外商投資企業実施の条例及び司法解釈について【ニューズレター Vol.77】
不定期ではございますが、青葉グループではニューズレターを配信しております。青葉ニューズレター【Vol.77】の内容は、
- 中国税務事項に係る手続きの更なる簡略化
- 中国増値税税引き証憑認証の確認期限の取消し
- 身体障害者就業保障金の徴収政策の調整に関する公告
- 外商投資情報報告に関する事項の公告
- 中国公布の外商投資企業実施の条例及び司法解釈
となっております。
今回はその中から「中国公布の外商投資企業実施の条例及び司法解釈」について、ご紹介いたします。
(*全記事が記載されているニューズレターはこのリンクからダウンロードしていただけます。)
外商投資企業実施の条例及び司法解釈
2020年1月1日より正式に施行された「外商投資法」。
その内容は、投資促進と保護の強化、同時に外商投資管理をより規範化することを目的とした主要な法律制度を規定している。
今回はその「外商投資法」を細分化して明確に規定している「中華人民共和国外商投資法実施条例」(以下、実施条例)および最高人民法院発行の「中華人民共和国外商投資法」適用に関する若干問題の解釈」(以下、解釈)について紹介する。
主要内容:「実施条例」について
一、中国の自然人が外国投資者と外商投資企業を設立できる旨を明確化:
以前の中国法規は、中国法人のみが外国投資者と共に外商投資企業を設立できるとしていた。
二、国家が知的財産権侵害の賠償制度と保護メカニズムの確立を明確化
実施条例23条:国家は、知的財産権侵害に対する罰則を強化し、知的財産権の執行を引き続き強化し、知的財産権の迅速かつ協調的な保護メカニズムの確立を促進し、知的財産紛争において多様な解決メカニズムの構築し、外国投資者と外商投資企業の知的財産の平等保護を推進する。
三、 外商投資企業設立・変更には審査・届出の必要がないと明確化
これは外商投資法により確立された、国民同様の待遇措置への参入許可とネガティブリスト管理制度の実装を意味し、外商投資管理制度の大幅な改革により、外商投資企業設立手順をより簡素化するものである。
四、5年以内に、現行の外商投資企業は会社法と矛盾する組織形態および構造を変更すべきであることを明確化
2025年1月1日以降、法律に基づき組織形態や組織構造等を調整しておらず、登録が変更されていない現行の外商投資企業については、市場監督管理部門が申請したその他登記事項については手続きを受け付けず、また関連情報は公示される。
五、香港・マカオ・台湾及び華僑による投資は、外商投資法および実施条例に従って執行する旨を明確化
主要内容:「解釈」について
六、投資契約の適用範囲を拡大
「解釈」において投資契約とは、一般に外国人投資家、すなわち外国の自然人、企業、その他組織が、直接もしくは間接的に中国国内で投資を行うための関連協定を指します。
この「解釈」が採用する投資契約の範囲は、明らかに拡大性の解釈であり、実際の状況において投資家が採りうるすべての契約の可能性も含んでいる、としている。
「解釈」によれば、投資契約の形態とは、外国投資企業の設立に関する契約、株式譲渡契約、株式譲渡契約、財産割当分もしくはその他類似権益の譲渡契約、新規プロジェクト契約が含まれるが、これらに限定されない。
さらに、外国投資者が贈与、財産分割、企業合弁、企業分割等で取得した権益から生じる契約紛争にも「解釈」を適用すると規定している。
七、禁止・制限区域での投資契約は無効であることを明確化
禁止区域の投資に対して外国人投資家が契約無効を主張する場合、法務院はこれを支持する。
制限区域の投資に対して、外国人投資家が制限のある特別行政措置に違反するという理由で、投資契約が無効であることを主張した場合、法務院はこれを支持する。
これは「解釈」が、外商投資法のネガティブリストの規定は強制力がある規定であるとみなし、投資契約当事者の違反を許さず、契約の規定に矛盾してはならないことを示している。
八、香港・マカオ・台湾の居住者および国外移住の中国国民の国内投資に対しても適用を参照すると規定
【法規リンク】
最高人民法院「中華人民共和億外商投資法」適用に関する若干問題の解釈
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本記事の目的:
本記事は、主に中国へ進出されている、またはこれから中国進出を検討されている日系企業の皆様を対象に、中国国内での経営活動や今後の中国ビジネスに重大な影響を及ぼしうるような国家・地方レベルの最新の法律法規と関連政策の主な内容とその影響、日系企業をはじめとする外資系企業の取るべき主な対策などを紹介することを目的として、青葉グループの広東省広州市天河区に拠点を構える弁護士事務所より作成しております。
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