中国、第2四半期の成長率は4.7%、予想を下回る 「需要不足」が背景
- 公開日 2024.07.19 | 中国
中国の国家統計局(以下、NBS)が7月15日に発表した、第2四半期の経済成長率は前年同期比4.7%増となりエコノミスト達の予想を下回った。
弱い消費と不動産不況が足を引っ張る
世界第2位の経済を誇る中国の第2四半期の経済成長は市場の予想に反して不調に終わったこの発表は、中国が待ちに待った最高政策決定機関が今後5年から10年の経済戦略を決定する見込みの第3回全人代を開幕した同じ日に発表された。そのため、この経済会議に出席する中国政策立案者たちへ、これらの弱い消費と不動産の不況といった堅固な課題に解決への警報となった。
また今回の経済成長率は、中国の金融データ・プロバイダーWind社が調査したエコノミストの予測値5.08%を下回り、また前期の好調であった第1四半期の5.3%からも低下した。これにより、今年上半期のGDP成長率は、前年同期比5%増となった。前四半期比では、中国経済の第2四半期の成長率は0.7%で、第一四半期の前四半期比1.6%増から低下している。
NBSは、「現在の外部環境は複雑で、内需は依然として不十分である。景気回復の基盤を固める必要がある」と述べた。
その他の主な経済指標
その他では、中国の小売売上高は5月の前年同月比3.7%増に対し、6月は前年同月比2%増となった。一方、中国の工業生産高は前年同月比5月の5.6%増に対し、6月は前年同月比5.3%増となった。固定資産投資は1-5月期においては前年同期比4%増、2024年上半期は前年同期比3.9%増となり、また民間投資は今年上半期においてわずか0.1%の増加だった。そして、不動産投資は6月に前年同月比10.1%減となり、5月と変わらなかった。中国の6月の都市部全体の失業率は5%で、5月から横ばい。
変わらぬ目標、経済成長率5%
貿易摩擦の激化や国内の不動産不況、回復しない雇用市場といった課題があるにもかかわらず、政府は年間経済成長率目標を引き続き5%前後に設定しており、国内外の複数の経済機関はこの目標は達成される可能性が高いと予測している。
以下、Natixis Corporate and Investment Bankのエコノミストによるコメント。
「弱い消費者心理と企業心理が苦境をさらに深めているため、中国経済は幅広く減速を示している。不動産セクターの低迷は今後も続くと予想されているが、小売売上高と固定資産投資のさらなる減速は、デフレ圧力が継続する中で憂慮すべきことだ。需要サイドの政策*へ転換しなければ、中国は年率5%の成長目標を達成できないかもしれない。良いニュースは、経済データの悪さが、いずれ軌道修正の口実になるかもしれないということだ。」
需要サイドの政策とは:
総需要の増減に焦点を当て、失業率、実質生産高、経済全般の物価水準に影響を与える経済政策。需要サイドの政策は、財政政策と金融政策に分類される。財政政策には、課税や政府支出の調整が含まれる。金融政策は、マネーの創出と金利の変更を伴う。需要サイドの政策は、消費者や企業の支出や貯蓄の行動を変えることを目的としている。
世界銀行の見通しは4.8%
今回の発表前である6月11日に世界銀行が発行したレポートでは、2024年の中国経済の成長率を1月の予測よりは0.3ポイント高い4.8%と予測した。これは主に、2024年早期の輸出が予想以上に堅調だったことが要因。中国税関総署によると、今年1~5月の中国の物品貿易は前年同期より6.3%増えている。
中国は輸出などの経済活動が予想以上だとしている一方で、内需となる消費は消費者心理の低迷による大幅な減速、そして全体的な投資についても不動産セクターの弱さが政府支出の足を引っ張ることが懸念事項であるとしている。
これは向こう数年続く見通しで、2025年には4.1%、2026年は生産性の低下、投資の弱体化、人口動態の逆風の高まりにより潜在成長率が圧迫され4.0%になると成長率はさらに鈍化することが予測されている。
【関連記事リンク先】
China’s economic growth misses the mark amid weak demand, risks ‘undershooting’ annual target
Global Economic Prospects, June 2024, East Asia and Pacific highlights, Japanese
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