【香港進出】法人・支店・駐在員事務所。最適解を選ぶために
香港へ進出するメリットは多岐にわたりますが、目的や行っているビジネスによって、設立にあたり選ぶべき組織形態は異なってまいります。今回は、法人・支店・駐在員事務所の違いについてお話しさせていただきます。
1. 法人
この法人という形態は香港で最も一般的に採用されており、「有限公司 (Limited.)」と呼ばれています。
日本本社から独立した別の会社としてみなされるため、全ての責任をこの香港法人が背負うことになります。また法人は、香港で法定監査・税務申告・年次報告書の提出を毎年行うほか、会社秘書役の任命をしなければならないため、支店や駐在員事務所に比べるとランニングコストがかかります。
その一方で法人形態をとる会社は、大きな税務メリットを享受することができます。香港の法人所得に対する税率は16.5％と諸外国に比べて低く設定されており、またさらに2018年より施行された優遇税制の二段階税率を適用することにより、課税対象利益の200万香港ドルまでは8.25％といった低い税率を適用することができます。
（*グループ企業の場合で、香港で課税対象となる法人・支店が複数存在する場合は、そのうちの1社のみこの2段階税率を適用することが可能。）
香港法人設立の手続きは、必要事項の決定および書類の準備が整っていれば、およそ2～3週間で完了します。必要事項の詳細は弊社へお問い合わせください。
2. 支店
支店は、法人と同じく営業活動や交渉、事業展開などを行うことができますが、海外法人（日本本社など）の香港支店であるため、海外法人の拡張部分とみなされ、仮に日本法人が設立した支店であれば、全ての責任は日本法人が負わなければなりません。
また、拡張部分である香港支店で発生した売上や損益は、本店である日本法人と合算されるため、法人形態をとる会社のような税務メリットを享受することはできません。（*香港でも法人税の申告は必要となり、香港で納税した場合は日本で外国税額控除を申請することが可能。）
しかし一方で、毎年の法定監査の必要はなく、法人と比べるとランニングコストは抑えることができます。
支店の設立の手続きについては、提出すべき全書類がすべてすでに英語訳されていれば約3～4週間のうちに完了することができます。必要事項の詳細は弊社へお問い合わせください。
3. 駐在員事務所
上述した法人・支店も設立は比較的簡単ですが、駐在員事務所の設立はさらに容易で、必要な手続きは税務局で商業登記証を取得するのみです。会社登記・法定監査・税務申告などは一切不要で、至ってシンプルな形態をとります。
しかし、活動内容はかなり制約されており、利益を生むための活動といった商活動は一切禁止されています。つまり法人や支店が行うことができる営業活動や交渉、請求書の発行をすることはできません。駐在員事務所は香港会社法で規定されておらず、ガイドライン(非公式)や原則のみが存在しており、それによると認められている活動内容は、本社に代わって行うような顧客との連絡やマーケティング調査のみとされています。
4. まとめ
どの形態を選択するにしてもメリット・デメリットは必ずあります。
まずは香港で進出する際の業務内容を整理し、将来のビジネスプランを明確化することが、どの形態が最適であるかの判断基準になります。
最適な組織形態を選択できるよう、弊社グループでは進出前に業務を明確化するためのコンサルティングや市場調査のほか、各形態の設立業務および設立後の形態変更などのお手伝いをさせていただいておりますので、お気軽にお問い合わせくください。
本記事の目的：
本記事は、主に香港へ進出されている、またはこれから香港進出を検討されている日系企業の皆様を対象に、香港での経営活動や今後の香港ビジネスに重大な影響を及ぼしうるような最新の法律法規と関連政策の主な内容とその影響、日系企業をはじめとする外資系企業の取るべき主な対策などを紹介することを目的として作成されています。
免責事項：
- 本資料はあくまでも参考用として作成されたものであり、法律や財務、税務などに関する詳細な説明事項や提案ではありません。
- 青葉コンサルティンググループ及びその傘下の関連会社は、本報告書における法律、法規及び関連政策の変化について追跡報告の義務を有するものではありません。
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