中国初の人工知能産業に関する特別立法を発表【大湾区情報レター Vol.46】
- 公開日 2022.10.27 | 大湾区(グレーターベイエリア)情報
「大湾区情報レター」では、今後、日系企業の皆様に有用と考えられる最新情報をピックアップしお届けしていきます。
深圳は、国や地方レベルではまだ標準化されていないが、国際的な先進製品基準や規範を満たす低リスクの人工知能(以下、AI)製品・サービスをテスト、トライアル、実証するための参入システムの確立を模索していきます。先日、「深圳市経済特区人工知能産業促進条例」(以下「条例」)が深圳市第7回人民代表大会常務委員会で議決され、中国初の人工知能産業に関する特別立法として、2022年11月1日から施行されることになりました。
AIの概念と産業の境界を明確化する初の立法
AIは、新しい技術、製品、産業、ビジネスモデルを生み出し、伝統的な産業のレベルアップを加速させ、経済構造を再構築する新しい産業変革の中核をなすものです。試算によると、中国のAI基幹産業の規模は4,000億人民元以上と推定されています。深圳には1,300社以上のAI関連企業があり、企業数では中国国内第2位となっています。
しかし、AIの急速な発展と普及は、セキュリティ、プライバシー、公平性など多くの新しい問題ももたらしており、現時点で国家レベルではAI産業に関する具体的な法律がまだ存在していません。深圳は今回AI産業に関する立法を初めて行い、AI産業ガバナンスの難題を解決できるほか、深圳が中国のAI技術革新の源、世界有数のAI産業ハブになることを推進し、深圳中国新世代AI革新・開発試験区の建設を効果的に支援していきます。
基幹技術開発の全サイクルをカバーする支援方針の構築
深圳のAI関連の基礎研究はまだ比較的弱く、現在ほとんどの企業が応用レベルを重視していることを踏まえ、「条例」では、一方ではAIの重要な核心プロセスに焦点を当て、市場のニーズを主導し、政府、産業、学術、研究が深く融合した重要な核心技術に取り組むメカニズムを構築し、技術開発の全サイクルをカバーする支援方針を構築し、AIの基礎研究および技術開発への支援を強化します。
またもう一方では、国、省、市レベルの研究プラットフォームの建設を加速し、多くの重点実験室、特殊実験基地、工学研究センター、産業革新センター、技術革新センター、企業技術センター、製造革新センターなどの革新キャリアの建設をサポートします。多様な投資主体を育成・建設し、管理システムを現代化し、マーケット重視のメカニズムを運行、柔軟な雇用体制を持つ新しい研究開発機構を通じて、イノベーション資源を活性化させます。
産業界向け演算能力・アルゴリズムのオープン・プラットフォームの構築
研究・応用の効率を高め、産業集積効果をもたらすため、「条例」では、政府が、AI産業のための公共データ資源システムを構築し、AI応用の公共データ共有カタログと共有ルールを制定し、分類・等級別に公共データの秩序ある開放を推進すること、機能テスト、セキュリティテスト、信頼性評価、倫理的セキュリティリスクを統合したAIテスト・認証プラットフォームを構築し、キーリンクとキーエリアをカバーした産業サポートシステムを構築することが求められています。
AIの発展を制約する「着地点の難しさ」というボトルネックを解消するために、深圳の国家機関、法律や規則で公務を管理する権限を与えられた組織、公営企業・機関が率先してAI・サービスを利用すべきことは明らかで、行政・司法分野でのAI技術の応用が推進されます。
また、産業管理部門は、AI応用シナリオのオープンシステムを構築し、AIシナリオの要求リストを定期的に公表し、応用シナリオのソリューションを公開募集し、中国国内外からハイレベルのAI製品・サービス供給者を集め、産業の要素を集結させる予定です。
なお、深圳市政府はAI倫理委員会を設立し、包括的、明確、秩序的、協調的なAI倫理ガバナンスルールの確立を推進すると報じられています。
【参考資料】
*本記事が記載されている大湾区レターは、以下のリンク先からダウンロードしていただけます。
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本記事の目的:
本記事は、主に中国へ進出されている、またはこれから中国進出を検討されている日系企業の皆様を対象に、中国国内での経営活動や今後の中国ビジネスに重大な影響を及ぼしうるような国家・地方レベルの最新の法律法規と関連政策の主な内容とその影響、日系企業をはじめとする外資系企業の取るべき主な対策などを紹介することを目的として作成されています。
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