横琴・広東省・マカオ緊密連携エリアの企業所得税優遇政策【ニューズレター Vol.91】
本記事は、主に中国へ進出されている、またはこれから中国進出を検討されている日系企業の皆様を対象に、中国国内での経営活動や今後の中国ビジネスに重大な影響を及ぼしうるような国家・地方レベルの最新の法律法規と関連政策の主な内容とその影響、日系企業をはじめとする外資系企業の取るべき主な対策などを紹介することを目的として、青葉グループの広東省広州市天河区に拠点を構える弁護士事務所より作成しております。
【背景】
横琴・広東省・マカオ緊密連携エリア(以下「連携エリア」という)の建設を支援するため、2022年5月に財政部と国家税務総局から、「横琴・広東省・マカオ緊密連携エリアの企業所得税優遇政策に関する通知」(財税[2022]19号、以下「本通知」という)を発表した。本通知は2021年1月1日から実施された。
【影響】
本通知に基づき、条件を満たした産業に対して15%に引き下げられた税率で企業所得税を納付することとなり、海外投資による所得に対して企業所得税が免除され、固定資産の加速償却などの税制優遇措置が打ち出され、市場関係者、特にマカオ資本系企業[1]の連携エリアを建設するための参加意欲と自信が大いに高められることとなる。
[1] マカオ資本系企業とは、通常は、マカオの投資者が、中国内陸地域で投資し、設立された企業のことを指す。
【主要内容】
一、連携エリアに所在する条件を満たした産業企業に対し、15%に引き下げられた税率で企業所得税を納付することとなる。
この優遇措置を享受するには、以下の条件を満たす必要がある。
(一)『横琴・広東省・マカオ緊密連携エリアの企業所得税優遇目録(2021年版)』(以下「優遇目録」という)で規定された産業プロジェクトを主要事業とし、その主要事業から得られた所得が総所得の60%以上を占めていること。優遇目録には、ハイテク産業、科学・教育研究開発産業、漢方薬産業、医薬衛生産業、その他のマカオブランド工業、文化・展示会・商業貿易産業、観光産業、現代サービス産業、現代金融産業の9産業、合計150項目が含まれている。
(二)実質的な運営が行われていること。実質的な運営とは、企業の実際の経営機構が協力区にあり、且つ当機構で企業の生産と運営、人員、会計、財産に対して実質的な全体管理と制御が行われていることを指す。
二、協力区に設立された観光産業、現代サービス産業、ハイテク産業の企業が、海外新規直接投資から得られた所得に対し、企業所得税が免除されることとなる。
海外新規直接投資から得られた所得は、以下の条件を満たす必要がある。
(一) 新たな海外分枝機構から取得した営業利益、または持株比率が20%を超える(20%を含む)海外子会社から取得された海外新規直接投資に対応する配当所得。
(二) 投資対象国(地域)の企業所得税の法定税率が5%を下回らないこと。
三、協力区に設立された企業に対し、新たに購入した(自己建設、自己開発を含む)単価が500万元を超えない(500万元を含む)固定資産または無形資産は、課税所得の計算において、当期のコスト費用として一括で控除することが認められ、年度毎に減価償却費を計算することがなくなる。また、新たに購入した(自己建設、自己開発を含む)単価が500万元を超えた固定資産または無形資産は、減価償却の期限を短縮することができ、もしくは加速償却することができる。
【法規リンク】
・「財政部 税務総局による横琴・広東省・マカオ緊密連携エリアの企業所得税優遇政策に関する通知」(財税[2022]19号)
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