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大湾区における金融の加速化 デジタルイノベーションが国際的な会計人材の潜在的市場を促進【大湾区情報レター Vol.59】

「大湾区情報レター」では、今後、日系企業の皆様に有用と考えられる最新情報をピックアップしお届けしていきます。


 

 

 広東・香港・マカオの各統計局が発表した最新の2022年経済指標データによると、大湾区のGRP(地域総生産)は1兆8,900億米ドルを超え、同年の中国GDPの10.51%を占めました。

 

 中国工商銀行(アジア)次期董事長の劉亜干氏は、AICPA & CIMA*国際公認会計士協会主催の「2023 CGMA**大湾区会計財務グローバル 人材 サミット 」において、大湾区は長江デルタ、京津冀(北京・天津・河北都市部)、成渝(成都・重慶都市部)とは異なり、資本市場の相互接続、金融インフラの接続性、クロスボーダーの分野で順調に進展しており、ますます完成度をあげていると述べました。

*AICPA : The American Institute of CPAs(米国公認会計士協会)

 CIMA: The Chartered Institute of Management Accountants (英国勅許管理会計士協会)

** CGMA : Chartered Global Management Accountant (2012年に開設された国際管理会計資格)

 

 また、大湾区発展の陰には、この地域の発展を支えるためにどのような人材が必要なのかという問題が存在している、と劉氏は述べました。デジタル経済の活況は、国際金融ハブの育成に貢献してるが、同時に、国際金融ハブとしてのイノベーション構築のために、より高い要求を突きつけていると、と劉氏は続けており、 このような背景から、商業銀行のデジタル・トランスフォーメーションは、大湾区におけるデジタル経済の発展と国際金融ハブの育成において、重要な要素となってきています。

 「デジタル経済の発展は、商業銀行とその人材にとって極めて重要であり、また、現在デジタル経済の発展が直面する最も重要な問題は、人材の不足であります」と劉氏が付け加えました。

 

 FCMA***、CGMA、AICPA & CIMA国際公認会計士協会(以下「協会」)北アジア地域総裁の李穎氏によると、大湾区はオープンで革新的、かつ国際ネットワークが発達しており、今後の発展には大きな可能性が潜めています。しかし、世界の他の地域と比較すると、高度教育を受けている人材の割合や、李氏が国際化の指標の一つとして挙げている、常住人口に占める国際人材の割合が大湾区では目立って低くなっています。

***FCMA : Fellow Certified Management Accountant (国際公認管理会計士協会特別会員)

 

 大湾区の常住人口に占める国際人材の割合は約3.3%で、先進国における同割合の10%を大きく下回っています。現状では、若干国際人材の割合が高い香港を除き、大湾区の他都市は平均1%未満であり、国際人材に対する需要は非常に高くなっています。また、中国と英国の「国際人材交流および職業教育訓練における協力に関する覚書」の締結を背景に、協会と中国国際人材交流財団が昨年、DMAデジタル化会計管理プログラムを開始し、中国と英国のデジタル関連人材の誘致と育成のマイルストーンとして、大湾区の金融業界発展のみならず人材育成に力を入れることが期待されている、と李氏は述べました。

 

 香港政府の金融サービス及び財務局副長官である陳浩濂(ジョセフ・チャン)氏によると、会計は市場経済システムのインフラであり、国際的に通用するビジネスの言語であると同時に、近代産業システムの構築と市場の国際化を可能にするプロセスにおいて欠くことのできない要素であるとのことです。同庁は、会計及び財務報告局(Accounting and Financial Reporting Council)、香港公認会計士協会と緊密に連携し、香港の会計士の育成を推進しています。香港の会計士は、中国全体の発展プランにおいて非常に重要な役割を担っており、その中で、大湾区は最良のエントリーポイントとなっています。

 

 過去3年間、大湾区は6万社以上のハイテク企業を育成し、30以上のテクノロジー協力支援プロジェクトを立ち上げ、横琴に中医薬学・新薬技術革新センターの設立を推進しました。米国のニューヨーク・ベイエリア、サンフランシスコ・ベイエリア、日本の東京ベイエリアと比較し、大湾区は、近い将来、GRPの面でトップに躍り出ることが予想されると、アーンスト&ヤング華南エリアのマネージングパートナー、黄寅氏は述べました。ただし、より重要なのは、どのようにGRP一位の座を確保しながら質の高い発展を確保するかということです。

 

 黄氏によると、大湾区における金融協力においては、クロスボーダー貿易、投資、資金調達促進のためのデジタル人民元利用の追求、クロスボーダー金融商品関連の情報セキュリティや税制などを改善し双方向資金流動の促進、大湾区の金融市場、金融インフラ施設建設及び金融分野関連の相互接続の推進、大湾区内におけるクロスボーダー専門サービスのレベルアップ、科技金融イノベーションサービスの強化、大湾区内の金融管理監督に関する協力強化、といった点に今後大きな期待が寄せられています。

 

 

 

【参考資料】

・大湾区における金融の加速化 デジタルイノベーションが国際的な会計人材の潜在的市場を促進

 

 

 

*本記事が記載されている大湾区レターは、以下のリンク先からダウンロードしていただけます。

 

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本記事の目的:

本記事は、主に中国へ進出されている、またはこれから中国進出を検討されている日系企業の皆様を対象に、中国国内での経営活動や今後の中国ビジネスに重大な影響を及ぼしうるような国家・地方レベルの最新の法律法規と関連政策の主な内容とその影響、日系企業をはじめとする外資系企業の取るべき主な対策などを紹介することを目的として作成されています。

 

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