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2021年は新たに51社が海外進出、73の海外プロジェクト展開 東莞企業は「走出去」※ 戦略を加速【大湾区情報レター Vol.39】

「大湾区情報レター」では、今後、日系企業の皆様に有用と考えられる最新情報をピックアップしお届けしていきます。


  

※【走出去】(走出去戦略)

中国の、対外開放政策における従来の外資導入(引進来)だけではなく、2000年ごろから対外投資に対しても積極的に推進されてきた、対外投資を促進するための国家戦略。

 

「2021年東莞市対外投資発展レポート」(以下、「レポート」)が発表されました。

 「レポート」によると、2021年時点で、東莞市の企業472社が世界52ヶ国と地域において企業597社に出資、29.91億米ドルの対外累計投資額となっています。また2021年単年のみにおいて51社の東莞企業が世界17ヶ国と地域に73の対外投資協力プロジェクトを展開しており、中国からの対外投資額が9.12億米ドルと762%もしており、その規模と増加率ともに過去最高水準となりました。

 

 商務部研究院国際市場研究所副所長白明氏によると、東莞企業が「走出去」のスピードを加速していることは、近年において東莞企業の実力がますます強くなってきており、また、東莞企業が世界産業チェーンに溶け込むスピードも加速しれ、企業のリスク対応能力もさらに増していることがあらわれています。

1)民間企業が「走出去」の主力に

 

 「レポート」によると、2021年時点で、海外投資を行った企業で、民間企業が全部の77.39%を占め、次いで集団所有制企業が10.89%、外資系企業が10.21%、国有企業が1.51%となっています。

 

 昨年においては、東莞の民間企業の対外投資協力の割合はさらに上昇し、全体の82.14%を占めました。

 

 業種別では、2021年時点で、東莞企業の対外投資協力は、国内主体の業種分類によると、大きく4つの業種に分類される42つの小業種に及んでいます。中でも、東莞の製造業に関連する卸売・小売業は対外投資が最も活発な業種であり、その企業数は投資企業総数の72.53%を占めています。次いで、製造業が18.43%を占めました。

 

 2021年においては、東莞の企業は3つの主要産業で合計11つの小業種に投資し、卸売・小売業と製造業にさらに集中しました。この2つの分野の投資企業数の合計が、新規海外企業数の92.86%を占めました。

 

 地域別では、2021年時点で、東莞の「走出去」企業は世界52カ国・地域、5大陸に597社の海外企業を設立しており、非常に広い分布を示しています。 中でも東莞はアジア地区で最も多くの海外企業を設立しており、その数は474社、海外投資企業総数の79.40%を占めています。 海外プロジェクト数の上位10カ国(地域)は、香港、アメリカ、ベトナム、ドイツ、インド、インドネシア、シンガポール、タイ、エチオピア、マレーシアで、計519社が東莞市が海外に設立した企業のうち、86.93%を占めました。

 

 2021年一年間において、東莞の「走出去」企業は世界17ヶ国・地域に57社の海外企業を設立し、アジア地区が最も高い割合を占め、47社増加と全体の83.93%を占めました。

 

 投資手法の観点から見ると、東莞企業の海外投資手法に占めるM&Aの割合は徐々に増加しています。「レポート」によると、2021年に東莞企業が設立した597社の海外企業のうち、67社がM&Aで設立され、11.22%を占め、530社が新規設立され、88.78%を占めました。 2021年、東莞企業は6ヶ国・地域で8件の対外M&Aプロジェクトを実施し、14.29%を占め、M&A額は4.16億米ドルで、年間投資総額の45.61%を占めました。

 

2)「走出去」は明確なフィードバック効果をもたらす

 

「レポート」では、対外投資協力が企業の国内ビジネスに大きな影響を及ぼしていることが掲載されています。

 

 「走出去」した企業の70%以上が既存事業の規模を拡大し、産業チェーンのコントロールとリスク防止の能力を高めました。45%近くの企業が対外投資協力を通じて収益を改善し、従業員数と納税額を直接増やしました。40%以上の海外投資プロジェクトが国内の輸出入を押し上げ、東莞のヘッドクォーターズ・エコノミーの全体規模を拡大させました。これは、「走出去」が東莞市や広東省の経済を養う強い力を持っていることを示しています。

 

 「レポート」によると、東莞企業の国内事業における対外投資の役割は、主に既存のビジネスモデルの複製と拡張に反映されており、31.17%の企業が「走出去」による多様化発展を実現し、23.38%の企業がブランドのアップグレードや技術革新を推進していることが明らかとなりました。 東莞の「走出去」企業の全体的な事業構造とモデルをさらにグレードアップすることができれば、質の高い対外投資を通じてグローバル産業チェーンの再編に参加し、世界の新技術、新産業、新材料の分野で言論力を高め、市、さらには省の経済発展に資源の統合、技術の共有、市場の補完のためのより多くの、より良い機会が提供されます。

 

3) 地域ブランド「メイドイン東莞」の磨き上げ 

 

 「レポート」によると、現在、東莞はアフリカに東莞商品の海外展示販売センターと産業園区のプラットフォームを配置するほか、メキシコ、米国などにも東莞商品の海外展示販売センターの複製を加速し、世界の主要市場と国内の主要地域をカバーする販売ネットワークを形成し、展示販売センターのプラットフォームとの貿易・投資協力において東莞企業のビジネスチャンスをより多く見出すことができています。

 

 また、昨年、東莞市商務局は「走出去」企業に対するサービスの深さと幅を増加させることに努め、「東莞市『走出去』企業国際化サービス計画」及び「対外投資および海外安全リスク予防のための総合サービス計画」を積極的に実施したことが「レポート」に掲載されています。

 

 特に、「対外投資および海外安全リスク予防のための総合サービス計画」は、省商務庁が江泰投資貿易服務(深圳)有限公司から政府がサービスを購入する形で、企業が外資政策を理解し、海外安全リスクを予防し、クロスボーダー経営のレベル、リスク予防及び対応能力を高めるための専門指導サービスを委託しています。現在、東莞市では150社がこのプログラムに参加しており、省内で第2位となっています。

 

 また、東莞市商務局は、日本貿易振興機構広州代表処、韓国貿易投資振興公社と様々な形で訪問・会談したほか、イスラエルなど駐広州総領事と会談し、交流・協力に関する資源の可能性を探り、定期的に外事連絡メカニズムを構築しています。 二国間投資企業のためのプラットフォームを構築し、資源を集め、コロナ禍においても、経済・貿易交流を進めています。

 

 この点について、中山大学嶺南学院経済学部の林江教授は、「製造業の都市として有名である東莞は、主に輸出志向の経済であり、現在、欧米市場はベストな状態ではないため、外国企業は中国にチャンスを見出したいと考えており、東莞企業も海外ブランドを通じて二次技術の研究開発を行ったり、自社の製品をよりよく世界に売り込んで、自社の実力を強化させることは、双方にとって「Win-Win」であるため、 政府は、企業の「走出去」に対する支援を強化することが望ましい」と考えています。

 

 

【参考資料】

 

・2021年は新たに51社が海外進出、73の海外プロジェクト展開 東莞企業は「走出去」※ 戦略を加速

 

 

 

*本記事が記載されている大湾区レターは、以下のリンク先からダウンロードしていただけます。

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本記事の目的:

本記事は、主に中国へ進出されている、またはこれから中国進出を検討されている日系企業の皆様を対象に、中国国内での経営活動や今後の中国ビジネスに重大な影響を及ぼしうるような国家・地方レベルの最新の法律法規と関連政策の主な内容とその影響、日系企業をはじめとする外資系企業の取るべき主な対策などを紹介することを目的として作成されています。

 

免責事項:

  1. 本資料はあくまでも参考用として作成されたものであり、法律や財務、税務などに関する詳細な説明事項や提案ではありません。
  2. 青葉コンサルティンググループ及びその傘下の関連会社は、本報告書における法律、法規及び関連政策の変化について追跡報告の義務を有するものではありません。
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