中国一部地域で旅行会社及び民間非企業組織 への参入を外資に開放【ニューズレター Vol.92】
本記事は、主に中国へ進出されている、またはこれから中国進出を検討されている日系企業の皆様を対象に、中国国内での経営活動や今後の中国ビジネスに重大な影響を及ぼしうるような国家・地方レベルの最新の法律法規と関連政策の主な内容とその影響、日系企業をはじめとする外資系企業の取るべき主な対策などを紹介することを目的として、青葉グループの広東省広州市天河区に拠点を構える弁護士事務所より作成しております。
【背景】
近年、サービス業は中国の対外開放の重要な分野となり、外資の規模や割合が拡大し続けている。2015年5月、サービス業の開放拡大の総合試験が北京で真っ先に実施された。2021年4月、初めての実施範囲拡大として、天津市、上海市、海南省、重慶市の4省・市が実施対象地点となり、「1+4」[1]の局面が形成された。最近、国務院は関連通知を発行し、通知発行日(2022年9月21日)から2024年4月8日までに、関連省・市において、「旅行社条例」及び「民間非企業組織登記管理暫定条例」の規定が一時的に調整され、外資系旅行会社が国外旅行業務[2]に参入すること、及び外資系企業が非営利性養老機関を運営する民間の非企業組織を登録することに関する試験の実施が同意された。
[1] 「1+4」とは、サービス業の開放拡大の総合試験の最初の実施地点北京市、及びその他の4実施地点、天津市、上海市、海南省、重慶市のことを指す。
[2] 中国居住者を対象とする国外旅行業務。香港、マカオを含む。台湾は除く。
【影響】
1、ポジティブな面から見ると、旅行業界の「放管服」[3]改革を促進することは、旅行業界の第14次5カ年計画[4]の中でも重要な位置を占めている。今後、より多くの外資系旅行会社の国外旅行業務への参入に従い、旅行市場において、豊かで競争力のある商品の創出が期待できる。
2、推計によると、第14次5カ年計画期間中、中国で60歳以上の高齢者は3億人を超え、総人口の20%以上を占め、中度高齢化段階へ突入する。2035年には、60歳以上の高齢者は4億人を突破、総人口の30%を超え、重度高齢化段階へ突入する。このような背景を踏まえ、より多くの外資系企業は中国の高齢者向けサービス市場に目を向けている。
現在、全国にわたり、外資系企業の高齢者向けサービス市場への参入を認めることを試みている都市は少なくない。ただし、外資系企業は中国公民ではないため、非企業組織の法定代表者としての登録はできず、営利性養老機関としてのみ登録可能である。国家関連優遇政策の補助金の享受という点において、営利性養老機関は、前者と大きな差がある。非営利性養老機関は、各種参入資本を十分に活用、老人介護サービス市場を開放、老人介護サービスの供給を拡大、外資系企業が非営利性養老機関へ資金を提供する積極性に刺激を与えるということに役立つ。
[3] 「放管服」改革とは、「放」:行政の簡素化・分散化、参入障壁の低減、「管」:規制の革新、公正な競争の促進、「服」:行政サービスの効率化、利便性のある環境の構築、ということを指す。(参考リン:http://kjj.xiangyang.gov.cn/ztzl/fzzl/202108/t20210811_2547471.shtml)
[4] 「第14次5カ年計画」は、中国の国家経済社会発展のための重要計画の略称である。
【主要内容】
一、通知発行日(2022年9月21日)から2024年4月8日までに、関連省・市において、「旅行社条例」及び「民間非企業組織登記管理暫定条例」の規定が一時的に調整される。
1、上海市と重慶市では、外資系旅行会社が国外旅行業務に参入することを認める。
2、天津市と海南省と重慶市では、外資系企業の非営利性養老機関への資金提供の制限が緩和された。
二、国務院の関連部門、関連省・市の人民政府は、上記の調整に従い、当部門、当省・市が制定した規定・規範性書類にて適切な調整を行い、サービス業開放拡大総合試験に応じる管理制度を構築する。
三、国務院は、関連省・市のサービス業拡大開放総合試験の状況に合わせ、適時に当措置の内容を調整していく予定である。
【法規リンク】
「天津市、上海市、海南市、重慶市での関連行政法規・規定の暫定的調整実施の同意に関する国務院からの回答」
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