昨年、深圳でのクロスボーダー人民元決済が初めて3兆人民元を突破【大湾区情報レター Vol.29】
- 公開日 2022.02.15 | 大湾区(グレーターベイエリア)情報
「大湾区情報レター」では、今後、日系企業の皆様に有用と考えられる最新情報をピックアップしお届けしていきます。
深圳人民銀行によると、深圳市のクロスボーダー人民元決済額は2021年に初めて前年比25.6%増の3兆人民元を超え、3兆1,000億人民元に達し、中国全国3位となり、同市の内外通貨のクロスボーダー出入金総額の47.8%を占めました。
2009年7月に国務院が深圳を含む5都市でのクロスボーダー貿易人民元決済の試行を決定して以来、深圳市のクロスボーダー人民元決済の累計額は15兆人民元を超え、中国国内でもトップクラスとなっています。 2021年末時点で、深圳市内の計67社の商業銀行と86,000社の企業がクロスボーダー人民元決済業務に携わり、深圳市とクロスボーダーの人民元出入金業務を行っている国と地域は189にも達しました。
深圳人民銀行は市場の需要に積極的に対応し、2019年10月には前海蛇口自由貿易区にて「クロスボーダー人民元取引・投資の利便化の更なる促進に関するスキーム」を開始し、2020年6月にはスキームの範囲が深圳市全体に拡大されました。 企業のクロスボーダー人民元業務の処理は、案件毎の事前審査から事後のサンプリング審査に移行し、必要資料は書類の束から紙一枚のみになり、各業務の平均処理時間も30~40分からわずか10分に短縮され、企業の労働負担を大幅に軽減し、労務コストの削減が可能となっただけでなく、一部の企業が利用時に一時的に資金用途を証明する書類を提出できないといった問題を効果的に解決し、資金使用の効率化を図ることができました。 2021年末までに、深圳の銀行は本スキームにて合計1,302億人民元に達する業務を処理し、572社の企業に恩恵をもたらしました。
主に輸出業務を行い、世界的に有名な複数の大手OEMメーカーを顧客に持つ深圳の大手製造企業は、2021年以来、本スキームに関連する措置を通じて、11億人民元のクロスボーダーの入金を処理してきました。 同企業によると、クロスボーダーの資金決済の効率が効果的に向上し、1つの取引ごとの手作業による処理コストが大幅に削減されたとともに為替レートの変動による悪影響が回避できたとし、今後は輸出業務においてより多くの人民元建て決済を行っていくとしています。
近年、新しい対外貿易の各種形態において、越境eコマースの発展スピードは最も速く、牽引の役割としては最強で、対外貿易発展の新たな勢力となり、新方式への変換とアップグレード、高品質な発展の新たな切口となっています。 しかし、輸出越境eコマースの運営には、売掛金回収ルートの長期化や回収手数料の高さなどの問題点もかかえています。
このような状況を受けて、深圳人民銀行は、管轄内の銀行に「輸出越境eコマース直通列車」業務を開設するよう指示し、国内の第三者決済チャネルを切り離し、輸出越境eコマース業者に対しクロスボーダー人民元回収サービスを直接提供し、中国内銀行による集中回収、集中審査、集中レポートを実現することで、回収ルートを短縮して、輸出業者にとって代金回収の困難、高コストという問題を解決しました。
深圳のある輸出越境eコマース企業は、中国国外でのコロナ流行の影響を受け、本来の決済機関チャネルからの資金回収に遅延が生じ、資金繰りに影響が出てきていました。 深圳人民銀行の指導の下、中国工商銀行深圳支店は、直ちに当企業向けにクロスボーダー人民元決済円滑化サービスを提供し、企業の資金繰りの良化を加速させるとともに、企業の回収手数料を75%節約させることができました。
2021年末までに、深圳の銀行は総額1,735億人民元の「輸出越境eコマース直通列車」業務を処理、その結果、輸出越境eコマース業者は合計約2億6,000万人民元の処理手数料を節約でき、37,000社の中小企業に利益をもたらしました。
【参考資料】
・昨年、深圳でのクロスボーダー人民元決済が初めて3兆人民元を突破
*本記事が記載されている大湾区レターは、以下のリンク先からダウンロードしていただけます。
..
.
本記事の目的:
本記事は、主に中国へ進出されている、またはこれから中国進出を検討されている日系企業の皆様を対象に、中国国内での経営活動や今後の中国ビジネスに重大な影響を及ぼしうるような国家・地方レベルの最新の法律法規と関連政策の主な内容とその影響、日系企業をはじめとする外資系企業の取るべき主な対策などを紹介することを目的として作成されています。
免責事項:
- 本資料はあくまでも参考用として作成されたものであり、法律や財務、税務などに関する詳細な説明事項や提案ではありません。
- 青葉コンサルティンググループ及びその傘下の関連会社は、本報告書における法律、法規及び関連政策の変化について追跡報告の義務を有するものではありません。
- 法律法規の解釈や特定政策の実務応用及びその影響は、それぞれのケースやその置かれている状況により大きく異なるため、お客様各社の状況に応じたアドバイスは、各種の有償業務にて承っております。
※当サイトの内容、テキスト、画像等の無断転載・無断使用を固く禁じます。