NEWS

ニュース

オフショア受動所得に対する免除制度の改正案-対象資産の拡大

 

純持株会社である香港子会社のこれまで非課税だった配当や利息の所得が、課税されることになるかもしれない。という話しを聞いたことのある方が、この記事を読んでいただいているのかもしれません。

 

その話しは以前、欧州連合(EU)の懸念に対処するため、香港に実質的な経済的実体を持たない企業に対するオフショア受動所得の免税措置から生じる二重非課税に対する税法【国外源泉所得控除 ”Foreign Source Income Exemption”(以下、FSIE制度)】の改正(2023年1月1日より施行)のことではないかと思います。まだ読んでいない方はまずこちらの記事をご覧ください。

 

この記事のように、これまで説明されてきましたたが、当制度においてさらなる改正が加えられる可能性があるかもしれません。

 

 

株式または持ち分に加え、対象資産が追加されるかもしれない

香港政府が2月15日付で公表したプレスリリースによると、EUは2023年1月1日からのFSIE制度の導入に向けた香港の取り組みに前向きな意見を述べたものの、同時に、EUの「FSIE制度に関するガイダンス」の最近の更新を踏まえ、現状の対象資産となっている株式または持分に加え、それ以外の資産に関連するオフショア源泉の処分益に関してもFSIE制度を引き続き改良する予定であることが述べられました。

 

ただし、具体的に対象となる資産になにが含まれるかについては、現時点においてまだ明確にされておりません

 

 

 

香港はEUのグレーリストに含められている

もともとEUが2021年に香港を税務面での非協力的な国・地域を含むウォッチリスト(いわゆるグレーリスト)に含めたことを受け、香港政府は昨年12月に香港税務局(修正)(特定国外源泉所得に対する課税)法案2022を制定し、香港で受け取った海外を源泉とする利息、配当、株式または持分に関する処分益に対して新しいFSIE制度を導入しました。

 

しかしながら、当制度導入後、EUによる最新のウォッチリストの見直しにおいても、香港は依然としてグレーリストに居残る結果となりました。グレーリストとは、EUによる監視対象であることを指し、このまま状況に改善が見られない場合はブラックリストに加えられか否かの検討対象となります。

 

また、ブラックリストに加えられた場合、それらの国・地域への支払われた経費の損金算入の否認や、源泉所得税の増額などのさまざまな行政措置が科せられることになります。

 

 

 

EUからのさらなる要求への対応期限

EUは香港政府に対し、2023年末までに海外を源泉とする株式または持分以外の資産の処分益(キャピタルゲイン)に対する取扱いについてもさらなる改正、2024年以降の施行を求めており、これを受けて、香港政府も現行の利益税制を変更するためのさらなる法改正が必要であると判断しています。

 

ただし、さらなる改正においては、海外を源泉とする資産(株式および持分を除く)の処分益に対する税務上の取り扱いが、今後現行のFSIE制度における海外源泉の株式・持分処分利益の取り扱いと同様に、香港に所在する多国籍企業(MNE)グループが、これらの資産処分利益を香港で受け取る際、経済的実体の要件が遵守されていれば今後も非課税になることを示唆しています。

 

 

 

現時点では模索の段階

香港政府はEUと密に連絡を取りながら、更新されたガイダンスに含まれる特定の要件を確認した上で、海外を源泉とするキャピタルゲインの取り扱いに関して、さらなるFSIE制度の対象資産範囲の拡大による改正のオプションを探っている段階となっています。

 

今後のさらなる改正は、香港が国際社会において、よりクリーンなイメージを維持するためには避けては通れないものである一方、香港政府は、香港のビジネス界への影響をできるだけ抑えるべく、慎重に取り扱っていくものとみられます。

 

もしも、御社グループの香港社が、影響を受ける可能性があるかもしれない場合や、影響があるのかどうかについてなど、弊社の専門的なアドバイスが必要な場合は、お問い合わせください

 

 

 

 

 

【参照元リンク】

HKSAR Government continues to refine regime against cross-border tax avoidance

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本記事の目的:

本記事は、主に香港へ進出されている、またはこれから香港進出を検討されている日系企業の皆様を対象に、香港での経営活動や今後の香港ビジネスに重大な影響を及ぼしうるような最新の法律法規と関連政策の主な内容とその影響、日系企業をはじめとする外資系企業の取るべき主な対策などを紹介することを目的として作成されています。

 

免責事項:

  1. 本資料はあくまでも参考用として作成されたものであり、法律や財務、税務などに関する詳細な説明事項や提案ではありません。

  2. Aobaグループ及びその傘下の関連会社は、本報告書における法律、法規及び関連政策の変化について追跡報告の義務を有するものではありません。

  3. 法律法規の解釈や特定政策の実務応用及びその影響は、それぞれのケースやその置かれている状況により大きく異なるため、お客様各社の状況に応じたアドバイスは、各種の有償業務にて承っております。

  4. 本文は国際的、業界の通例準則に従って、Aoba Business Consultingは合法チャネルを通じて情報を得ておりますが、すべての記述内容に対して正確性と完全性を保証するものではありません。参考としてご使用いただき、またその責任に関しましても弊社は負いかねますことご了承ください。

  5. 文章内容(図、写真を含む)のリソースはインターネットサイトとなっており、その版権につきましては原作者に帰属致します。もし権利を侵害するようなことがございました際は、弊社までお知らせくださいますようお願いいたします。

 

※当サイトの内容、テキスト、画像等の無断転載・無断使用を固く禁じます。

Contact Us お問い合わせはこちら