広州市黄埔区で大湾区初の「専精特新**産業園」始動【大湾区情報レター Vol.28】
- 公開日 2022.01.18 | 大湾区(グレーターベイエリア)情報
「大湾区情報レター」では、今後、日系企業の皆様に有用と考えられる最新情報をピックアップしお届けしていきます。
山の中にひっそりと 「横たわる」2つの巨大な「タイヤ」は、広州市黄埔区での中国初の「航空機用タイヤ力学・大型科学装置」です。
12月18日、黄浦区と広州開発区は、第4四半期の主要プロジェクトの完成および試作開始、そして大湾区初の「専精特新産業園」である広州開発区専精特新産業園の立ち上げに関するイベントを開催しました。 科学技術革新や先端製造業などさまざまな分野のプロジェクト86件が完成、そして試作が開始され、プロジェクト投資総額は約861億人民元、生産能力(事業収入)は約1,562億人民元にも達する見込みです。
**専精特新:
近年中国で「専門性があり、精巧な技術力を持ち、独自性に優れ、革新力の高い」中小企業、製品、プロジェクトに与えられる称号。省、直轄市政府認定の「専精特新」企業は税制優遇措置などの恩恵を受けることができる。
2021年において、黄浦区と広州開発区は既に5度のプロジェクト調印、着工、試作生産開始イベントを開催し、1兆元製造、1兆元国家資本、1兆元固定資産投資、1兆元商品という4つの「1兆人民元計画」の実施に対し強力なエネルギーを注ぎ、大湾区の実体経済最強地区構築に全力を挙げています。
大湾区と北京・天津・河北との夢の連携 広州開発区専精特新産業園オープン
「合芯科技(Hexin Technology)が北京・広州共同イノベーションセンターに進出してから、生産ラインの試運転まで、わずか3カ月しかかかりませんでした。 黄浦区と広州開発区の新しい戦略的産業を発展させようという決意と、非常に温かみのあるビジネス環境に魅力を感じています。」 国際ユーラシア科学アカデミーの学者、清華大学の魏紹軍教授はイベントのスピーチでこう語っています。
魏教授のいう「京広共同イノベーションセンター」は、広州経済開発区と北京経済開発区が地域間協力を率先して進めるために作った「専精特新」の一大キャリア・プロジェクトになります。これは 国家レベルの南北2つの経済開発区が初めて「縁組み」をした結晶であり、広州開発区専精特新産業園の一部分でもああります。
近年、黄浦区と広州開発区は「中小企業も大活躍できる」先行デモンストレーション・ゾーンの建設を続けて行っており、中国初の「専精特新10ヶ条」特別政策を打ち出し、大湾区初の専精特新産業園、 広州開発区専門特新産業園を建設し、「専精特新」企業の急速な成長と発展のための肥沃な土壌を提供しています。
12月18日当日、禾信儀器(Guangzhou Hexin Instrument)、方邦電子(Guangzhou Fangbang Electronics)、潔特生物(Guangzhou Jet Bio-Filtration)、昊志機電(Guangzhou Haozhi Industrial)、一品紅(Yipinhong Pharmaceutical)の併せて5つの黄浦区と広州開発区「専精特新」プロジェクトが完成し、試作生産が開始されました。そして広州開発区専精特新産業園の2つの主要園区である京広共同イノベーションセンター及び鈞恒広場が完成しました。また、試作生産開始する「専精特新」プロジェクトの総投資額は約73億人民元、生産能力は約155億人民元となっています。
現在、中国工程院会員の王迎軍氏が率いる広東省新型生物材料・ハイエンド医療機器広東研究所、前述の魏教授が率いる大湾区合芯高性能サーバーイノベーション研究所など、多くのプロジェクトが既に京広共同イノベーションセンターに入居しています。
同日に完成、試作生産を開始した5つの「専精特新」プロジェクトは、いずれも異なるイノベーションのサーキットで加速走行する「チャンピオン」です。禾信質量分析産業化基地プロジェクトは、国家レベルの工程研究センター、製品応用デモンストレーション・センターなどを建設し、新たにPM2.5オンライン発生源質量分析装置と微生物質量分析装置等の生産ラインを8本増設し、年間220台の質量分析装置を生産を実現する予定です。また、広州方邦電子股份有限公司の試作生産プロジェクトは、主に電磁波シールドフィルムとフレキシブル銅張積層板の2製品の量産になり、主に5G通信、チップ包装、CSPフレキシブルプリント基板製作などのコア産業で応用され、当分野での日本企業による技術封鎖と市場独占の状況を打破し、中国国内における関連技術の空白を埋めていきます。
86の主要プロジェクトがイノベーションエンジンに火をつける 国際競争力のある産業ハブを構築
ここに86の主要プロジェクトが集中的に完成したことは、大湾区において質の高い発展の核となるエンジンを構築する「黄埔の役割」のレベルの高さを反映しています。 これら86の大型プロジェクトの中でも、特に目を引くのが「航空機用タイヤ力学・大型科学装置」です。
中国科学院長春応用化学研究所と広東省大湾区黄浦材料研究所を頼りに、「航空機用タイヤ力学・大型科学装置」が完成し、世界トップクラスの航空タイヤ研究開発・イノベーション基地を構築、国内の航空タイヤ力学試験プラットフォームの空白を埋め、中国の航空タイヤ製造における「肝心な問題」の解決に努力します。
その他複数の試験生産プロジェクトが完成し、黄浦区や広州開発区のバイオメディカル産業はさらに拡大しています。 すでに500以上の研究機関や企業の本社機能が集まっている広州市東南端に位置する「広州国際生物島」(旧称:官洲島)に、また新たに一つ大きなイノベーションのプラットフォームが誕生しました。
同日完成した北京市のバイオ製薬企業で、香港、ニューヨーク(ナスダック)上場の百済神州(Beigene)社が開設の「百済神州生物島イノベーションセンター」は、科学者と起業家を中心に特化したインキュベーターで、最先端の研究所インフラを備え、総合的な研究サービス、現場での科学研究、ビジネス支援が可能であり、また、科学者や起業家への潜在的な資金援助も可能とします。
康融東方生産基地は、康融生物と東瑞製薬の合弁にて開設され、総投資額は10億人民元、生産能力は104億人民元となる見込みです。 主な製品は、高コレステロール血症治療用のPCSK9モノクローナル抗体新薬と、腫瘍治療用のVEGFR-2抗体新薬AK109が中国で最初に中国国内で開発された主な製品となる見込みとなっています。
邁普再生医学(Medprin Regenerative Medical Technologies) は、広州サイエンスシティに科学技術本部基地を建設し、バイオ付加製造や精密加工などの先端製造技術を活用して国家レベルの技術革新プラットフォームを構築し、高性能体内埋込型医療機器産業のコア技術問題に取り組み一連の製品を開発し、組織修復などの高性能体内埋込型医療機器製品の産業化を加速させる予定です。
また「広州No. 1チップ」として知られる粤芯半導体(Guangzhou CanSemi Technology)も、プロジェクトのフェーズ2の完成を迎え、試作生産を開始します。 粤芯半導体プロジェクトのフェーズ2は、広東省で唯一大量生産を開始した12インチチップ生産プラットフォームであり、大湾区製造業のパワー・ディスクリート・デバイス、パワー・マネジメント・チップ、ミックスド・シグナル・チップなどの需要に対応し、22nmFDSoI 製品の研究開発パイロットラインを構築します。
【参考資料】
*本記事が記載されている大湾区レターは、以下のリンク先からダウンロードしていただけます。
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本記事の目的:
本記事は、主に中国へ進出されている、またはこれから中国進出を検討されている日系企業の皆様を対象に、中国国内での経営活動や今後の中国ビジネスに重大な影響を及ぼしうるような国家・地方レベルの最新の法律法規と関連政策の主な内容とその影響、日系企業をはじめとする外資系企業の取るべき主な対策などを紹介することを目的として作成されています。
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