香港入境、ホテルでの強制隔離が不要に、「0+3」の自主健康管理制度に移行
2022年9月26日(月)午前6時以降より、日本を含む海外および台湾から香港への入境時(香港国際空港から)の隔離措置について、指定ホテルでの3日間の強制隔離が撤廃され、入境後3日間の行動制限*およびプラス4日間の自己観察期間に変更となりました。また、航空便での出発48時間前におけるPCR検査陰性証明の提出も不要となりました。
2020年3月以来、ようやくビジネス・観光等での香港短期滞在が事実上可能となり、往来の活発化が期待されます。
このたび、早々にこの「恩恵」を受けることとなった筆者が、実際に体験した香港入境の流れをここでご紹介させていただきたいと思います。なお、これは2022年10月初旬時点の状況となり、政策や手順の更新により再び変更が生じる可能性がありますこと、ご了承いただければと思います。
*注記)
*陰性の場合でも入境後3日間は、レストランやバー等の飲食店や指定施設へ入ることができないといった行動制限期間となり、飲食はホテル、オフィスなどの室内、または公園など室外で行わねばなりません。(テイクアウトのための出入りは可能です。)
Contents
香港入境前
(1)香港政府申告サイトにて必要事項の登録
衛生署のオンライン“Health & Quarantine Information Declaration (健康及検疫資訊申報)”にて個人情報、航空便、香港での連絡先・滞在先、健康に関する申告、ワクチン接種/感染歴/到着前7日間の滞在国、地域などをあらかじめ申告します。
申告サイト(英語ページ、他に繁体字中国語、簡体字中国語を選択可能)
※香港外で指定ワクチンを完全接種(通常の場合2回以上)済の場合、接種記録の記入、接種証明書のアップロードが必要となります。
(2) 出発時刻24時間前までに抗原検査キットによる迅速抗原検査 (RAT) を自ら実施、陰性を確認。
検査済キットの写真のアップロードは不要で、上記申告サイトでは24時間以内に自らキットで検査が必要なことを確認/(もしくは)実施した、という項目にYes/Noで回答するのみとなっております。到着後、陰性であったことの報告も求められませんが、念のため陰性結果の検査済キットの写真を撮っておくとよいかもしれません。
(3)香港空港で提示が必要となるQRコードの取得
申告サイトへの記入完了後、サイト内にて緑色のQRコードが発行されます。(以下参照)
当QRコードは48時間有効で、到着後提示が必要となり、日本の空港でのチェックイン時に既に取得しておく必要があります。また香港での外食などの行動ではワクチンパスのQRコードの提示が必須となり、香港外で接種された方には臨時のワクチンパスが入境時に発行されます。
香港到着時
(1) 飛行機を降りた後、入境手続きより前に検疫手続きカウンターがあり、そこにて前述の申告用QRコードとパスポートまたは香港IDカードを係員に提示します。
(2) 検疫カウンターにて登録完了後、識別用のバーコード付の緑色の札を首にかけ、PCR検査キットが手渡されます。また、「医学監察通知書 (Notification of Medical Surveillance) 」のダウンロードの案内通知がEメールで送付*されてきます。
(3) ブースに案内され、PCR検査を受けます。(鼻咽喉拭い)**
(4) 入境カウンターで通常と同様の形式で入境手続きを行います。
(5) (通常と同様)預け荷物がある場合、ターンテーブルにて受領します。
(6) 税関検査の前にゲートが設けられており、識別用のバーコードがスキャンされます。
(7)(通常と同様)税関検査を通過し、晴れて到着ロビーに入ります。
(8) 自ら各種交通機関を使用し、帰宅/ホテルへ移動します。
*注記)
* (7) の税関通過の際に同様の案内が紙でも手渡されます。 医学監察通知書をスマートフォンでダウンロードした後はスマートフォンに保管するか、紙に印刷します。
**検査結果は、数時間後にSMS(ショートメッセージ)にて受け取ります。結果を待たずに空港を離れても問題ありません。同検査結果が陰性の場合、ワクチンパスの色が青色から黄色に自動的に変わります。
到着翌日以降
大きく分けて2つの対応が必要となります。
(1)毎日抗原検査キットによる自主検査
入境日を0(ゼロ)日とし、1日~7日目、毎日抗原検査キットによる自主検査が必要となります。専用申告サイトにて、同結果をアップロードする他、健康状況、滞在先の申告を行う必要があります。同申告サイトのログインには「医学監察通知書」1ページ目右下に小さく記載の管理番号が必要となります。
なお、抗原検査キットは政府から配布されないため自ら用意する必要があり、少なくとも7回分の買い置きが必要です。香港内でも購入は可能です。
(2)検査所でのPCR検査
入境日を0(ゼロ)日とし、2日目、4日目、6日目に政府指定の検査所(コミュニティ・テストセンター、移動式検査所)またはその他の公認機関でのPCR検査に出向く必要があります。検査結果は空港での検査の際と同様、SMS(ショートメッセージ)で受領します。
予約は必須ではないものの、待ち時間を短縮するために予約されることをお勧めします。
政府設置の検査機関での検査の場合、「医学監察通知書」により無料で受検できますが、その他公認機関での受検は有料となります。受検を行わずに放置して実際に罰則金通知を受けた例もありますので、必ず受検しましょう。
セントラルのシティホールにある検査会場
2日目の検体が陰性だった場合、翌日午前9時にワクチンパスが「黄色」から通常の「青色」に戻ります。 (*「黄色」の間は、レストランやバー等の飲食店に入ることができない行動制限期間で、「青色」に戻って初めて、店内での飲食が可能となります。)
検査結果が陽性だった場合
まず以下のいずれかのサイトで報告を行います。
・PCR検査で確認の場合:https://www.chp.gov.hk/cdpi/
・迅速抗原検査(RAT)で確認の場合:www.chp.gov.hk/ratp
そして、香港内の規定に従い、隔離措置がとられ、ワクチンパスの色が黄色や青色から赤色に変わります。家庭内や滞在中のホテル内での隔離が難しい場合には、軽症の場合でも政府の隔離施設や隔離ホテルに送られる場合があります。
香港から日本へ戻る際
香港から日本に行く際には、My SOSアプリで、事前に検疫報告が必要です。(ファイザーなど指定ワクチンの3回接種証明をアップロードすれば隔離や検査が免除される)、香港の空港のチェックインカウンターにてMy SOSアプリを登録完了後のQRコードを取得済であることを確認されます。
また、従来機内で黄色い用紙が配られていた税関申告について、現在「税関アプリ」にて電子申告による提出が可能となりました。日本入国検査前に記入を済ませ、専門の電子申告ゲートを通過します。
日本国税関「7つの空港で税関検査場電子申告ゲートを利用できます」案内サイト
留意事項
・スマートフォンもしくはタブレットでのQRコードの保管・提示が必要です。
・SMS(ショートメッセージ)が受領できる携帯電話番号が必要(日本など香港外の電話番号でも可)です。
・各書類は、英語、繁体字中国語、簡体字中国語のみで、日本語のものはありません。
・健康観察中に、具体的数値の報告は求められないものの、1日2回体温を測ることが義務付けられているため、体温計の持参をお勧めします。
まとめ
今回の日本-香港の出入境は、まだ両地域の出入境者や航空便数が少なかったこともあってか、コロナ前の出入境と大きく変わらない時間で、非常にスムーズに行うことができました。今月(10月)に入っておら、日本を初め周辺地域のビザなし渡航が順次可能になっていき、便数も増加していくことから、さらなる検疫手続きの簡素化が期待されます。
【参考リンク先】
・香港へのインバウンド入境「0+3」検疫制度リーフレット (中国語 / 英語)
本記事の目的:
本記事は、主に香港へ進出されている、またはこれから香港進出を検討されている日系企業の皆様を対象に、香港での経営活動や今後の香港ビジネスに重大な影響を及ぼしうるような最新の法律法規と関連政策の主な内容とその影響、日系企業をはじめとする外資系企業の取るべき主な対策などを紹介することを目的として作成されています。
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