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【中国】2022年7月1日より施行の印紙税法について

 

2021年6 月 1 日、中国の第 13期全国人民代表大会(全人代、日本の国会に相当)常務委員会第 29 回会議において「中華人民共和国印紙税法」が採択・公布され、2022年7月1日に施行されました。

 

この印紙税法は、30年余りの歴史を持つ従前の印紙税法である「中華人民共和国印紙税暫定条例」とは別に新しく公布された印紙税法で、比較した際の違いは「4つの引き下げ、1つの変化、1つの削除」であると総括されています。

 

●4つの引き下げ: 以下の契約書の適用税率が0.05%から0.03%に引き下げられます。

①請負契約書

②建設工事契約書(建設工事実地調査設計契約)

③運送契約書

④商標専用権、著作権、特許権、ノウハウ使用権の譲渡証明書等の契約書。

 

●1つの変化:

損害保険契約の適用税率は加入金額の0.003%から保険料の0.1%に変更されます。

 

●1つの削除:

「権利、許可証」という税目は削除されます。

 

 

詳細については、以下の比較表をご参照ください。

法律条文の比較表
中華人民共和国印紙税法

(2022年7月1日施行)

中華人民共和国主席令第89号

中華人民共和国印紙税暫定条例

国務院令第11号

変更点
第一条

課税証憑を中華人民共和国国内における課税文書を発行し、証券取引を行う組織及び個人は、印紙税の納税人であり、本法の規定に基づき印紙税を納付しなければならない。

課税証憑を中華人民共和国国外で作成して国内で使用する組織及び個人は、本法の規定に従って印紙税を納付しなければならない。

第一条

中華人民共和国国内で本条例に列挙された証憑を作成、受領した企業と個人は、いずれも印紙税の納税義務人(以下、納税者と略称する)であり、本条例の規定に基づき印紙税を納付しなければならない。

納税者の身元をさらに明確化。
第二条

本法にいう課税証憑とは、この法律に添付されている「印紙税税目税率表」に列記する契約書、財産権譲渡証書及び営業帳簿のことを指す。

第二条

以下の証憑を課税証憑とする:

(一) 売買、加工請負、建設工事請負、財産賃貸、貨物運送、倉庫保管、金銭貸借、財産保険、技術契約又は契約の性質を有する証憑

(二) 財産権譲渡証書

(三) 営業帳簿

(四)権利、許可証

(五) 財務部が規定するその他の証憑

「権利、許可証」および「財務部が規定するその他の証憑」を削除された。
第三条

本法でいう証券取引とは、法律に従って設立された証券取引所、国務院が批准するその他の全国的な証券取引場所で取引する株式及び株式に基づく預託証券の譲渡のことを指す。

証券取引印紙税は証券取引の譲渡側に対して徴収し、譲受側に対して徴収しない。
第四条

印紙税の課税品目・税率は、この法律に添付されている「印紙税課税品目税率表」に従って、実行される。

第三条

納税者は課税証憑の性質に基づき、それぞれ比例税率或いは部品定額に基づき課税額を計算する。具体的な税率および税額は、本条例に添付される「印紙税課税品目税率表」に基づき実行する。

課税額が人民元の一角に満たず、かつ免税印紙課税額が人民元の一角以上の場合、その税額の端数が人民元の5分未満の場合はカウントせず、人民元の5分以上の場合は人民元の1角として計算し、納付する。

内容の一部を削除し、より簡潔で明確化。
第五条

印紙税の税額計算根拠は以下の通りである。

(一) 課税契約の税額計算根拠は、契約に記載する金額により、記載されている増値税の税額は含まない。
(二) 課税財産権譲渡証書の税額計算根拠は、財産権譲渡証書に記載する金額であり、記載されている増値税の税額は含まない。
(三) 課税営業帳簿の税額計算根拠は、帳簿に記載する払込資本金(株式資本)、資本剰余金の合計金額である。
(四) 証券取引の税額計算根拠は、成約金額である。

税額計算根拠に増値税が含まれるか否かを明確にする。
第六条

課税契約書、財産権譲渡証書に金額が記載していない場合、印紙税の税額計算根拠は実際に決済する金額に基づき確定する。

税額計算根拠は前項の規定に基づき確定できない場合、契約書、財産権譲渡証書作成する際の市場価格に基づき決定する。法に従って政府価格又は政府指導価格を実行すべき場合、国の関係規定に従って確定する。

印紙税の税額計算根拠を明らかにする。
第七条

証券取引に譲渡価格がない場合には、名義変更の登記手続を行う際の当該証券の前取引日の終値計算によって税額計算根拠を確定する。終値がない場合、証券の額面に基づき計算し、課税基準を確定させる。

第八条

印紙税の納付すべき税額は税額計算根拠に適用税率を乗じて計算する。

第九条

同一の課税証憑に二つ以上の課税品目事項が記載するとともにそれぞれ金額が記載されている場合、それぞれの適用する課税品目の税率に基づいて、納付すべき税額を計算する。金額が個別にを明記していない場合、より高い税率を適用される。

第十条

同一の課税証憑を二者以上の当事者により作成する場合、それぞれに関連金額に基づいて、納付すべき税額を各自計算する

第八条

同一の課税証憑を二者以上の当事者により作成する場合、かつそれぞれ1部ずつ保有する場合、各当事者が保有する一部についてそれぞれ全額貼付しなければならない。

第十一条

印紙税を納付した営業帳簿において、以降の年度に記載する払込済資本金(株式資本)及び資本剰余金の合計金額が、印紙税を納付した払込済資本(株式資本)及び資本剰余金の合計金額より増える場合には、その増加部分に基づき、課税額を計算する。

第十二条

以下の証憑は印紙税の徴収を免除する:

第四条

以下の証憑により印紙税を免除する:

印紙税免除項目をまとめて羅列し、「暫定条例」の基本条項が細分化され、完備された。
(一)課税証憑の副本又は写し。 (一) 印紙税納付済み課税証憑の副本又は写し。
(二) 法の規定に基づき免税とすべき外国駐中国大使館、領事館及び国際組織の駐中国代表機構が館舎を取得するために作成する課税証憑。
(三)中国人民解放軍、中国人民武装警察部隊が作成する課税証憑
(四) 農民、家庭農場、農民専門協同組合、農村集団経済組織、村民委員会が農業生産資料を購入する又は農産物を販売する際に作成する売買契約書及び農業保険契約書。
(五) 無利子又は割引借入契約、国際金融組織が中国に優遇貸付を提供するために作成する借入金契約。
(六) 財産所有者が財産を政府、学校、社会福祉機構、慈善団体に寄付するために作成する財産権譲渡証書 (二) 財産の所有者が財産を政府、社会福祉機関、学校に寄付することに作成される証憑
(七) 非営利医療衛生機構による医薬品又は衛生材料を購入するために作成する売買契約書。
(八) 個人と電子商取引事業者による締結した電子注文。
国民経済及び社会発展の必要に応じて、国務院は住民の住宅需要の保障、企業の制度改革・再編、破産、小型・零細企業の発展支援等の状況に対して印紙税の減免又は免除を規定し、全国人民代表大会常務委員会に備案するために報告する (三) 財務部が免税を承認したその他の証憑。
第十三条

納税者が単位(会社等)である場合、その単位の所在地の管轄税務機関に印紙税を申告納付しなければならない。納税者が個人である場合、課税証憑の作成地又は納税者の居住地の管轄税務機関に印紙税を申告納付しなければならない。

 

不動産財産権の譲渡が発生する場合、納税者は不動産の所在地の主管税務機関に印紙税を申告納付しなければならない。

第十条

印紙税は税務当局にて徴収管理の責を負う

「印紙税法」は納税義務の発生時期、源泉徴収義務者、納税期限について規定し、明確化された。また、「税収徴収管理法」を組み合わせており、徴収管理に有利である。
第十四条

納税者が国外の組織又は個人であり、国内に代理人がいる場合、その国内の代理人を源泉徴収義務者とする。国内に代理人がいない場合、納税者が自ら申告し印紙税を納付し、具体的な方法は国務院税務主管部門にて規定する。

証券登録決済機関は証券取引印紙税の源泉徴収義務者であり、その機関の所在地の主管税務機関に税金の源泉徴収及び銀行決済の利息を申告しなければならない。

第十五条

印紙税の納税義務の発生時間は、納税者が課税証憑を作成する日又は証券取引を完了した日とする。

証券取引印紙税の源泉徴収義務が発生する日は、証券取引が完了した当日とする。

第七条

課税証憑は契約又は受領時に貼付しなければならない。

第十六条

印紙税は四半期ごと、年ごとまたはその都度に計算して徴収する。四半期ごと、年ごとに計算して徴収を行う場合、納税者は四半期または年度の終了日から15日内に税額を申告納付しなければならない。その都度に計算して徴収を行う場合、納税者は納税義務が発生する日から15日内に税額を申告納付しなければならない。証券取引印紙は週ごとに納付する。

証券取引印紙税の源泉徴収義務者は毎週の終了日から5日内に納税額及び銀行決済の利息を申告しなければならない。

第九条

すでに貼付された証憑は、修正後に記載された金額が増加した場合、その増加分は印紙税票を補助しなければならない。

第十七条

印紙税は印紙税票を貼付する、或いは税務機関が法に基づきその他の納税証明書を発行する方式で納付することができる

第五条

印紙税は、納税者が規定に基づき自ら納税額を計算し、購入して一括に充分に印紙税票(以下、貼花(印紙を貼る)と略称する)を貼付する納付方法を実行する。

貼花(印紙を貼る)手続きを簡素化するため、納税額が比較的大きい又は貼付回数が頻繁な場合、納税人は税務機関に申請を提出する。納付書は貼花(印紙を貼る)の代わりにする又は期日通りにまとめて納付する方法を採用することができる

第十七条

印紙税票が課税証憑に貼付されている場合は、納税者が各印紙税票に割り印或いは線を引くことによって取り消される。

第六条

印紙税票は課税証憑に貼付しなければならず、かつ納税者が各印紙の割れ目に印を押して消印するか、または線を引くことによって取り消されたりする。

既に貼付された印紙は再使用してはならない。

第十七条

印紙税票は国務院の税務主管部門によって監督する。

第十一条

印紙税票は国家税務局が監督する。額面金額は人民元単位である。

第十八条

印紙税は税務機関が本法及び「中華人民共和国税収徴収管理法」の規定に従って徴収・管理する。

第十三条

納税人が次の各号に掲げる行為のいずれかに該当する場合、税務機関は情状の軽重に基づき、処罰を与える。

(一) 課税証憑に印紙税票を貼付していない、または少なく貼付していない場合、税務機関は印紙税票の補助を命じた以外、未補助印紙税票金額の20倍以下の罰金を科すことができる、

(二) 本条例第六条第一項の規定に違反した場合、税務機関は未消込または印紙税票の金額の10倍以下の罰金を科すことができる。

(三) 本条例第六条第二項の規定に違反した場合、税務機関は印紙税票の重用金額の30倍以下の罰金を科すことができる。

印紙税票を偽造した場合は、税務機関が司法機関に法に基づいて刑事責任を追及するよう要請する。

第十二条納税すべき証憑を発行又は取扱する単位は、納税者の法に基づく納税を監督する義務を負う。
第十九条

納税者、源泉徴収義務者、税務機関及びその職員が本法の規定に違反した場合、「中華人民共和国税収徴収管理法」及び関連法律、行政法規の規定に従って、法律責任を追及する。

第十四条

印紙税の徴収管理は、本条例の規定者を除き、「中華人民共和国税収徴収管理法」の関連規定に基づき実行される。

第十五条

本条例は財政部が解釈の責任を負う。施行細則は財政部が制定する。

第二十条

本法は2022年7月1日より施行する。同時に、1988年8月6日に国務院が公布した「中華人民共和国印紙税暫定条例」は廃止する。

第十六条

本条例は1988年10月1日から施行する。

「印紙税法」は納税義務の発生時期、源泉徴収義務者、納税期限について規定し、明確化された。また、「税収徴収管理法」を組み合わせており、徴収管理に有利である。

 

 

 

税率の比較表
印紙税法 印紙税暫行条例 変更点
税目 税率 税目 税率
貸借契約 借入金の0.005% 貸借契約 借入金の0.005% なし
ファイナンスリース契約 リース料の0.005% 追加
売買契約 売買金額の0.03% 売買契約 売買金額の0.03% なし
請負契約 報酬の0.03% 請負契約 報酬の0.05% 税率減少
建設工事契約 代金の0.03% 建設工事実地調査設計契約 徴収費用の0.05% 税率減少
建築据付工事請負契約 代金の0.03% なし
運送契約 運送費の0.03% 貨物運送契約 運送費用の0.05% 税率減少
技術契約 代金、報酬または使用料の0.03% 技術契約 記載された金額の0.03% 税金計算の根拠に3つの選択肢が設けられ、より柔軟になった。
リース契約 賃貸料の0.1% 財産賃貸契約 賃貸料の0.1%

税額が1元未満の場合は1元

なし
保管契約 保管費の0.1% 倉庫貯蔵保管契約 貯蔵保管費の0.1% なし
倉庫貯蔵保管契約 倉庫貯蔵費の0.1%
財産保険契約 保険費の0.1% 財産保険契約 付保金額の0.003% 税率引き上げ:

再保険契約を含まない

土地使用権譲渡証明書類 代金の0.05% 財産権譲渡証書 記載金額の0.05% なし
土地使用権、家屋等の建物や構築物所有権の譲渡に係る文書

(土地請負経営権及び土地経営権の譲渡を除く)

持分譲渡に係る文書

(証券取引印紙税を納付する場合を除く)

商標権、著作権、特許権、

ノウハウ使用権の譲渡文書

代金の0.03% 税率減少
営業帳簿 営業帳簿払込資本金(株式資本金)、

資本剰余金合計金額の0.025%

営業帳簿 資金の帳簿を記載し、払込資本金と资本剰余金の合計金額の0.05%

その他の帳簿は1枚につき5元

税率減少

(営業帳簿は半減、その他帳簿は徴収無し)

证券交易/証券取引 取引金額の0.1% 権利、許可証(政府部門が発行した住宅産権(房産証)、商工業営業許可証、商標登録証、特許証、土地使用証を含む) 1件につき5元 税目を削除

 

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