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中国新会社法でやるべきこと – 第二回 従業員による会社管理「従業員董事・監事」

 

この数年間、中国で会社運営をしている日系企業の方々は、今月1日から施行された「改正版中華人民共和国会社法(以下、新会社法)」について、耳にされる機会が多かったのではないでしょうか。

 

多くの専門事務所がこのことについて解説するセミナーが開催され、それに参加してみたものの、今一つ理解できていない。という方に向けて、既に施行された法律ではありますが、改めてこの新会社法により、やらなければならなくなった事に重点をおいて解説していきたいと思います。

 

内容が多岐にわたるため、一つ一つのトピックに分けて解説したいと思います。今回は、ご相談件数の多い「従業員董事・監事」についてです。

 

 

 

この記事の要約:

・従業員数 300 名以上で監事会・従業員監事を設置しておらず董事会が設置されている場合、従業員董事を選任する必要がある。

 

もしも貴社の従業員数が300名未満であったり、董事会が設置されていない単独董事である場合については、従業員董事の設置は必須ではありません。

 

 

 

董事会の従業員董事について

旧会社法においても、董事会における従業員董事の設置は、2 つ以上の国有企業又は 2 つ以上の国有投資主体が設立した有限責任会社といった、会社が一定の国有権益を有する有限責任会社に従業員董事の設置が義務付けられていましたが、今回の新会社法では、監事会を設置してその中に従業員代表監事が含まれている場合を除き、従業員数 300 名以上の会社であれば董事会に従業員代表の董事を少なくとも 1 名を選出しなければならなくなりました。

 

これは従業員の利益保護が強化されていることが背景で、企業の董事会または監事会の構成に従業員代表を含めることで、会社の民主的経営を促進させることを意図しています。そのため、従業員董事の選出方法は、従業員大会などによる民主的な選挙によって選ばれなければなりません。この選出方法の細則が規定されてはいませんが、株主による任命によって選ばれるわけではありません。

 

この意味するところはつまり、これまで日本の親会社や共同出資している他の株主により任命された董事で董事会が構成されていた場合、株主の影響を会社運営へ反映させたり、会社の組織再編などといった重要決定事項などの秘匿性の高い情報を保護することが容易でしたが、従業員董事を含める場合は、従業員側の意向が会社運営に影響する、董事会の決議事項など秘匿性の高い情報の保護対策が必要になる、などといった可能性があります。

 

これをリスクと危惧する企業であれば、従業員董事を設置する代わりに、監事会を設置し従業員監事を設けるか、それとも董事会を設置せず1名の単独董事(第75条 株主人数が少ない場合)とする、といった方法をとる必要があります。

 

 

 

董事会の人数制限が撤廃

これまでは、有限責任会社の董事会の人数 について13 人までと規定されていましたが、新会社法では人数制限が撤廃され、「3 人以上」と定められました。

 

 

 

監事会の設置について

監事会が設置会社されており、監事会の構成員に従業員代表が含まれている場合、従業員代表董事を選任する必要がありません。

 

また監事会の構成員も3名以上で、監事会の構成員における従業員代表の比率は全体の三分の一以上とする必要があります。また監事会の従業員代表の選出においても、董事会と同様に民主的な選挙により選出されます。

 

そのため、従業員数 300 名以上で、董事会および監事会が設置されている企業であれば、従業員代表を董事会または監事会の構成員として含める必要があります。

 

 

 

 

従業員董事の課題と検討すべきことまとめ

 

最終的に董事会と監事会のどちらかに従業員代表を設置することを検討しなければならない場合、董事会は会社運営にかかる重要事項の立案・決議を行う機関であり、監事会は董事や役員を監督するという機関であるため、従来通りの運営を維持したいということであれば、従業員監事の設置が考えられます。

 

しかしながら、監事会の3分の1は従業員代表で構成される必要があること、監事は董事会に参加できること、もしも会社の重大事項にかかわる決議については労働組合や従業員から意見を聴取する必要があること、などについても考慮する必要があります。

 

 

 

 

 

 

 

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本記事の目的:

本記事は、主に香港へ進出されている、またはこれから香港進出を検討されている日系企業の皆様を対象に、香港での経営活動や今後の香港ビジネスに重大な影響を及ぼしうるような最新の法律法規と関連政策の主な内容とその影響、日系企業をはじめとする外資系企業の取るべき主な対策などを紹介することを目的として作成されています。

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