト申告、政府調達、入札、入札を募るなどの面で個人事業主に対して差別的な政策措置を制定又は実施してはならない。いかなる会社と個人も法律法規と国家の関連規定に違反して個人事業主から料金を徴収し、又は騙し手段で料金を徴収してはいけない。更に、無断に料金徴収範囲を拡大し、又は料金徴収基準を高めてはならず、個人事業主に割り当てで資金を集めてもいけない。個人事業主に協賛の提供、又は有料サービスを受けることも強要してはいけない。政府及びその関係部門の従業員が個人事業主の発展促進業務で職責を履行せず、又は正しく履行しないことで、個人事業主の合法的権益を損害して、深刻な結果をもたらした場合、法律法規に基づき処分される。
[1] 部際聯席会議制度とは、国務院の複数の部門の職責に関する事項を協議して処理するために、国務院が許可して設立し、各メンバー部門は共同で合意した勤務制度に基づいて、適時に状況を疎通し、異なる意見を調整して、ある任務の順調な実行を推進する勤務メカニズムを指す。
【法規リンク】
「個人事業主の発展促進条例」(中華人民共和国国務院令第755号)
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