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香港証券取引所、香港ドルと人民元の2通貨カウンター・モードがスタート【大湾区情報レター Vol.63】

「大湾区情報レター」では、今後、日系企業の皆様に有用と考えられる最新情報をピックアップしお届けしていきます。

 

 

 

 「香港株が人民元で取引可能になりました」この朗報は、香港株式市場参加者が待ち望んでいたものでした。6月19日、香港証券市場で「香港ドル・人民元2通貨カウンター・モード」と「2通貨カウンター・マーケットメーカー・メカニズム」が正式に開始されました。

 香港証券取引所の共同最高執行責任者兼株式証券部門責任者(Co-Chief Operating Officer & Head of Equities)の姚嘉仁氏は2通貨カウンター・モードについて「香港株式市場は香港ドルと人民元の2つのカウンターを設け、両通貨の株式を別々に分けて取引することとなります。これにより、価格差を縮めるために投資家がカウンターを自由に切り替えることができます。つまり、投資家は同じ上場会社の株式を香港ドル建てでも人民元建てでも購入することができます」と説明しました。

 初回の香港株24銘柄の承認リストには、上場する企業体が中国本土の企業が大半で、テンセント・ホールディングス、比亜迪(BYD)、中国平安保険、中国海洋石油などとなっています。インターネット、金融、自動車、エネルギーなどの業種をカバーし、ハンセン銀行、新鴻基地産(Sun Hung Kai Properties)などの香港企業も含まれています。


 データによると、取引終了時点で、初回の香港株の24銘柄の人民元建てカウンターの合計取引高は約1億6,300万人民元で、そのうち中国移動(China Mobile)、テンセント・ホールディングス、中国平安保険の3銘柄が取引高のトップ3に入っています。



「香港市場にとっては大きなプラス」

 「今までは香港株を買うためには、まず香港ドルに両替しなければならなかったが、今では人民元カウンターを通じて直接取引できるようになり、為替コストと為替リスクが大幅に削減され、香港株への投資がより便利になり、香港市場にとって大きなメリットとなります」中泰国際(ZTSC)アナリストの顔招駿氏は、この新たな措置の導入は香港株式市場の市場参加者に広く歓迎されており、反響は圧倒的であると話しました。

 顔招駿氏の分析によると、人民元カウンターの追加開設を申請する香港株企業は、時価総額と流動性の要件を満たす必要があります。そのため、24社のほとんどはブルーチップ(優良株式銘柄)及び香港ストックコネクトのターゲットであり、日々の取引が比較的に活発で、香港の株式市場のメインボードの1日の総取引高の約40%を占めていると述べられています。

 

 また、今回新たに導入されたマーケット・メーカー・メカニズムも、2通貨カウンター・モードの大きな特徴です。「規模が大きい市場参加者を人民元カウンターのマーケット・メーカーへ招聘し、双方の取引に相場を提供します」と姚嘉仁氏が説明しました。また「その利点は、2つのカウンターの間の価格差を縮小し、人民元カウンターに継続的な流動量を提供することで、投資家が取引をする対象を提供します」とも述べました。現在、中銀国際(BOC International Holdings)や中金香港(CICC Hong Kong)など、中国と外国の証券会社9社が2通貨カウンター・マーケット・メーカーとなっています。

 

 2通貨カウンター・モードは段階的に展開され、今後さらに多くの証券が受け入れられ、2通貨カウンター証券リストに追加される予定です。投資家については、開始当初は主に香港の現地投資家や海外投資家が対象で、中国本土の投資家は当面、香港ストックコネクトを通じて参加できないが、新しいモデルは将来的には香港ストックコネクトを通じて中国本土の投資家が香港に上場している人民元建て証券を取引できるよう初期準備作業を進めます。


人民元の国際化のさらなる推進

 

 「人民元建て香港株は、一方では香港株式市場により多様な資金を呼び込み、国際金融センターとしての香港の地位を強化するのに役立ち、他方では人民元の国際的地位をさらに高めることができます」。香港の経済学者でシルクロード智谷研究院(China Silk Road iValley Research Institute)の院長である梁海明氏はこのように述べました 。

 

 梁氏の見解では、香港は世界最大のオフショア人民元市場であるものの、人民元建ての金融商品はそれほど多くなく「世界的なオフショア人民元ビジネスハブの利点を発揮し、中国本土との相互接続などの金融協力を強化し、人民元建て金融商品の国際市場の促進・形成に注力する必要がある」と述べています。

 

 梁氏はさらに、香港から視点のみにとどまらず「世界の金融資産取引の規模はすでに商品取引の規模を上回っており、世界の金融資産の人民元建てすることを推進すれば、国際舞台における人民元の影響力を拡大するのにより効果をもたらすだろう」と説明しました。

 

 

 

 

【参考資料】

 

・香港証券取引所、香港ドルと人民元の2通貨カウンター・モードがスタート

 

 

 

 

 

 

 

*本記事が記載されている大湾区レターは、以下のリンク先からダウンロードしていただけます。

 

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本記事の目的:

本記事は、主に中国へ進出されている、またはこれから中国進出を検討されている日系企業の皆様を対象に、中国国内での経営活動や今後の中国ビジネスに重大な影響を及ぼしうるような国家・地方レベルの最新の法律法規と関連政策の主な内容とその影響、日系企業をはじめとする外資系企業の取るべき主な対策などを紹介することを目的として作成されています。

 

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